日本データマネージメント・コンソーシアム

会員コラム

【Vol.86】キリンビジネスシステム 佐藤匠さん、3年目に突入したキリンのデータマネジメント組織 ビジネス部門と協力し、さらなる価値発揮へ挑戦

JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、キリンビジネスシステム株式会社の佐藤匠さんです。


皆さまはじめまして。キリンビジネスシステム株式会社の佐藤と申します。

弊社はその名の通り、キリングループのIT関連業務を担う情報機能分担会社です。システム開発・運用・保守・ユーザー支援などさまざまな領域で、キリングループ各社へITソリューションを提供しています。私はその中で「データマネジメントオフィス」というキリンのデータマネジメント推進をミッションとする組織に所属しています。

JDMCには2021年より参加させていただき、今回は縁あって本稿の筆を執らせていただきました。このコラムでは、キリンのデータマネジメント推進のために私たちがこれまでどんなことをしてきたか、これからどんなことをしようと考えているかをお伝えできればと思います。

ルール作りや研修の整備からスタート、3年目は土台作りから「成果を生み出す活動」へ

データマネジメントオフィスは「キリングループの所有するデータの資産化」をミッションに2020年に発足した新しい組織です。「データガバナンスの仕組みを整備し指導する」「データマネジメント人財を育成する」という役割の下、これまでなかったデータマネジメントという考え方をキリンに根付かせるべく活動しています。

組織発足後にまず着手したのは、データマネジメント関連のルール整備です。具体的には「DMBOK2」のフレームを利用し、実施すべきデータマネジメント施策を特定するとともに、ガバナンスに必要なルールを策定しました。

データマネジメントの研修についても整備を行い、2021年から新設の社内研修として開講しています。また、開発プロジェクトに対するデータマネジメントルール適用の指導および支援も行い、整備したルールの適用を開始しています。発足から2年かけ、これらデータマネジメントの土台となる施策を展開してきました。

そして発足から3年目となる今年は「データマネジメントオフィス価値発揮の年」と位置付け、これまで進めてきた土台作りから、より成果を生み出す活動へと挑戦し始めました。

まず取り組んだことは、キリングループの共通マスタ管理に関する社内アセスメントです。当社には、キリングループ共通で利用するマスタを一括管理する組織があり、データマネジメントオフィスにて、現状調査や担当者へのヒアリング、評価、提言を行いました。

このアセスメント結果を基に、今後は共通マスタ管理の高度化を共同で進めていく予定です。当アセスメントの他に、現在はメタデータ管理施策としてデータカタログを、データ配置最適化施策として、全社データマップの作成を進めています。これらはいずれもデータマネジメントオフィスだけで作れるものではなく、社内の関係者を巻き込みながら、当コラム執筆時点で鋭意作成を進めているところです。


データマネジメントを加速させるため、ビジネス部門との協力体制を築いていく

最後に、私たちがこれからどんなデータマネジメントを進めようと考えているかについて、お伝えして締めくくりたいと思います。

これまでの活動、特に今年から始めた価値発揮の活動を進めていく中で私が痛感しているのは、データマネジメントは私たちだけで進められるものではない、ということです。

データガバナンスの組織である、われわれデータマネジメントオフィスでは、例えばデータカタログに載せるデータ項目の説明や、データマップに載せるシステムの代表的なエンティティが分からず、しばしばシステムを運用している担当者の力を借りています。

現在は情報部門を中心にデータマネジメントを進めていますが、キリンのデータマネジメントをさらに発展、加速させていくためには、運用担当者だけでなく、ビジネス部門とも協力していくことが不可欠と考えます。IT部門とビジネス部門の協力が必要であることは、DXの基本としてよく語られることですが、いざこれを目の前にしてみるとどう進めていくべきか、私たちとしても課題感を持っているところです。

データマネジメントオフィスでは、戦略的にデータマネジメントを推し進めるべく、ビジネス部門の事業目標をベースに「データマネジメントロードマップ」の作成を進めています。キリンがデータから最大の価値を引き出せるよう、これからもデータマネジメントの発展にまい進していこうと思います。 当コラムを読んで気になったことやアドバイスなどがございましたら、お気軽にご連絡いただければと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。


佐藤 匠(さとう たくみ)

キリンビジネスシステム株式会社 品質管理統轄部 データマネジメントオフィス

東京都出身。入社後インフラ部門でDB構築などの経験を経て、2021年から現職。メタデータ管理業務やデータモデリングの社内研修講師を主に担当。JDMC研究会テーマ2「データマネジメントの基礎と価値」にも所属。

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