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No.4 森田 登氏「マスタデータ管理(MDM)の普及を活性化する商品情報管理(PIM)」



本コラムでは、JDMCの諸活動にご指導ご支援くださっている理事の方々の“思い”をお届けします。今回は、三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社 クラウドプラットフォーム事業部 プラットフォームシステム部 データソリューションシステム課長 森田 登さんからのメッセージです。
 

マスタデータ管理(MDM)の普及を活性化する商品情報管理(PIM)

 
 昨年度より理事を務めさせていただいている三菱電機インフォメーションネットワークの森田です。20年近くDWH(Data WareHouse)/BI(Business Intelligence)のビジネスに関わってまいりました。データマネジメントに関し、最近、注目しているソリューションについて述べさせていただきます。
 
■商品情報管理(PIM)
 
 昨今、マスタデータ管理(MDM)のひとつの形である商品情報管理(PIM)への注目度が高くなっています。

 従来から商品マスタ情報の一元管理の重要性は、謳われてきましたが、昨今の所謂オムニチャネルにより、複数の販売チャネルを連携させて顧客に対応することが重要となってきました。昨今のこうした状況は、商品情報一元化の重要性に一段と拍車をかけています。店舗やECサイトで提供する情報は、タイムラグなく同じ情報を提供しなければ顧客対応に支障をきたします。また、ニーズの多様化により扱う商品数も多くなり、商品情報の更新頻度も短期間に発生するため、カタログの作成プロセスも見直しが必要となっているケースも増えています。これらの業務は、従来は手作りで各々データを管理する方法でも業務は回りましたが、業務自体の効率化・最適化が課題となってきています。こうしてみると、PIMは商品情報にまつわる業務プロセスの再構築ととらえることもできます。

 振り返ると1990年代、ERP(Enterprise Resource Planning)のパッケージが急速に普及をはじめました。個々の状況は異なりますが、一部の大企業を除き、部門内の最適システムの集まりでも十分に業務が回り、効率化のニーズもそれほどでもなかった状況から、企業生き残りの競争激化と業務複雑化、更なる効率化要求に加え、欧米から発したBPR(Business Process Reengineering)の波が押し寄せ、コンピュータの処理能力の向上とダウンサイジングの波が加わり、ERPパッケージが中小規模までにも普及を始めました。
 
 現在の商品管理の状況も、同様に従来、情報収集、カタログ印刷、ECサイト更新等で、ばらばらの手作りシステムでもなんとか業務に対応ができました。しかし、前述の企業環境の急速な変化にともない、従来のシステムでの対応の限界が顕著となり、改革を求められてきています。そこへのソリューションとしてPIMの登場です。まさに、背に腹はかえられなくなった状況がPIMの普及を後押ししていると言えるでしょう。今後、ERPのように急速に普及が進む可能性があると考えられます。
 
■マスタデータ管理(MDM)の普及へ
 
 広くデータマネジメントを実現する手段であるMDMは、その重要性は認識されてはいますが、実際に導入となると、計画段階から始まり、その構築、データ品質維持等には多くの時間とノウハウ、コストを要するため、なかなか普及が進まないのが現状です。
しかし、PIMの分野では、投資対効果を見通しやすく、導入を決断しやすい状況と言えます。一般にMDMの構築は対象が広範囲に及ぶため、実践しやすいところから始めるアプローチがとられます。その入り口として、PIMから始めて、データマネジメントの効果を確認しながら、実践範囲を拡大していくパターンが考えられます。
今後PIMが、国内でMDM実現を広げる先鋒となり、企業環境の変化が益々そのニーズを拡大させるであろうデータマネジメントの普及を、活性化させていく可能性があります。
 
 PIMをはじめとして、MDMの実現には、その手段として、データ収集・加工・統合、クレンジング、標準化などデータマネジメントの技術の活用が必要です。また、その最適なパターン、構築・運用方法は各々の企業により異なり、決して単純なものではないでしょう。おのずと解決すべき課題も異なるはずです。情報を収集し、多くの事例を学ぶことも重要です。
 
 JDMCは、各種セミナーの開催、研究会活動、各種情報発信等を通じ、データマネジメントの実践を支援する活動を推進してまいります。私も微力ながら、お手伝いさせていただければ幸甚と存じます。
 
 

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