(報告)データマネジメント2021: [A-1]Withコロナ時代にこそ求められるデータマネジメントとは? ~その本質をわかりやすく解説します~

(レポート: 情報発信部会NEC齋藤真平)

[A-1]Withコロナ時代にこそ求められるデータマネジメントとは?
~その本質をわかりやすく解説します~
株式会社リアライズ
代表取締役社長
日本データマネジメント・コンソーシアム事務局長 兼 理事
大西 浩史 氏

 

主催者挨拶、基調講演を含む午前の部に先立ち、朝8時30分に始まるアーリーバードセッションにて、データマネジメント2021の幕開けを告げたのは今年もJDMC事務局長、リアライズの大西氏の講演だ。JDMCの設立趣旨であり不変のテーマであるデータマネジメントについて、大西氏の実体験やリアライズ社での事例を通して分かり易く解説された。

今年はタイトルにある通り、新型コロナウイルスによって否が応にも変容を余儀なくされた、いわゆる”Withコロナ時代”のビジネススタイルこそ、データマネジメントを無くして成り立たない、との問題提起から始まった。

オフィス消耗品の営業担当だったら、小売りチェーンのエリアマネージャーだったらと場面を想定し、従来の対面式のビジネススタイルでは容易く得られていた顧客の行動やニーズのデータが、Withコロナ時代では収集できなくなり、かつて店頭やお客様訪問での対話によって構築されていた顧客とのリレーションシップは、今やデータ越しに構築されるべきものとなっていると述べた。

大西氏はこれらの例を通して、「データでつながらないと死に至る」、つまり部門を越えて会社全体としてお客様をグリップしていかなければビジネスは立ち行かなくなることがコロナの影響でより鮮明になった、と警鐘を鳴らした。

しかしながら、データで顧客とつながることは容易ではない、と大西氏は続けて解説する。データは全て人が作り出すものであり、そこには必ず矛盾したデータ(Conflict Data)が潜んでおり、そのConflict Dataこそが、データを経営に活かす際の阻害要因となっているという。
Conflict Dataが発生するメカニズムについても、注文処理の例をもって解説された。注文を受けシステムに情報を入力する営業部門では納期遵守が優先事項であり、例えば顧客名や業種の正確性は優先順位が落ちるため、Conflict Dataの発生は不可避であるという。仮にコード体系や入力画面を整備したとしても、例外は必ず起こり得るものであり、「その他業種」といった選択肢を用意せざるを得ず、時間の経過とともにコード体系は形骸化し、Conflict Dataは蓄積されていくこととなる。データを生み出す側と利用する側のニーズは本質的に異なるものであり、相反する関係にあることがその背景である。

では、Conflict Dataを克服し、マネジメントされたデータを手にできたとしたらどのような恩恵がもたらされるのであろうか。ここでは複数のブランド・業態を持つ飲食店を顧客とした食品卸業の例をもって、データ活用例が紹介された。
この会社では、従来顧客の飲食チェーンのブランド名や店舗名が正確に入力されていないことで、顧客における自社のシェアを過小に評価しており、やみくもに営業をかけていたという。この状況を改善するため、営業部門が入力した受注データについてリアライズ社が名寄せを行い、分析に適した精度に高めてから分析したところ、自社のシェアを正確に計測することができ、シェアの高低によって営業戦略を変えることで大幅な業績改善が実現できた。その後も受注データは日々生み出されており、そのデータの整備も日々行っている。データマネジメントは一度やって終わりではなく、継続していくことが最も重要であると締めくくられた。

 

講演の最後にデータ活用を成功させるポイントが披露された。とにもかくにもデータを使ってなにを実現したいか、目的を明確化することだと大西氏は語る。例えばオムニチャネルでECと実店舗が存在するケースでは、両方のデータが一元化され、来店者が同一人物であることが判別できることがマーケティングの基本であるし、目的を持たずにデータを集めてもそこから何かが生まれることは無いという。

データを活用する目的があり、それに向かって「データ戦略」「実行体制」「運用ルール」を整備して、さらに進化させていく組織的な営みこそがデータマネジメントである。

ITの進化によりデータは爆発的に増加しており、コロナの影響もあって、多くの企業でその活用を本格化し始めている。様子見の時期は終わっており、同業他社は既に始めている。「データ活用は待ったなしの状況、データ活用の目的に向かって最初の一歩を踏み出してほしい。」とエールが送られた。