【Vol.39】原隆志氏 「工業データと商業データの連携」


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JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、メトロの原 隆志さんです。
 

工業データと商業データの連携

 
はじめまして、メトロの原と申します。おかげさまでデータ活用領域におけるビジネスが好調です。データ移行、データ処理、データクレンジングの引き合いも増えており、最近ではIoTと呼ぶのでしょうか、センサーデータ処理のビジネスも佳境で、データ活用ニーズの大きな高まりを感じます。この状況で、ユーザー部門の方が多数参加されるJDMCでの経験は貴重であり、この場をお借りしまして皆様に御礼申し上げます。
 
さて、ここではITサービスを提供する当社の話ではなく、以前、私がある工業用システムメーカーに勤務していた時の、事務系ではないセンサー系データの活用経験から、工業データと商業データの連携についてお話したく思います。
 
当時、私の担当は振動・騒音解析でした。振動センサーや騒音計などから得られた信号を分析し、異音原因を探ったり、振動値から物理的な特性を把握したりという、広く言えば「設備診断」に寄与するシステムの提案を行っていました。
 
これらの技術は、構造物の共振特性の把握、機械装置の異音原因の特定、モーターなど回転体の異常検出などに使われます。より一般的には音声分析にも応用可能です。利用されるお客様は自動車関連産業など、何らかの機械装置が動くために起こる現象でお悩みの製造業様です。
 
分析の原理ですが、物理法則を基にした振動・騒音発生のメカニズムがあり、これら理論を前提とし、実際の物体・構造をモデル化した条件があって、理論に対し実物の挙動がどうであるかといった検証を行います。つまりは振動騒音対策を行うのが目標になり、以下のプロセスがあります。
 
・ある物理的なモデル前提から現象の発生を予想しておく(理論解析)。
・実体検証を行い理論との差異を把握する(実験解析)。
 
例えば車。アイドリング状態でハンドルが揺れないでしょうか? 簡単に言うとこの手の現象が共振です。そこで、アイドリング周波数(回転数)の調整をしたり質量調整をして共振点をずらしたり、振動を減衰させる対策をします。この際に、理論値と現物の特性の双方を理解しておかないと誤った対策になります。
 
設備診断にはさまざまな教科書があり、学会もあり実例も豊富で知見を持つ方も多数おられます。一方、ビジネスデータ解析は、工業解析に比較するとまだまだ理論形成が薄いように思われます(その認識が誤っている場合はお詫びします)。ないしは、ビジネスノウハウに直結するための情報共有が困難な事例が多いのかもしれません。
 
そして今、商業の世界に工業系データが入り込もうとしています。すなわち、IoTですね。自社ノウハウたるビジネスロジックと属性データは当然として、工業計測データや地理情報、画像解析結果や通信履歴など、複合的なデータ活用が今後のビジネス拡大のカギを握りそうな気配です。
 
こうして、今まで相互に無縁だった業界が、枠を超え連携をする必要性がいよいよ高まっていることを感じます。自動車部品の故障発生予測に応じた事前点検アラートや車両保険の等級判定など、生活利便性・安全性・ビジネスロジックに直結するような情報活用が当たり前の世の中になりそうです。
 
当社として親和性のある領域でもあり、これら出元の異なるデータ群の橋渡しとなるようなソリューションの構築にトライする日が近付いている予感がします。今後のデータ活用領域のさらなる発展が楽しみな今日この頃です。
 
 
harasan原  隆志(はら・たかし)
株式会社メトロ 
営業本部 ビジネス&テクノロジー営業部 エグゼクティブITコンサルタント
工業用計測機メーカー様にてデータ処理解析分野を10年経験後、コンピュータメーカー様等で主にニッチ領域のソリューション営業(ニューロ、ビジュアライゼーション、コンテンツ管理、GISなど)に従事。メトロへ入社後は新規・要チャレンジ分野の営業を担当。昨年より自動車メーカー様向けの営業を担当中。