JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、株式会社インダストリー・ワン・三輪さん、安藤さん、山口さん、齋藤さん です。
はじめまして。株式会社インダストリー・ワンは、2024年2月にJDMCに参画し、現在4人のメンバーで活動しています。
当社は2021年に設立された比較的若い会社です。「DXの社会実装をリードする」をビジョンに掲げ、食品流通業の食品ロス対策、農業の作物廃棄の解消、製造業の生産効率の向上、アパレル業界の商品開発の迅速化など、さまざまな業界のステークホルダーと共に産業・社会全体の課題解決に挑んでいます。
これらのプロジェクトを推進する上では、データの利活用が欠かせません。データの正確性と信頼性を確保すること、必要なときに必要な人が利用できることがDXの効果創出の大前提となるため、データマネジメントが重要であることを日々実感しております。
近年、ビッグデータとAIを組み合わせて、さまざまな予測に活用する試みが盛んです。先ほど挙げた当社事例の一つである「食品流通業界の食品ロス対策」においては、発注回数や在庫を最小限にしながら、欠品を防ぐよう、AIを活用した発注量の最適化プログラムをDevOps(開発と運用の密な連携)で提供しております。
プロジェクトの初期段階(2021年ごろ)では、商品の平均出荷数、前年のデータ、商品カテゴリ、商品ごとの特徴、地域性などを基にAIが出荷数を予測し、その傾向と残在庫数、納品リードタイムなどを組み合わせて発注量を算出していました。
■AIモデルイメージ

●「SNSデータ」を活用した需要予測に着目
需要の予測というテーマでは、2024年に世間を賑わせた「米の売り切れ騒動」が記憶に新しいです。ニュースで広がるまで気付かなかった方も多いと考えられる一方で、米の需要の高まりや、騒動の兆候を察知していた方もいたのではないでしょうか。
このような不測の事態に柔軟に対応できる、時代に即した需要予測を実現するための候補データとして、われわれは「SNSデータ」に着目しております。活用にあたっては、重要な点が2つあると考えています。
まずは、直近のトレンド具合を係数に変換し、特徴量としての活用を想定していることです。係数への変換にあたっては、変化率(バズり具合)など、変換ロジックの検証(設計)が重要になると考えています。
もう一つは、フェイクニュースや根拠不明の情報が溢れているため、正しい情報を見極める目的でもAI活用がカギとなることです。
SNSデータを活用した予測は食品業界に限らず、製造業など幅広く活用ができるため、検証を早々に進め実現していくことで、社会全体の課題解決にも寄与できると確信しております。
さて、当社の取り組みの一部をご紹介しましたが、冒頭で重要性の実感を述べたデータマネジメントについて、プロジェクトの利害関係者とは異なるコミュニティで、情報交換や是々非々の議論を通じて新たな視座を得たいと考え、JDMCに参画しました。
JDMCの活動は、活動期間の長短に関わらず、多くの方が前向きに取り組まれており、参画前の想定を超えて活発であると感じています。
データマネジメントが、今後ますます重要となる領域だと実感されている方が多いですし、技術トレンド(近年で言えば、データサイエンスやAIなど)の変化に影響されることなく、いつの時代でもデータはビジネスの中心に存在し、その管理についてJDMCの中で長年討議されてきたため、豊富なノウハウが蓄積されていることも、活動が活発な理由だと思っています。
JDMCで得た視座も活用し、データマネジメントによる当社ビジョンの実現を加速していきたいと考えております。当社事例にご興味をお持ちいただいた方は、お気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。

■プロフィール(写真左から)
三輪 桂資(みわ けいじ):
株式会社インダストリー・ワン コンサルティング事業部
大手自動車メーカーの海外・国内ディーラー向け支援システムの開発・展開・保守・エンハンスにPM/PMOとして幅広く携わり、現職ではBPRやサービスマネジメント設計・構築プロジェクトに従事。
安藤 雅人(あんどう まさと):
株式会社インダストリー・ワン コンサルティング事業部
官公庁、製造業向けの業務システムやデータ統合基盤の構築にあたり、構想策定から導入・移行・保守までをPMO、もしくはプロジェクトマネージャとして経験。インダストリー・ワンでは流通DXプロジェクトを牽引し、大規模SCMマネジメントシステム導入をリード。
山口 浩司(やまぐち こうじ):
株式会社インダストリー・ワン コンサルティング事業部
通信・金融業界での大規模SI、EAによるシステム刷新推進、ヘルスケア向けサービス企画・提供、各種ITコンサルティングを経験し、現職ではアーキテクチャやセキュリティ領域を中心としてDXコンサルティングに従事。
齋藤 祐樹(さいとう ゆうき):
株式会社インダストリー・ワン コンサルティング事業部
自社サービスの立ち上げ~運用保守までのシステムライフサイクル全般へのプロジェクト参画、大規模基幹刷新プロジェクトの推進などを経験し、現職では新規サービス企画プロジェクトに従事。