JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、ECマーケティングの石田麻琴さんです。
ネットショップのデータ活用――大手と中小の違い、中小ならではの強み
2016年7月よりJDMCに参加させていただいている株式会社ECマーケティング人財育成の石田麻琴と申します。私の経歴はJDMCのメンバーの皆さんの中では少し珍しいものかもしれません。現在はコンサルティング業を営んでおりますが、元々は年商3億円ほどのネットショップを運営しておりました。現在は、ベンダー企業、以前はユーザー企業だったということになります。それも、中小の規模です。こちらのコラムでは、「中小ネットショップとデータマネジメント」というところについて、紹介させていただければと思っています。
まずネットショップのデータの活用というと、大きく2つに分かれます。
1つは、販売促進に関するフロント面。最もメインになるのは、ネットショップへの集客についてのデータ分析です。リスティング広告、アフィリエイト広告など、インターネット広告戦略には、データ分析による現状把握と改善活動が欠かせません。
もう1つは、お客様に購入いただいた後のバックオフィス面です。注文データの処理(受注処理)、物流は特にデータマネジメントが必要な部分になります。データの保管方法やセキュリティ、取り扱い含め課題になります。また、バックオフィス面の「一見すると、ただの履歴データ」をいかにフロント面に役立てるかも、Eコマース戦略としてテーマになっています。
ただし、中小のネットショップが上記のようなデータ戦略をどれくらいのレベルで仕組み化、システム化できているかというと、大手企業と比べれば本当に小さい規模ということになります。基本的には大規模な投資ができません。
フロント面の数字は楽天市場やYahoo!ショッピングの管理システムで閲覧できるデータを使っているのが通常です。独自ドメインサイトであればGoogleアナリティクスです。バックオフィス面となると、パッケージの受注管理・顧客管理システムを使っているところがほとんどです。エクセル管理のネットショップもあります。
当然、データの量も多くはありませんから、データのクレンジング、データの見直しをかける機会もあまりありません。このあたりは、中小企業と大手企業のデータマネジメントで大きく異なる部分ではないかと思います。
現在、中小のメーカー、中小の小売りの会社を中心に、ネットショップ・インターネット戦略のコンサルティングをいくつか担当させてもらっています。彼らの場合、上記のように「データをつくる」という手間があまりありませんから、「データを活用する」に比較的容易にシフトできるのが強みです。
ネットショップやインターネット戦略のマーケティングに軸として関わる人数も、多くて5、6名ほどですから、「データ活用」による意思の疎通もスムーズです。データから次の施策に向けたヒントを探し、仮説を立て、スムーズに動いていくことができます。
そしてこのような状態になると、データを活用できる人財の育成が比較的楽です。実践を通じて、データの活用に慣れていってもらうことができます。中小のネットショップですと、母体となるビジネスの規模は30~50名程です。会社の全体を見回すことができる規模です。データの使い方も、「横串」を通したものがつくれるようになります。
データをつくるということ、データを活用するということ、データを活用できる人財を育てること。中小だからこそですが、ネットショップの運営者時代の6年間と独立起業してからの5年間で実践できてきた経験が多少あります。まだ、JDMCに参加させていただいて日が浅いのでわからないことも多いですが、少なからずお役に立てる部分もあるはずです。
石田 麻琴(いしだ・まこと)
株式会社ECマーケティング人財育成 代表取締役。大学卒業後、ネット通販企業に6年間勤務。ヤフーショッピング月間ベストストア8回受賞。全国第1位獲得。ネット通販を中心としたWebビジネス支援の株式会社ECマーケティング人財育成を設立。EC/Web企業を支援。協同組合ワイズ総研理事。BPIA理事/Webビジネス研究会ナビゲータ。中小機構販路開拓支援アドバイザー。