【Vol.16】織田敬三氏 真の「統合型データベース時代の情報デザインについて」

2014-06-02


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JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、織田DMコンサルティングの織田敬三さんです。

 

真の「統合型データベース時代の情報デザインについて」

 
 データマネジメント2014で、アーリーバードセッションを担当させていただいた織田DMコンサルティングの織田です。私は1969年に日本電信電話公社の研究所に入社し、それ以降、NTTデータ通信本部、NTTデータ、NTTデータ先端技術と所属が変わりましたが、ほぼ一貫してデータベース関連の技術開発、コンサルティングなどに従事してきました。その間DBシステムは、集中型から分散型へ、そして統合型へとトレンドが変化しましたが、それぞれの時代に様々な技術、方法論や考え方を学ぶことができました。ここでは、統合型の時代に学んだ「情報デザイン」について紹介します。
 
 「情報デザインを知っていますか?」という問いに対して、「もちろん、情報をデザインすることじゃないですか」と、わかるような、わからないような答えが返ってくることがよくありました。私が初めて情報デザインに出会ったのは、2002年にオフィスオートメーション学会(現在の日本情報経営学会)の情報デザインプロジェクトです。それまでDBの開発や設計などを経験してきたので、その時は「DB技術の延長で考えればよいだろう」ぐらいの軽い気持ちで引き受けてしまいました。
 
 プロジェクトでの私のテーマは「データベースと情報デザイン」でしたが、その検討を進めていくうちに、情報デザインは、情報システムに限らず非常に広い領域の概念であることが分かりました。『情報デザイン入門』(渡辺保史著、平凡社刊、2001年)では、「情報デザインとは、私たちの身の回りにある厖大なデータを、価値ある、そしてわかりやすい情報へと変換していくための作業である」と定義し、「データは、他のデータとのつながり=関係を持つことによって情報へ生まれ変わり、あるコンテクスト(文脈、状況)のなかに置かれることによって、理解できる情報となる」と、情報デザインにおけるデータと情報の関係について説明しています。
 
 情報デザインプロジェクトの成果は、『情報インターフェースの構図』(高橋敏朗・久保田洋志編、中央経済社刊、2007年)としてまとめられました。同書で私は第4章「データベースと情報デザイン」を担当し、情報デザインのための情報アーキテクチャである「情報の組織化」と「情報の配信と共有」についてデータベース技術と利用者の観点から考察しました。
 
 上で紹介した情報デザインの定義を見て「ビッグデータ活用」と関連があることに気づかれた方が多いと思います。例えば、ビッグデータ活用の先駆けであるグーグルは、自らのミッションを「世界中の情報を組織化(オーガナイズ)し、それをあまねく誰からでもアクセスできるようにすること」と定義しています。すなわちグーグルは、情報デザインを実践していることになります。
 
 私は数年前から、ビッグデータをテーマにデータ処理基盤の検討を進めていますが、ビッグデータに関する技術、方法論、事例などを調べていると、いくつかの疑問点、問題点にぶつかることがあります。
 
 例えば、データから知見を導き出すさまざまな分析技術(データサイエンス)や、3つのV(Volume、Variety、Velocity)に対応してデータから価値を引き出すデータ処理技術は話題になりますが、大量なデータを、どのように集め、どのように整理(組織化)するか、ということについてはあまり議論されていないように感じます。今後は、これまでの大量データに対応したデータ処理基盤だけでなく、情報デザインを活用して、ビッグデータを組織化する手法と組織化されたビッグデータの管理技術についても検討していきたいと考えています。
 
 最後に情報デザインの例を紹介します。私は、『ほんとのおおきさ動物園』(小宮輝之監修、学研刊、2008年)という書籍がテレビ番組で紹介されたとき、「これが情報デザインだ!」と思わず叫びそうになりました。出版社(学研)のWebサイトでは、同書を次のように紹介しています。「ズバリ!動物の顔を、実物大の写真で見せる大迫力の図鑑:実際の大きさがわかるだけでなく、毛のはえ方や筋肉のつき方など、動物の質感まで手にとるように感じることができます。まるで動物が目の前にいるような感覚が味わえる、新しいタイプの図鑑です。」
 
 百聞は一見にしかずではありますが、どのような本なのかを情報デザインの作業と対比して表現してみますと、この本は、動物園の動物(情報)を実物大の写真を使って組織化することにより、「動物の顔や手足の様子を、実物を見るのと同じように見たい」という読者の要求(コンテクスト)に応えています。私は情報デザインを説明する際、この本からよく引用しています。ぜひ一度ご覧になってください。
 
 以上、情報デザインについて説明させていただきましたが、少しでもご理解していただけましたでしょうか? もし、ご意見やご質問などがありましたらご連絡いただけると幸いです。
 
 
 
odasan1(528x640)織田敬三(おだ けいぞう)

織田DMコンサルティング代表。1969年に日本電信電話公社入社、以降、電気通信研究所、NTTデータ通信本部、NTTデータ、NTTデータ先端技術においてバンキングシステム開発、DIPS用RDBMS開発、DBシステム設計・開発技術支援/コンサルティングなどに従事し、2012年に織田DMコンサルティングを設立し現在に至る。
 
 



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