日本データマネージメント・コンソーシアム

会員コラム

【Vol.96】栗田工業 岸由子さん、 大切なのは「現場の知見と根気と仲間」はじめてのマスタデータ整備から学んだこと

JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、栗田工業株式会社 岸由子さんです。


皆さま、はじめまして。栗田工業株式会社の岸由子と申します。JDMCには、2022年11月から参加しています。早速、このような発信の機会をいただき、ありがとうございます。

弊社グループは、水処理を生業としている会社です。水処理薬品、水処理装置、メンテナンスに関する商品・技術・サービスを駆使したソリューションの提供による社会・産業の課題解決を通じ、社会的・経済的価値の創出に取り組んでいます。

私が所属するデジタル戦略本部DX基盤部は、2022年4月に新設された部署であり、DXの加速に向けて社内のデータ活用を支えるデータ基盤の開発やデータガバナンスなどを担っています。

私の担当は、マスタデータ整備やマスタデータ管理の仕組みづくりです。取り組みを始めてまだ1年も経っておらず、経験が浅い段階ではありますが、今回のコラムでは、弊社グループのマスタデータ整備の取り組みと、その中で私が大切だと感じていることを紹介したいと思います。

マスタデータ整備の取り組みについて

弊社は、2020年からグループ会社であるAIベンチャーのFracta Leap社※1と共同プロジェクトを開始するなど、これまで培ってきた水処理の技術・ノウハウと、AIやIoTなどのデジタル技術を組み合わせた新たな価値の創出に力を入れており、水処理プラントの自動設計や最適運転の分野で少しずつ成果が出始めています。

※1:2018年よりクリタグループに加わった米国AIベンチャー企業のFracta社が2020年に設立した、水処理に関わるデジタル技術の専業企業

しかし、運転データの解析を進める中で、水処理プラントや処理対象のお客様設備から取得したデータや水質分析結果などに、システムごとに設定された設備情報が含まれており、複数のデータを組み合わせて解析するためには、事前のデータ準備に多大な労力がかかるという課題が見えてきました。

そこで、データ活用の促進に向け、設備情報のマスタデータ化(設備マスタ)を最初のターゲットに定め、検討を行いました。

弊社では、本格的にマスタデータ整備を行うのは初めてだったため、どう進めるべきか悩みながら取り組んできましたが、社内関係者の協力を得て、設備マスタの定義やルールを策定でき、現在はさまざまな設備での適用検証を行っています。

今後は、今年度策定した定義・ルールに基づいて、設備マスタを登録・更新していくための業務プロセスやシステムの検討を進めていくことを予定しており、ここからが本番だと感じています。


マスタデータの整備に取り組む上で大切だと感じていること

まだ道半ばではありますが、約半年の取り組みを通じて、マスタデータを整備していく上で大切だなと感じたことを3つご紹介したいと思います。

①実物を見ること、知ること

まず、「設備マスタ」で扱っているのは、データやテキスト情報ではなく、実際に水処理を行っている設備であるという認識を持つことの大切さです。

システム開発を担当していると、どうしても設備の名称やコードなどから分類を考えてしまいがちなのですが、実際に有識者の方に協力いただいて、設計図面を理解したり、現場で水処理プラントを見せてもらうと、印象が全く異なり、分類や定義を考える際の視点が大きく変わることを実感しました。

②もっとシンプルに表現できないか、根気強く考えること

設備マスタの定義を考える上で、苦労した点の一つが、汎用性のある設備の階層構造を考えることでした。

実際に、社内関係者に話を聞くと、設計の視点や調達の視点、運転管理の視点など、業務に応じて、さまざまな粒度で設備を見ていることが分かってきました。

もはや「フラットに設備を見られるのは、私たちしかいない!」というくらいの気持ちで、話を聞き、根気強く考えることを意識しました。その結果、共通化できそうな部分が見え、最終的には、かなりシンプルな構造にすることができました。

③マスタデータ整備の難しさを共有し、一緒に考えてくれる仲間がいること

一番大切なのは、ここだと感じています。今回、少しずつでも前に進めることができたのは、Fracta Leap社との共同プロジェクトなどを通して、「データ活用を加速するためには、設備情報のマスタデータ化が重要である」という認識が社内に生まれており、一緒に悩み、考えてくれる方たちがいてくれたことが、とても大きかったと感じています。

弊社グループのマスタデータ整備やデータマネジメントの取り組みは、始まったばかりで、まだまだこれからが本番という段階です。

今後も、悩みながらの取り組みが続くと思いますので、研究会の活動などを通じて、JDMCの皆さまの知見やご経験から、たくさん学ばせていただけるとありがたいです。引き続き、よろしくお願いいたします!


岸 由子(きし ゆうこ)

栗田工業株式会社
デジタル戦略本部DX基盤部 データ基盤開発課

2010年に栗田工業に入社。水処理薬品の技術担当を経験した後、開発本部に異動し、センサー開発、海外グループ会社の開発テーマ管理などに従事。2016年から社内の技術情報の共有システムの企画・開発を担当したことをきっかけに、業務プロセスやシステム開発を含めた仕組みづくりの楽しさを知る。その後、2020年に新設されたデジタル戦略本部に異動し、2022年よりマスタデータの整備に取り組んでいる。

『攻めのデータ活用の「つまずきポイント」に備える49のチェックリスト』に収録の、「チェックリスト」の簡易版を一般公開、多くの企業や団体組織で利用いただくことが狙い。

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