日本データマネージメント・コンソーシアム

レポート

(報告)テーマ2研究会合宿 2017年7月7日-8日 in 那須 

はじめに

テーマ2『データマネジメントの基礎と価値』研究会は、「(1)データマネジメントの啓発・普及」、「(2)データマネジメントの価値の定義」、「(3)データマジメント普及に向けた人材像の定義」を柱とした研究会活動を継続している研究会である。研究会の成果物として、これまで3冊のデータマネジメントに必要な概説書とケーススタディを発行してきた。

2016年度の活動から継続している、成果物の中心であるデータマネジメント概説書のメジャーバージョンアップに向けた討議の経緯と、2017年度の第一回合宿の成果を同研究会サブリーダーのNEC 谷口から報告する。

まず、データマネジメント概説書(JDMC版)v1.1の要点について振り返る。
同概説書は、「データをビジネスに活かすためのデータマネジメント戦略とデータマネジメントの概要の認知度を向上させること」を使命としている。主な要点は下記の4つ。

●データをビジネスに活かすために、継続的に維持、進化させる経営資源としてのデータは、部門を越えた組織活動の取り組みが重要

●データには、精度、鮮度、粒度といった品質を評価できる軸がある

●データマネジメントの全体像とデータマネジメント実践(戦略立案も含む)のための構成要素ならびにそのアクティビティを整理

●想定読者として情報システム部門の技術者を想定

2016年度からの新たな研究会活動として、v1.1版として発行した概説書に対し、過去の課題一覧と、2016年度の研究会活動で開催したスタートアッププログラムのグループ討議で出された新たな課題から、研究会の有志メンバー数名で改善すべきテーマの洗い出しをおこなった。結果は、以下の7つのテーマとなった。

①人/役割/組織
②データ利活用
③データガバナンス
④メタデータ
⑤成熟度
⑥データライフサイクル
⑦セキュリティ

この中で、2016年度の合宿で集中討議するテーマとして以下の4つを設定:

a.データマネジメントはそもそも何か?
b.データガバナンスとは?言い換えるなら?
c.データマネジメント実施に必要な人/役割/組織は?
d.データ利活用による価値創出は?

2016年度の合宿で集中討議した結果、概説書Ver2に向けた改訂の方向性として以下を定めた。

●『データ利活用』ができていれば、データマネジメントができていると言えるのではないか

●想定読者:『IT部門』+『データを利用する人達(データ利活用、データ分析、企画経営)』を含めたものとすべき

●現状の“データマネジメント概説書(JDMC版)1”のアクティビティは、HOWである

●v2.0の改訂では、『データ利活用』の観点から概説書を見直し、読みやすくしたい

この合宿で示された方向性に沿って改訂内容を具体的に深める為、2016年度の途中から研究会を2つのタスクフォース(以下、TF)に分けて個別討議をおこなうこととした。

Noタスクフォース名活動概要
1概要TF概説書v2.0で、データ利活用を中心とするための全体構成や、導入部の事例追加を検討するTF
2構成要素TF概説書v1.1のHow Toを記載している構成要素の矛盾や具体的なInput/Outputの関係性検証と、活用用途に合わせた構成要素の優先付けのガイダンス検討をおこなうTF

2016年度から継続し、個別TFで深掘りしてきた結果を踏まえて、研究会内でTF間の成果整合や、有志による集中討議時間を取ることが必要となってきていたため、2017年度の活動にあたり合宿企画が必要となった。
合宿の大きな討議ポイントは以下の2つとなる。

●これまでの分科会(TF)の成果共有と、v2.0執筆に向けた方向性の合意すること

●集中討議による各TF内作業を加速させ、執筆作業に弾みを付けること

上記の討議をおこなうため、2017年度の研究会活動と同期をとり、7/7(金)-8(土)の期間でNEC那須保養所にて開催することとなった。

(参考)
合宿の参加者:17名(合宿初参加:5名、2017年度新規研究会参加者:2名)、
参加可否の登録者:30名(研究会の75%のメンバーがエントリー)

前段の前振りは、ここまでとし、実際の合宿活動状況ついて、これから記述する。

いよいよ合宿へ

合宿初日:7/7(金)

合宿参加者は、東京発13:12『新幹線 なすの259号・郡山行き(20番線)』に乗って出発した。小職は合宿の引率者という立場もあり、参加予定者がちゃんと乗車しているか心配だった。東京駅で見かけたメンバーや連絡が取れた人は、全体の8割程度だった。東京駅からは1時間強の新幹線の旅、ゆっくりとくつろぎ、外の風景を眺めた。新幹線は、定刻通り14:21へ那須塩原駅到着。改札口で参加者を待ち、タクシーに乗り込む。タクシー移動で、NEC保養所に15:30頃に到着。

保養所のカウンターで、到着の連絡をおこない会議室へ移動し、ようやく合宿の討議を開始することとなった。両TF間のこれまでの活動を振り返ると共に、データマネジメント概説書 v2.0の作成に向けた今後の進め方と方針合意がゴールです。夕食までの短時間で整理します。合宿のオリエンテーションの中で、池田リーダーから、合宿の位置付けと今後の方針について説明を実施。

(1日目)

●オリエンテーション

●概要TFと構成要素TFの意識合わせ(背景・状況説明+共有)

●課題の抽出/対応方針、影響度共有(発表×2)

(2日目)

●各タスクフォースに分かれた集中討議

●全体のまとめ(発表×2)

まず、概要TF 平井リーダーから、データ利活用の概説書に変革していくために、これまでのTF検討事項、現状の課題を合宿参加者へ、経緯を含め改めて共有。とても熱い話題が続きます。

概要TFから合意したいこと:

①DM基本概念図を構成要素TFのメンバーにも合意して欲しい

②また、構成要素とつなげる場合どうするかについて、方向性を調整したい

③利活用基盤の扱いをどうするか相談したい

④構成要素の中で、ビッグデータが当たり前になったことによる記述見直しを考えて欲しい

>戦略、人財、計画、アーキ設計、品質モニタリング あたりが変更必要か?

1日目の双方の討議結果:

①:合宿メンバーは、合意。次回の研究会でコンセンサスを取る(了承済)

②:利活用基盤の扱いについては概要TFから前回の研究会の場で課題を持ち上げられていた経緯もあり、構成要素TFの有志で考えた案がある。
構成要素は、管理基盤と、利活用基盤でこんな関係になると仮説を立てた(未検証、下図)

③:利活用基盤は、上図のイメージかもしれないが、現状の作業スケジュールで構成要素TF作業の中で書き切るのは厳しい → 概要TF側で書いてみる(試す)

④:できれば概要TF側で、概要を記載して欲しい

構成要素TFから提示した課題:

①構成要素の“③ データマネジメントを担う人財像の定義と育成”は、他の構成要素からつながりが無いので削除、または、構成要素のどこかにまとめる可能性がある

1日目の双方の討議結果:

①:利活用として、人財は必要なので構成要素側で記述が無くなるのであれば、概要TFの記載事項として整理が必要と把握した

討議した内容を模造紙で整理しています。下記は、概要TFのまとめたもの)

 

2日目:7/8(土)

概要TF(まとめ):

合宿を通し、DM基本概念図の合意、概説書全体をどのように整理していくかの方向性は整理できた。また、2日目にTFメンバーで集中討議し、過不足に対する今後の方針も以下のように策定した。

 合宿参加者のコメント:

  • 良かったこと、悪かったこと
    • 普段の研究会で、リモートで把握しにくい細部まで理解を深めることができた
    • 合宿の時間コントロールやファシリテートが良かった。
    • 事前準備(検討資料、拡大印刷、模造紙)をされており、討議に集中できた。
    • 合宿の討議、懇親会でコミュニケーションが取れ、理解が深まった。
    • 研究会に初参加でも合宿の経験で、昨年度の検討事項や分らない用語を知ることができた。
      ただし、若干の方言、略語の理解は苦しんだ
    • 検討時間をもう少し長くしても良いのではないか。朝移動でも良いと思う。
  • 各TFリーダーのコメント
    • 合宿の集中討議で、大まかな方向性が見えた。秋までに一気に執筆する。
    • 環境を変えた討議は濃いものになる。ゴールを目指し頑張りたい。
  • 運営上の課題
    • 駅と宿泊施設の間の距離感や、施設周辺の状況を踏まえた事前確認(懇親会の買い出し、移動時間の把握)が漏れ、当日の運営に苦労した。

今回の合宿は、継続メンバーだけでの討議ではなく、今年度に新規に参加された2名の研究員を交えた討議となった。開始当初は、運営を含め不安が大きかったが、参加者の意識、スキル、コミュニケーション能力も高く、何の心配をする必要は無かった。感想の中でも、合宿に参加することで、研究会の討議事項を深く知ることができ、研究会員同士のコミュニケーションが深められてとてもよかったと思う。運営面の課題は、次回の合宿に生かせるよう改善ポイントは申し送りしたい。

まとめ:

1泊2日の短期合宿だったが、データマネジメント概説書 v2.0版の執筆に向け、研究会メンバー間の意識が高まるとともに、絆が深くなった。今後、両TFリーダーからの意気込みもあるが、これからの執筆、査読を乗り越え、カンファレンス前までに研究会の成果として、新たなデータマネジメント概説書を世に出したいと研究会一同で力を合わせより良いものに仕上げていく。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Optionツアーに参加したメンバー集合写真

以上

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