(報告)エンジニアの会 第一回レポート「ビジネス課題の発見力、思考力を磨く」

エンジニアの会リーダー・峯岸 勇

今年度のエンジニアの会の活動がスタートした。前年度、前々年度は、データ分析の基盤を作ったり、データ分析コンテストなどを実施し、参加メンバーそれぞれに貴重な体験を積んできた。そこで強く意識したことは、データ分析の最終目的は、データ分析を自社のビジネスで活用することだ。ビジネス課題の設定や発見力といった、ビジネス力がエンジニアに益々求められてくる。今年度は、課題発見、データ収集・分析ハンズオン、意思決定者へ伝えるためのプレゼン力を一気通貫で学べる活動を試みている。

第1回目は、株式会社ディジタルグロースアカデミア 代表取締役社長(株式会社チェンジ 執行役員)の高橋範光氏による講義を実施した。データ分析を繰り返していると、どうしても目的を見失いがちになる。分析の目的を再認識して、ビジネスに活かすためにはどうするか、具体例が示されたながらの講義であった。5月31日夕刻から2時間、50名を超えるメンバーがZoom会議に集合し、活発に感想や質問を交わした。 

講義は、次の5つの内容で進んだ。
①データ分析プロジェクトの進め方と成果創出のポイント 
  ~顧客と事前に押さえておくべき点
②プロジェクトにおけるBIツールの使い方 
  ~顧客を巻き込み、データマネジメントの時間を稼ぐ
③KPIを再設計/提案する重要性 
  ~徹底的な顧客視点でKPIを再設計する
④意思決定者に刺さるポイントとは 
  ~分析結果の精度より、実際の事象をベースにした検証
⑤企画/提案時に必要なドメイン知識 

分析者と意思決定者の考え方や求めるもの違いはどうか。どう見せたら予算が出るのか。どう表現したら次のステップにすすめるのか。なぜPoCは兎角うまくゆかないのか。KPIの設計に課題はないだろうか。エンジニアが、現場で日常的に体験している例と、その解決策などが示された。

これまでエンジニアの会では、完全なデータ、完全な状態で無くとも動かくことが大事で、まずは60点を目指そう。その後に、フィードバックとブラッシュアップを繰り返してゆこう、という考え方で進めてきた。 高橋氏も講義の中で、「データ分析は精度ではない、ユーザーが求めるものが大事」という。この点は、エンジニアの会のこれまでの進め方と、とても近い。さらに、高橋氏は、AIチャットボットや、BakeryScan(パン屋さんのトレイ上のパンの種類・値段をカメラで一括識別するシステム)、ドラッグストアのカメラ分析、JRのAIさくらさんなど、生活の中に溶け込んだデータ分析の例を数多く紹介してくれた。データ分析そのものが目的では無い、というメッセージであり、そのことを再認識させてもらえた。

システムが100%では無い。データ分析もデータだけでは見えないものがある。分析結果と現場の状況を合わせて知見としていく必要がある。そしてその結果を次のアクションに活かせて初めてエンジニアとして成功できるのではと感じた。今年のエンジニアの会は、そこを目指して進めていきたい。一方通行になりがちなウェビナーとは異なり、コミュニティという雰囲気からだろうか、高橋氏ご自身の体験談も豊富に披露されとても有意義な2時間であった。

 

<参加者感想(抜粋)>

  • データを分析する人と意思決定者の興味に乖離があることを意識して今後、上のレイヤーに説明していきたい。
  • 顧客目線でKPIを再設計する考えになっていないため、担当部署にヒアリングや働き掛けを行っていきたいです。
  • 客先自身にデータに対して初期の検討段階から関わらせるというのは目からうろこでした。今までひたすら社内でデータクレンジングから分析まで精度を高めることに時間をかけて、その結果を示すという状況だったので早速試してみたいと思います。
  • データ分析の時間を稼ぐ方法として、ユーザーと一緒に実践するというのは目から鱗でした。それ以外にもたくさん学ぶ点があり、非常に参考になりました。
  • 本などを読んで机上である程度理解していたものの実経験がない為、実務経験に基づく説明で非常に参考になりました。
  • 依頼元の立場に立ってどんなデータがほしいか、ゴールはどこかをすり合わせながらPJを進めるべきだと学びました。
  • 最終的な成果を常に意識していきたいです。
  • ITSS+のタスク構造図は初めて見ましたが、しっくりきました。社内のデータサイエンス業務を進めるときの地図として参考にしたいと思いました。
  • データ分析をする前処理に時間が掛かることを顧客に事前に理解してもらうことの重要性や、成果=分析結果はでなく、繰り返し分析していくことで成果に繋げていくことを学んだ。
  • 顧客がエンジニアの作業である前処理などの大変さを知らないからこそ起きるトラブルを防ぐために、BIツールを使ってもらってデータ分析の楽しさや前処理の大変さを知ってもらうのがよいという内容については驚きました。確かにBIツールは簡単に可視化ができて楽しめるので、顧客との橋渡しに最適だと感じました。
  • KPIが複数存在している場合、それはKey Perfomance Indicatorとは言えないという話はとても参考になりました。KPIを再設定する必要はあるということを理解できましたが、意思決定者レベルの頭が固い場合など、そういう話に持っていくのも難しいのかなと思った。
  • 顧客目線でのKPI設定についてのお話は納得するばかりで、事例も含め興味深くすべてにおいて今後心掛けておきたい内容でした。
  • 精度だけで語るのではなく、未来の事象を予測してみるというのは非常に参考になりました。意思決定者のこれまでの感覚での予測と戦わせてみて、AIが勝つ1回というのが刺さる、というのは自分でもやってみたいと思いました。現場のやり方を変えるのは難しいので、このようにしてモデルの価値をわからせていきたいと思います。
  • 現場の声を聴けていないことがよくあり、現場の声を引き上げられるようにしていきたいと思いました。
  • データだけじゃなく、現場を見て、データの裏に隠された顧客の意図をくみ取ることが大事という話はとてもタメになりました。 これはデータサイエンスだけに限った話ではないので、今後の仕事に活かしたいと思います。
  • アーキテクトという役目を担う私からすると、データアナリティクスやデータサイエンスはEnterprise Architectureの4象限のTechnology、Data、Businessに力点を置き過ぎて、Visual以外の面のApplicationが置き去りになっていると感じることがあります。Applicationの奥にあるのはドメイン、業務知識だと思いますが、そこまで至らなくても、アプリケーションのユーザー視点ぐらいは見落とさずにありたいものです。
  • 人間は感情の生き物なので、AIという先端IT技術を使用して実現する反面、人間らしさを実現することも使ってもらえる要素の1つだということを学びました。
  • データを過信してはいけない、売り上げは必ずしも顧客ニーズと一致しない、データ分析だけが顧客の目的を叶える手段ではない(UIの重要性)
  • これまでkaggleでデータ分析をした経験しかなかったので、実ビジネスでどのようにデータ分析をしていくのか、とても勉強になりました。
  • AIは事業目標を達成するための手段であることを、この機会を通して改めて考える事ができました。
  • 資料構成もわかりやすいですし、説明も時に面白く、非常に聞きやすかったです。
  • データマネジメントの第一歩を踏み出すことができた、と感じています。ご準備も大変なのかと思います、皆さま大変ありがとうございました。
  • 今回の講演では誰もが普段の生活の中で見聞きしていることを事例として挙げてくださり、イメージしやすく楽しく拝聴させていただき、とても勉強になりました。このような貴重な講演を無料で聞ける場を設けてくださり、ありがとうございました。次回も是非参加したいと思います。
  • たくさんの事例や経験を伝えていただき、とても面白い講義でした。私自身、現状データサイエンティストとは少し離れた業務(Data PreparationやData Cleansingなど)ですが、データサイエンスの学習を深めて、データサイエンティストになれればなと思っています。今日の講義を受けて、さらにデータサイエンティストへの夢が膨らんだので、一層努力しようと思いました。ありがとうございました。
  • 若手のエンジニアにも刺さる部分が多くあったのではないかと感じております。
  • 実プロジェクトでの経験が少ないので、これからの考え方として非常に勉強になりました。
  • 示唆に富んだお話で大変興味深く聞かせていただきました。普段なんとなく感じていたことを言語化していただいている感があり、納得感を持って腑に落ちました。お話聞けて良かったです。ありがとうございました。

 

※参照
エンジニアの会の今年度(2021年度)の活動はこちら