日本データマネージメント・コンソーシアム

その他

【インタビュー】データ分析に触れてデータ活用してみよう~ハンズオンセッション(2018/3/7)

大切なのは自分の手で実際に体験してみること。
その経験と気づきがデータ活用の次のステップにつながります

データ分析は高度な専門知識とツールが不可欠であり、一般の企業がうっかり手を出せない“禁断の領域”と考えている人はいまだに少なくない。そこで今回のデータマネジメント2018では、JDMC のエンジニア有志による「JDMCエンジニアの会」が、オープンデータをスマートフォンアプリとクラウド(AWS)で分析する画期的な試みを企画した。目からウロコの“簡単・無料・しかも本格的なデータ分析”を、参加者みずからハンズオンで体験できるというセッションの狙いや見どころを、3人の実行メンバーに伺ってみた。 聞き手:工藤淳(オフィスローグ)

ゲスト:JDMCエンジニアの会リーダー(50音順)
寺内 潤 氏  マネージメントサービス株式会社 デジタルビジネスイノベーションセンター エキスパート
峯岸 勇 氏  Yellowfin Japan株式会社 Business Development Manager
山田 文彦 氏 東京海上日動システムズ株式会社 アプリケーション開発部 部長

関心はあるが経験はゼロという方向けの画期的なデータ分析体験セッション

—-まず、今回のセッションの内容を教えていただけますか。

山田:データ分析の醍醐味、面白さを実際に体感していただくための、ハンズオン形式のセッションです。主な対象者は企業の業務担当者やエンジニアで、まだ一度もデータ分析をしたことがない方を想定しています。もちろんそれ以外でもデータ分析に興味がある方や、ご自分で一度試してみたいという方なら、どなたでも参加いただけます。
セッションでは、スマートフォンのモバイルアプリが記録した行動データをAWS(Amazon Web Services)のクラウド上に収集して、加工・分析した上で可視化する一連のプロセスを体験してもらいます。

<ハンズオンシナリオはこちら

—-データ分析というとなにやら難しそうな印象ですが、まったく経験のない方でも参加できるわけですね。

山田:むしろ一度も経験がない、データ分析に関心はあるけれども、どうやっていいのか見当がつかないという方にこそ来ていただきたいですね。体験できるデータ分析のプロセスはごくシンプルなものですが、実際に自分の手でデータ収集から見える化までを体験いただけます。モバイルアプリのインストール方法や、AWSを使ったことがない方には、別途AWSの解説セッションもカンファレンスのハンズオンセミナーとして用意されていますのでご活用ください。

「データ分析ってこんなもの」を体験して一歩を踏み出すきっかけに

—-まったくの未経験者に、いわばデータ分析の「いろは」を体験してもらうというユニークな企画ですが、どういった狙いや経緯で始まったのでしょうか。

山田:もともと私たちは JDMCのユーザー会でやセミナー部会などそれぞれ別の活動をしていたのですが、それぞれが『実際にエンジニアが体験できるイベントがあったら面白そう』という似た考えをしていたところにJDMCの事務局から『同じようなこと考えているようなのでちょっと話をしませんか?』と言うお誘いがあり、会ったら盛り上がってそのまま企画が始まりました。とにかく体験型のイベントがより好ましいと考えたのです。

—-いわゆる技術セミナーというよりも、エンジニアを含めビジネスサイドにいる方々に「データ分析ってこんなもの」というのを体験してもらって、そこからどんどんビジネスに取り込んでいくきっかけにしていただくという趣旨でよろしいですか。

峯岸:データ分析というと“分析”の部分に目が行きがちですが、私は最終的にその分析結果を非エンジニア層も含めた皆で可視化・共有できないと、ビジネスの役に立たないと思っているんです。そんなことを他の皆さんと話しているうちに、今回の企画が出てきました。ここでは難しいことは一切やらず、「誰でも簡単に扱えるデータを、身近にあるツールやリソースを使って無料で簡単に可視化できる」というのをコンセプトにしています。

予想以上に簡単にできるというのを一度でも体験すれば、データ分析に対する心理的ハードルはかなり低くなるし、自分たちでも行えるという自信が、自社のデータ活用をどう進めていくのかという検討の一歩を踏み出すきっかけになると期待しています。

寺内:一般の企業がデータ活用を実現する上で、「データの可視化」という壁があると以前から感じていました。たとえば自社のデータはあるけれど、それをどう扱っていいのかわからないとか、活用したいけれど可視化の手順も仕組みも知らないとか。そういう方々に対して、今回は小さくともいいから具体的なものづくりをしましょうという提案をしてみたのです。データ分析とかビッグデータとか大上段に構えないで、個人レベルでスマホからデータを抜き出して見える化するまでの一連の流れを、まずは体験できれば成功だと思います。

自分で分析し可視化する体験を通じて学習意欲や気づきが生まれる

—-初心者向けとはいえ、ハンズオンで体験するとなると、プログラム体験がない人の参加は難しいでしょうか。

峯岸:ノート PC をお持ちになればハンズオン体験していただけますが、PC を持っていなくてもかまいません。とにかく現場に来て「こんな感じで簡単にできるんだな」というのを、目の前で見ていただくことに意義があると思っています。

山田:所属しているアプリケーション開発部は若手のエンジニア中心の部署で、データ分析なども社内のプロジェクトで扱わなければ、直接自分で経験する機会がなかなかありません。幸い彼らはプログラミングの基本的なスキルは持っているので、今回のハンズオンに参加して手を動かす経験をすれば、「あ、これは面白そうだ」と興味の幅が広がりさらに勉強する意欲が湧くのではとひそかに期待しているんです。

一般にデータ分析の勉強って、やはり統計学あたりから入っていくじゃないですか。たしかに必要なのですが、知識をマスターするには長い時間がかかるし難しいし、座学だけだとだんだんみんな気持ちがしぼんでいってしまいがちです。

—-エンジニアの方は、やはり自分の手で触って、作って、成果を見られることに大きな喜びを感じるものだと伺っています。

山田:実は社内で今回のハンズオンの話をしたら、ぜひ自分でもやってみたいというので、企画打ち合わせの席にも何人か参加して話を聞かせてもらっているんです。また逆に、エンジニアだと自分が開発しているプログラムだけに目が向きがちですが、会社の中のいろいろなデータから、たとえば勤務状況やグループウェアのデータを分析すると、うちの職場はやたら会議に時間がかかっているなとか、メール対応に手間を取られているんじゃないかといった“気づき”が生まれて、それが働き方改革の小さなきっかけになるかもしれません。そういう意味では、若い人の視野を拡げるためにも、今回のような企画にはどんどん参加して欲しいと思っています。

セッションで得た気づきや驚きをバネにコミュニティへの発展を目指す

—-今回のハンズオンで、参加者にぜひ感じ取って欲しいポイントや気づきはなんでしょうか。

峯岸:「データって、実は何でもいいんだよ」というところが伝わるといいなと思っています。何のデータでなくては使えないというのではなく、逆にどんなデータでも分析し可視化する手順さえ心得ていれば、そこからいろいろなものを見つけることが可能だというのを知ってほしい。今回にしても別にスマホのデータが最適だというわけではなく、限られた時間の中で初心者の方がデータ分析を手軽に体験するには手頃なサイズ感だというだけです。

寺内:現在のデータ分析では、1つの大きな処理のプロセスをすべて1つの大きなシステムで処理するのではなく、いろいろな企業が提供している仕組みを組み合わせて、いろいろなことができるのを見て欲しいですね。たとえば分析するデータの抽出にはスマホのセンサーデータを抜き出すツールが専業のベンダーから提供されているし、そのデータの収集・分析は AWSのようなクラウドがあります。そして最後の可視化などは、峯岸さんの会社(イエローフィン)でもツールを提供している。そういう要素をうまく組み合わせれば、個人でもいろいろなデータを自由に分析して見える化できる時代だというのを知って欲しいと思います。

—-巨大で高額な分析システムと特殊な技術を持った専門家がいなくても、簡単な分析ならば個人で十分にできるというわけですね。

山田:環境はすでにかなり整ってきているんだから、あとはそれを使ってどんどん経験値を上げて欲しいですね。今回のスマホからデータを取るというのは、若いエンジニアでもふだんサーバーサイドの仕事ばかり手がけている人だと、どんなことが出来るのか知りません。それを今回のハンズオンでみずから経験してもらえば、驚きや発見が新たな経験値となって次のアクションにつながっていきます。

峯岸:もう1つはそういう方たちの「経験→次へのアクション」を原動力に、集まってくれた方をコミュニティとして組織化して、継続的な取り組みに育てていきたいというもくろみを持っています。今回のハンズオンは第1回目ということもあって非常に簡単な内容に限定されますが、資料やソースなどもすべて公開するので、それをまた各自ブラッシュアップして次の勉強会につなげていただきたいと思っています。ここがゴールではなくスタートであって、これから先いろいろな意見や共同作業の場に育っていくと嬉しいですね。

—-そうしたコミュニティ的な動きが新しく生まれるというのは、JDMC にとっても幅が拡がるメリットがありますね。

峯岸:JDMC はやはり理論をきちんと詰めていく場ですし、言ってみればビジネススーツの方が圧倒的多数です。そこに今回のハンズオンのようなチャネルが加わると、ビジネススーツだけじゃなくてTシャツ&ジーンズみたいな層との接点ができる可能性が生まれてきます。JDMCとデータマネジメントに関心を持つより多くの人々とのコンタクトチャネルが多様化するという意味では、やはり意義あることではないかと思います。

山田:国や地方自治体からもさまざまなオープンデータが出されていますが、なかなか知ってもらうきっかけがないと聞いたことがあります。JDMC を介してそうしたコミュニティへのパイプができれば、データを提供する側と利用する側双方にとって有益ではないでしょうか。

構えず普段着で気楽に参加して自分なりの成果をつかんでいって欲しい

—-では、参加者の皆さんに一言ずつメッセージをお願いします。

山田:とにかく大切なのは、データ分析に触れるきっかけ作りです。第1回で何ができるかいまだ未知数のところもありますが、参加者各人が自分なりに楽しんで何らかの体験や成果が出せれば、それが必ず今後の成長につながっていくので、心配せずにとりあえずやってみようという気持ちで来てもらえるとありがたいですね。構えず、普段着で気楽にお越しください。

峯岸:データ分析と一口に言っても、分析以外の準備や環境の開発などいろいろな側面があります。少しでもそうした領域に興味があれば、当日は見るだけでも良いのでぜひ参加してみてください。ご自分の目でデータ分析の準備段階から可視化までを一通り見れば、今まで漠然とイメージしていたよりもずっと簡単に、いろいろなことができるのがわかると思います。

寺内:やはりオープンデータにしてもクラウドプラットフォームにしても、無料で利用できる枠内でかなりのことができるのを体験してもらえると思います。それがわかったら、ぜひ持ち帰って自宅や職場でもう一度試してみてください。何度も繰り返しながら、自分の欲しいデータが取れるようにいろいろ組み替えて工夫していく中で、確実にデータ分析に対する知識やノウハウが身についていくはずです。

—-今日はどうもありがとうございました。本番のハンズオンセッションを、大いに楽しみにしています。

★★★JDMCエンジニアの会「データ分析に触れてデータ活用してみよう」セッションは、
3月7日(水)16:50~18:20 です。
お申込みはこちらから

インタビュアー プロフィール

オフィスローグ 工藤 淳

フリーランス・ライター兼エディター。IT専門出版社を経て独立後は、主にソフトウェア関連のITビジネス記事を手がける。もともとバリバリの文系出身だったが、ビジネス記事のインタビュー取材を重ねるうち、気がついたらIT専門のような顔をして鋭意お仕事中。

RELATED

PAGE TOP