日本データマネージメント・コンソーシアム

会員コラム

【Vol.107】Dell Technologies・望月亮さん、データ活用にまつわるインフラ環境の歴史を振り返る

JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、Dell Technologies株式会社 望月 亮さんです。


JDMC会員の皆さま、はじめまして。Dell Technologies株式会社の望月と申します。

2021年にJDMCに参加し、今年から「エンジニアの会」などを通して勉強させて頂いております。今回はこのような発信の機会をいただき、ありがとうございます。

弊社Dell Technologiesですが、PCやモニタなどを提供するいわゆるパソコンのDell、もしくはエンタープライズのお客様には、サーバやストレージなどでお目にかかる機会があるかもしれません。

「世界中の誰もが最高のテクノロジーに簡単にアクセスできるように」という理念の下、お客様にITインフラストラクチャをご提供することを生業にしております。 日本では特に「インフラのDell」という印象が強く、また弊社自身ではデータアナリティクス・データガバナンスソリューションなどを持ってはいませんが、多くのエコシステムパートナーと共に検証済みモデル等でご支援させて頂いております。

データ活用にまつわるインフラ環境の歴史を振り返る

15年前はDB/DWHがデータ利活用の中心で、特定の大手ベンダー1製品の、“強く推奨”を意識した構成が主でしたが、2010年付近からOSS/Hadoopその他製品を組み合わせたデータ分析基盤が増え始めました。

「1社で何でもできる」から、使いたいものに繋げられるデータエコシステムがいかに充実しているか?にシフトし、活用事例とその効果(やる価値)についても、考察を求められる時代にシフトしてきていた──と当時を振り返って感じております。

弊社としても多くのベンダー様と共同でホワイトペーパー/検証済み構成などで目的の構成をいかに早く、品質高く、エコシステムを維持したまま提供できるか?に注力しておりました。

ただここ数年は、クラウドでのデータ利活用により環境の多様化がさらに進み、「1サイトに複数ソリューション」に留まらず、複数の環境にデータがまたがる、データのコピー/移動の機会が増えてきています。

環境ごとにデータのお作法やセキュリティポリシーも異なる、同じデータが複数のサイト/ロケーションに存在する構成での管理など、マルチクラウド環境におけるデータの確かさ、質、扱いやすさ、その上でのポリシー遵守と一貫したガバナンスという新たな課題を耳にします。

ここでカッコ良く「マルチクラウドをまたがった、一貫したデータガバナンスソリューションを」と言えれば良いのですが……。弊社としては、インフラベンダーとして、代わりにマルチクラウドで「共有メモリのように扱える」データソリューションやマルチサイトでのデータ保護ソリューションなどを軸に、ユニークなマルチクラウド戦略を打ち出しております。 直近1〜2年を振り返ると、円高影響を踏まえた国内でのオンプレ回帰の検討や、データ漏えいに対するよりセキュアな対応示唆、国・企業のソブリン/データローカリゼーションを目指したデータ配置と保護拡充などにより、昨年よりもデータに対するマルチクラウド戦略の需要・引き合いが増えてきていると感じております。

ChatGPTの登場で、データの「品質」に注目が集まるように

更にここ1年においては、「ChatGPT」のようなデータ活用の敷居を下げるソリューションの登場で、データを活用する側、また開発する側もデータの品質を気にするようになり、データ管理の重要性が高まっているのを感じます。

活用側については、これまでデータ分析・利活用に関わってこなかった方々の活用機会が急激に上がる中、より良い結果を提供するために「土壌部分」のデータの品質、出所、確かさなどの追及、再確認が重視されるようになっています。

また、生成AI開発においても、大手企業による独自AI開発着手のニュースが取り上げられ、NVIDIAの文字と株価が話題に上がっておりますが、その裏で独自の目的に応じたAI開発に向けた自社の特別なデータ利用、目的に応じた言語/キーワードのフィルタリングとプライバシー情報の削除など、データ管理の再チェックと管理基準の見直し・徹底が改めて重要視されています。

(ちなみに現時点で生成AIについては、学習性能とNVIDIAインフラコスト、扱うデータなどから現状オンプレで進める大手が多いです)

多くは優秀なクラウド/ベンダーツールの活躍が起点となりますが、クラウドコストの最適化、データローカリゼーションやマルチクラウド間でのデータマイグレーション、データロスト等に備えた保護対策などで、インフラベンダーもまだお客様のお役に立てる機会があると信じております。

データを扱うインフラ観点を軸に、豊富な分析ソリューションのエコシステム橋渡しやマルチクラウド戦略などでお客様を下支え・連携できればと思い、JDMCにて勉強させて頂いております。

また、私の担当するお客様の多くがグループ間シナジー強化を目的とした利活用機会の活性化とガバナンス強化をミッションとして持たれる方が多いです。自社(Dell+グループ企業)や海外大手でのデジタル化推進、ならびにデータガバナンス推進事例等をお伝えしており、今後JDMCでの活動を通して、更にデータマネジメントに関する知見を深めて行きたいと考えています。引き続き、よろしくお願いいたします。


望月 亮(もちづき りょう)
Dell Technologies株式会社
システムズ・エンジニアリング統括本部
テレコム&サービス・プロバイダSE部
プリセールス・ソリューション・アーキテクト


SIer、外資HWベンダ企業で10年以上金融業中心のPM/システム設計構築を担当。3年のユーザ企業(信託銀)のシステム企画部を経て、現会社で10年超プリセールス・ソリューションアーキテクトを担当。DellEMC/Dell Technologies入社後は金融・テレコのエンタープライズ企業の基幹業務、情報系の活用推進に向けた基盤提案やグローバル事例共有に従事している。

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