データマネジメント2018レポート

2018-03-27

 

2018年3月7日、目黒雅叙園にてJDMCの年次カンファレンス「データマネジメント2018」が開催されました。本カンファレンスは今年で7回目の開催となり、ユーザ企業やベンダー企業による最新事例の講演は、事前登録の段階で早々に満席になってしまうものも多数ある盛況ぶりでした。
当日の会場の様子を、NTTコムウェアの山西真裕氏にレポート頂きました。


 

こんにちは。NTTコムウェアの山西と申します。この度、データマネジメントの一大イベント「データマネジメント2018」の1日体験模様をレポートする貴重な機会を事務局さんから頂きました。参加された方は振り返りに、参加されていない方は次回参加にあたっての参考になればと思います。それではお付き合い下さい。

カンファレンスHPはこちら

 

【AM8:00~ 目黒雅叙園到着、データマネジメント2018開催】

本イベントは、昨今トレンドとなっているBigData時代の到来に対し、データマネジメントの視点で様々なユーザ事例、ベンダ技術事例、研究会成果報告など、約40セッションが開かれ、1日で多くの知見が得られる国内有数イベントになります。

今年で7回目となり、年々参加者も増え、今回は来場者数1,084名だそうです。多くの企業・個人がデータマネジメントに対し、注目されていることが伺えます。

データマネジメントと言っても、領域は広く、人によっては捉え方が異なりますが、私個人としては、「データの蓄積・管理・活用」の表現に尽きると認識しています。正規化されデータベースに格納されている構造化データや、画像・音声などの非構造化データを如何に収集して、蓄積し、鮮度・精度・粒度といったデータ品質の観点で管理し、それを劣化させないようデータをガバナンスする、そして事業運営等の意思決定を行うため、BIツール等でデータを活用する。当たり前のことを言っていますが、これらを上手く廻して行く事は、業務面でのルール整備や、システム面での基盤整備等、多岐に渡る課題解決があり、かなりの難易度になります。そして、BigDataと言われる概念(データ量の爆発的拡大におけるVolume、データの種類増加Variety、リアルタイム処理Velocity)が登場し、それまでも汲み取る必要があり、弊社もそうですが、あらゆる企業が対応に追われていると思います。こうすれば完全に問題解決するといった方法は無いかも知れませんが、JDMCには、それらを解決に導くためのノウハウやヒントが多く詰まっている団体だと思います。

その今年の活動の集大成が「データマネジメント2018」です。下記からは、そのセッション模様を一部レポートしていきます。

 

【AM8:30~ アーリーバード(チュートリアル)セッション】

「データマネジメントとは何か?~その本質をわかりやすく解説します~」

株式会社リアライズ
代表取締役社長 大西 浩史 氏

業務が忙しく、中々参加しにくい、でも講演は聴講したい、データマネジメントの基礎を学びたいといったニーズのために、8:30開始のアーリーバードセッションを用意しています。特に若手社員に勉強してもらいたい内容が満載なのですが、今回はリアライズさんのセッションを聴講しました。講演者の大西さんは、JDMCの創設者・事務局長であり、さらに本業でもデータマネジメントに特化した会社の社長をされており、さらにさらに国際データマネジメント学会DAMA日本支部の理事も担当されているデータマネジメントが大好きな方です笑
私も普段から、お世話になっています。本セッションでは、なぜデータマネジメントが必要なのかといった問いに対して、本業の具体例を交えて分かり易く解説いただくものとなっておりますが、特に印象的だったのは、「データの利用目的は、組織・人で様々。特に営業者とマーケティング担当ではGAPが存在する。」その通りで、営業者は目の前の案件受注に必死で、オーダを通すため、後発のマーケティングを意識せず、綺麗にデータを登録しない、必須項目しか埋めない等、そういった事例はつきものです。それは、案件受注、オーダ登録の効率化で見ると正しいのですが、クロスセルやアップセル戦略を打ちたいマーケティング担当から見ると欲しいデータがなく、自分達の業務品質が下がってしまいます。このような企業総体の利益のためにデータの有るべき論を構築することもデータマネジメントの一環であるため、非常に興味深い講演でした。

 

【AM9:00~ 主催者挨拶、JDMC AWARD表彰式】

JDMC 栗島会長から、本イベント実施におけるご挨拶を頂き、データマネジメントにおける模範的な活動をされた企業・官公庁・団体・個人に対して贈るJDMC AWARD各賞の授賞式が行われました。

報道発表資料はこちら

 

 

 

大賞に「日本電信電話株式会社:グループ経営情報見える化基盤の構築」、特別賞に「金融EDIにおける商流情報等のあり方検討会(経済産業省・中小企業庁):中小企業のための金融EDIの取り組み」、データ統合賞に「株式会社村田製作所:データ統合によるビジネス分析基盤の実現」、データ基盤賞に「新日鐵住金株式会社:データを軸に経営統合に取り組む」、アナリティクス賞に「学校法人京都外国語大学:DBサイロから脱却し分析環境を整える」、先端技術活用賞に「きゅうり農家/組込みエンジニア 小池誠 氏:AIを使った個人農家の業務改革」が選ばれました。
皆様、おめでとうございます。

 

 

【9:50~ 基調講演1】

「AI・IoT・ロボット--デジタル技術が加速させる物流変革と、その未来像」

ニトリグループ 株式会社ホームロジスティクス
代表取締役社長 松浦 学 氏

JDMCの目玉企画である基調講演に、私も普段お世話になっているニトリのロジスティクスを一手に担うホームロジスティクスさんに、デジタル技術活用に基づく物流変革の未来像を語って頂きました。恐らくデータマネジメントが最も発展している物流業界について、ニトリグループの莫大な物流網をいかに効率良く廻していくか働き方改革といった組織・ヒトの観点、物流施設の高度化、土日配送の平準化といったお客様誘導など、常識にとらわれない新しい取組みを実施されており、施策は勿論のこと、そのチャレンジするマインドに感銘を受けました。

 

【10:50~ 午前中 各セッション】

「データ活用成功の鍵は事前準備にあり!企業データ基盤「データパイプライン」の実像を明かす」

株式会社 日立製作所システム&サービスビジネス統括本部
シニアセールスエンジニア 門脇 豪 氏

日立さんでは、得意とする情報インフラソリューションと、データアナリティクスソフトウェアであるPentahoを中心に様々なコンポーネントを掛け合わせたIoTプラットフォーム「Lumada」をご紹介されていました。その中で「データパイプライン」というキーワードで、サイロ化された複数のデータをブレンディングし、現場へ供給するといった根本にあるデータの生成から破棄までトータルで管理する考え方、基盤提供を勉強させて頂きました。一部門に閉じず、複数部門のデータをブレンディングし、様々な視点で分析し、意思決定することが今後のビジネスでは特に重要な観点となり、益々このような基盤の需要は高まってくると思いました。

 

「NTTグループにおける経営情報可視化とガバナンスへの取組み」

日本電信電話株式会社 総務部門 内部統制室
担当部長 駒沢 健 氏

今回、データマネジメント大賞を受賞されたNTT持株会社の講演になります。弊社の親会社でもあります。

NTTはご存知の通り、電電公社時代の国営企業から民営化され、分社独立、M&Aを行い国内外で900社以上のコングロマリット(複合企業)となりました。一方、データマネジメントの観点で言えば、各社独自で実施されており、企業マスタや商品マスタも各社独自で管理され、グループとして顧客、商品といった軸での見える化が難しいといった状況に置かれていました。今回グループガバナンスを司る内部統制室にて、標準コードの策定、各社コードとのマッピング作成の仕組み、BIツール導入を始めとした基盤構築を行い、少しずつですが、データドリブン経営といったデジタルトランスフォーメーション推進に向けて、データマネジメントの観点から各種施策を進められています。

 

「農業におけるデータ活用の取り組み、きゅうり選別AIの開発を通して分かったこと」

きゅうり農家 小池 誠 氏

画像非構造データの活用事例として注目度が高かったきゅうり農家の小池さんの講演になります。

きゅうりの出荷時の選別作業をディープラーニングを用いて自動化するといった、聞いただけで興味が引かれる内容でした。私も学生時代、ニューラルネットワークを研究していたので共感できるのですが、とにかく教師データを集めることが大変です。今回、7,000件のデータを2ヶ月も掛けられたとの事で、やはりどこでもデータ作成に苦労されているんだなと実感できました。今回、かなり正答率が良く、ディープラーニングの凄さを始め、きゅうり画像を自動的に撮影するベルトコンベアを自力で作成された小池さんの実行力にも驚愕いたしました。今回のきゅうりの教師データもそうですが、いろんな野菜や食べ物、それ以外の教師データがデータセットとして、広く普及されてくると良いなと思いました。色んなビジネスが生まれそうですね。

 


【12:30~ ランチセッション】

本イベントの凄いところで、お昼には軽食付きのランチセッションが実施されます。

協賛会社・団体の皆様、ありがとうございます。皆さん、美味しいお弁当を召し上がられ、熱心に講演を聴講されていました。私も暫し休憩となります笑

 

 

 

【13:20~ 基調講演2】

「AI, IoT時代のデータ利活用と将来への展望」

東京大学 大学院情報学環 教授
ユビキタス情報社会基盤センター長
越塚 登 氏

2つ目の基調講演として、東京大学の越塚教授からお話を頂きました。本講演の凄い所は、まさしく今、企業がビジネスを展開する上で直面している課題と解決の方向性を示してくれたことでした。あらゆる企業は、AI、IoTで高度なことを目指すものの、それ以前のあたりまえができていない。コストの90%以上は汚いデータの修正といったデータクレンジングにあると明言され、1つの解決の方向性として、「不完全を認める」といった言葉が印象に残りました。インターネットの通信品質や、オープンソースプログラムといったものと並列で比較すると、それらは完璧ではなく、IoTデータやオープンデータ等に私たちは過剰な期待をし過ぎなのではないかという考えが過ぎると共に、いかにデータの品質精度を許容するか、改めて考えてみる良いテーマだなと思いました。通信でもベストエフォートという言葉がありますが、”データ”においてもそのような考え方が今後、頻出しそうですね。そうでないと世の中に普及すべきデータなのに、いつまで経っても品質精度を追い求めるばかり、日の目を見ないことになりかねません。

 

【16:50~ テクニカルハンズオン】

「データ分析に触れてデータ活用してみよう」
JDMCエンジニアの会

今年から、通常のセッションだけでなく、実際にデータ分析をしてみようということでテクニカルハンズオンが企画されました。場所は目黒雅叙園の隣にあるAmazonさんのセミナールームを提供頂きまして、午前中から、「AWSジャパン株式会社」、「SAPジャパン株式会社」、「Yellowfin Japan株式会社」より、各社ソフトウェアを実際に利用したエンジニア向けハンズオンを実施されました。特にJDMC独自企画として、JDMCエンジニアの会の皆様に企画から準備、実施まで全て運営された「AWSクラウドサービス上でのデータ収集・加工・分析・可視化」が好評で、多くのエンジニアが参加していました。

 

実際のモバイルアプリによる行動データを取得し、実データとソースを駆使しつつ、最終的な可視化到達まで、皆さん、必死で勉強されていました。弊社の若手社員も実は、朝から4つのテクニカルハンズオンを受講し、1日で見違えるように成長して帰ってきましたので、即戦力になるよう若手を育成したい企業にとっては、有用な施策だと思います。
しかも無償ですので。来年も是非実施頂ければ幸いです。JDMCエンジニアの会の皆様、本当にお疲れ様でした。ちなみに彼らのインタビュー記事が下記に掲載されています。

JDMCエンジニアの会インタビュー記事はこちら

 

【17:50~ JDMC研究会発表】

「データ活用ガイドラインの作成を目指し「データ主導の経営管理」のあり方を探る」
クオリカ株式会社
製造サービス事業部 製造サービス第二部
システムエンジニア 佐野 努 氏

最後のセッションになります。JDMC研究会の1年間の活動報告が発表されます。

今年度は7つの研究会があるのですが、本レポートでは、私が参加している研究会「テーマ4:経営におけるデータ活用ガイド」を聴講してきました。共に活動している研究会リーダの佐野さんから、データ主導の経営管理のあり方、いわゆるデータドリブン経営のフレームワークについて、発表がありました。
本研究会では、大きく6つの観点「①情報戦略、②業務プロセス、③システム、④組織、⑤企業文化、⑥顧客」を軸に、初めてデータを利用した経営管理をしたいといった方へ向けて道標となるようなフレームを検討し、同じ悩みを抱える方の負担を軽減しようと毎月集まって活動しています。
1年間、頑張って検討していたものが、このような場で日の目を浴びると何か感慨深いものがありますね。興味がある方は、是非、本研究会へ参加下さい。壁が高いように思えますが、そんなことはなく、実業務で活用できるノウハウが沢山詰まった研究会になります。

 

【18:30~ データマネジメント2018終了】

以上で1dayReportは終わりとなります。楽しんで頂けたでしょうか。ここまで読んで頂いた皆様、本当にありがとうございました。まだまだ素晴らしいセッションは沢山あり、書き足りないのですが、想像以上にボリュームが多くなりましたので、この辺にしておきたいと思います。
最後になりますが、データマネジメント2018開催に携われた講演者の皆様、協賛企業様、JDMC会員企業様、スタッフの方々、事務局の皆様、そして今回イベントに参加された皆様、本当にお疲れ様でした。次はデータマネジメント2019でお会いできますことを楽しみにしています。

 

【プロフィール】
山西 真裕(やまにし まさひろ)

NTTコムウェア株式会社 BigDataソリューション部 スペシャリスト。1984年生まれ。
NTTグループや一般市場の基幹系、DWH系のシステムの提案・開発経験を経て、直近ではBigData関連ビジネスの戦略立案や、ユーザとのBICC推進活動に従事。JDMCには4年前から参画し、事務局支援や研究会活動を実施中。30歳を過ぎてからデータマネジメントに目覚め、現在も絶賛勉強中。



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