日本データマネージメント・コンソーシアム

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【報道発表資料】JDMC、2023年データマネジメント賞が決定

報道発表資料

2023年 3 月 8日

一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)

JDMC、2023年データマネジメント賞を決定
~大賞/データガバナンス賞/モデリング賞/データ人材賞/アナリティクス賞など各賞を発表~

一般社団法人 日本データマネジメント・コンソーシアム(略称:JDMC、東京都江東区豊洲、会長:栗島聡)は、2023年データマネジメント賞の受賞企業を決定いたしました。データマネジメント賞とは、データマネジメントにおいて、他の模範となる活動を実践している企業・機関などの中から優秀なものに対して授与している表彰制度であり、今年で10回目を迎えます。

今回は、データマネジメント大賞を受賞した日本製鉄を含め、6社が各賞を受賞しました。各賞の選定にあたっては、JDMC 運営委員会内に審査委員会を組織し、評価の上、決定しております。 デジタル化を進めるには、データ活用が根幹であり、それを実現するためには、データマネジメントに真摯に取り組むことが必要になります。この賞を通じ、様々なデータや情報のマネジメントに関する社会的認知を高め、企業・機関などでデータマネジメントを実践する人や組織の活性化を促進し、日本企業・組織の競争力強化へ寄与するものと JDMC では考えております。

下記の通り、JDMC が2023年3月9日に主催する「データマネジメント 2023」にて表彰式を行い、賞の授与を実施する予定です。

表彰式の開催

日時:2023年 3 月9 日(木) 9:35‐9:50
会場: ライブ中継
※JDMC 主催のカンファレンス「データマネジメント 2023」のタイムテーブルにて実施

受賞企業

賞名受賞企業名
大賞日本製鉄株式会社  
データガバナンス賞HILLTOP株式会社
モデリング賞PFUテクノワイズ株式会社
データ人材賞旭化成株式会社
アナリティクス賞イーデザイン損害保険株式会社
アナリティクス賞株式会社MonotaRO

賞の説明

賞名説明
大賞                 データマネジメント活動において、特筆すべき取り組み・成果を出した企業・機関などで、この取り組みが現状および将来にわたり他の模範となると認定された場合に授与します。
データカバナンス賞困難な部門・システム間の調整を断行し、横断的なデータ管理ルールを設計・導入した取り組みに対し授与します。
モデリング賞データの現状分析からデータモデリングを再構築し、データの利活用が進み、内外の課題解決に著しい成果をもたらした企業・機関に授与します。
データ人材賞データマネジメント活動を支える人材育成への優れた取り組みに対し授与します。
アナリティクス賞データ量が劇的に増加する中、企業情報システム、ウェブアプリケーション、センサーなどが生み出す膨大なデータを分析し、さらにサードパーティーデータ等も併せて活用しながら、実際のビジネスの現場で活用することにより、多大な成果を上げた取り組みに対し授与します。

受賞理由

データマネジメント大賞/日本製鉄株式会社

■IoT、データカタログ、AI、BI を駆使したデータドリブン経営への取り組み
長い社歴を持つ複数の企業が統合して現在の日本製鉄になったことは、周知の通りである。各地の製鉄所にはそれぞれの流儀もあるため、全体を俯瞰した形で操業状況を可視化することの困難さは容易に想像できる。一方で顧客ニーズが多様化・細分化し、ベテランが退職し、グローバル競争も熾烈になる中、経営の意思決定の迅速化・最適化、あるいは現場におけるものづくりの課題抽出や成功ノウハウの移転、さらにカーボンニュートラルの取り組みは急務である。
そこで同社は、製鉄所内にIoT センサーを設置し、「NS-IoT」と呼ぶセンサーデータの一元管理プラットフォームでデータを収集する仕組みを構築。並行して複数製鉄所・部署の用語を共通言語化し、全社のデータを集約・カタログ化する統合データプラットフォーム「NS-Lib」を構築した。さらに専門家以外でもデータを活用でき、AI による画像解析も行えるプラットフォーム「NS-DIG」も整備済みである。これらの取り組みはトップダウンで推進しており、データ人材面でも現場および管理者向けの教育メニューを設け、シチズンデータサイエンティストを2025年までに1000名以上育成する計画である。NS-Lib を適用している製鉄所はまだ一部に留まるが、各製鉄所で個々に蓄積しているデータや経営上必要とするデータを統合する取り組みは高く評価できるものである。よってデータマネジメント大賞を授与する。


データガバナンス賞 /HILLTOP株式会社

■職人技を徹底してデータ化し、先進的な試作品メーカーに業態転換
1961年創業のHILLTOPは設立当初、自動車業界向け部品を孫請けで製造していた。毎年、元請けから値下げ要請があるので収益は厳しく、社員の満足度も高いとはいえない企業だった。誰でもできる役務提供から知識労働へ転換しなければ明日はない。そう考えた同社が着目したのが、データである。工作機械の設定や加工手順のノウハウなど熟練職人任せだった部品加工技術をすべてデータ化・標準化し、人がやるべきこと(知的労働)と、機械に出来ること(ルーティーンワーク)を徹底的に分業、「HILLTOP System」としてシステム化。例えば通常は800 項目ほど必要な設定が25 項目で済むようにした。
ヒントは主婦の高度なノウハウを数値化したマイコンジャーや、未経験に近いアルバイトがパテを焼けるマクドナルドのレシピから得たが、簡単ではなかった。PC が存在しない1980 年代前半は、紙に作業記録や作業レシピを記録。そこから長年をかけてHILLTOP Systemに結実させた。現在はアルミの切削加工に特化し、一品物の試作品を3000~4000品目/月ほど生産している。コロナ前は年間3000人が工場見学に来るほどであり、米国に進出済み。就職人気も高く、多いときで2500人の応募があるという。同社の取り組みは暗黙知を可視化・データ化することのインパクトを明確に示しており、データガバナンス賞を授与する。


モデリング賞/PFUテクノワイズ株式会社

■データモデルの利用・改善で多品種少量生産を可能に
同社は板金加工からプリント基盤ユニットの製造、ケーブル加工、あるいは製品の組立までを行う受託生産メーカーである。生産品目の80%が10台以下にも関わらず、高い歩留まりと短いリードタイムで多品種少量生産をこなしている。このために同社では、受注データを元に製品を構成するユニットへの展開、製造部品表(EBOM)や製造手順書・試験プログラムの作成を自動化している。
そこには生産工程で使用する治工具、ボルトやねじなどの使用順序と個数や締め付けするトルクなどの指示も含まれており、この仕組みにより1 ラインでの混合品種生産や多品種少量生産を可能にしている。
すべてのベースとなっているのが、同社の改善活動から生まれたデータモデルである。日々の活動で得た改善の気付きをもとに部品展開や作業手順書などのブラッシュアップを行い、さらにデータモデルの改善に生かすというサイクルである。改善活動の延長線上に、データモデルの高度化・精緻化が組み込まれている点で同社の取り組みは他の中小製造業の模範となり得る。これを評価し、モデリング賞を授与する。


データ人材賞/旭化成株式会社

■オープンバッジ制度と専門人材教育によるデータ人材育成
デジタル化やデジタル技術の進化が急速に進む中、リスキリング(人材の再教育や再開発をする取り組み)の重要性が強調されている。具体的にどのように取り組むと効果的なのかは、必ずしも明らかではない。この点で参考あるいは参照材料となるのが旭化成の取り組みである。
繊維素材、樹脂などの石化製品の原料となる基礎化学品から高機能素材などマテリアル領域、ヘルスケアや住宅領域など幅広く事業展開する同社は、グループ全体で取り組む重要テーマの1つにデジタルトランスフォーメーションを掲げ、デジタル共創本部を設立。データマネジメント基盤を中核に置きながら、ビジネス変革、経営の高度化、デジタル基盤強化を推進している。それらを実現するために重視しているのが人材である。①全従業員4万人を対象としたデジタルリテラシー教育に加えて、②デジタルに精通した専門人材(デジタルプロ人材と呼ぶ)を2024年度末に2500人にする施策に取り組んでいる。このうち①ではDX オープンバッジ制度を導入。デジタルリテラシーの自発的な学習を促し、すでに1 万5000人以上がバッジを取得している。一方②では、新製品や新たな製法を開発する際にマテリアルズ・インフォマティクスを使いこなせるMI人材育成や、工場における品質改善・トラブル削減のような現場の課題解決にデータ分析・改善を行うパワーユーザ(PU)育成に積極的に取り組んでいる。
2022年11月時点でMIプロ人材は318名、PU教育は162名が修了している。さらにデジタル技術のコミュニティ活動も盛んであり、例えばMI教育に際しては「IFX-Hub」というプラットフォーム上のQ&Aチャットを経由して受講者同士が機械学習やPythonを学びあえる環境を提供している。同社の人材育成の取り組みは参考となり得るものであり、データ人材賞を授与する。


アナリティクス賞/イーデザイン損害保険株式会社

■データドリブン経営に向けたCoE(Center of Excellence)の設置・運営
同社は東京海上グループのダイレクト損保であり、主力商品はすべてをオンラインで完結させる自動車保険「&e(アンディー)」である。「&e」では契約者の車両にセンサーを設置し、アプリとの連携で日々の運転をサポートしつつ、様々なデータを取得している。この運転データをはじめとしてコールセンターに集まる顧客の声など社内外のデータを集約・分析し、顧客サービスなど経営に生かす中核組織として同社は、2021年にCoE(Center of Excellence)としてビジネスアナリティクス部を設置した。
CoEは、全社IT戦略の立案・推進を担うIT企画部と協調しながら、データドリブン経営への移行をリードするミッションを担っており、KPIの可視化・PDCA支援、各種分析・モデル構築、分析基盤の構築・運用を10人体制で順調に遂行している。このCoEの特徴は「ビジネス現場でデータを生かすこと」を重視したこと。そのため外部専門家を招聘せず、スタッフ全員を社内の現場メンバーから構成する。データサイエンスやデータエンジニアリングのスキルが弱くなる副作用が生じ得るが、この点はツールやソリューションで補完できるという考えである。同社におけるCoEの活動内容や組織体制は、データドリブン経営に欠かせないCoEのひな形となり得るものであり、アナリティクス賞に値すると評価する。


アナリティクス賞/株式会社MonotaRO

■高い売上高成長率を10 年以上維持するデータ活用の取り組み
製造・建築現場で使う工具や部品、消耗品などのネットストアを運営するMonotaRO(モノタロウ)。取扱商品点数は1900 万を超え、顧客数は800万と膨大である。Webサイトの検索や推薦機能、広告やメールなどを用いたマーケティング活動など日々、顧客の利便性を高める工夫は必須である。注文があれば早期に配送する必要があるが、一方で物流センターに在庫できる商品点数には限りがあるため、物流の需要予測なども極めて重要である。活動を支えるのがGoogle Cloud Platform (GCP)を生かしたデータ基盤であり、それを活用したアプリケーションやアナリティクス(データ分析)である。データ基盤には現在、社内のほとんどのデータが蓄積され、 社員の半数以上が日常的に利用する。アナリティクスをリードするのはデータサイエンティストだが、それだけではない。例えばマーケティング部門で育成したデータ分析人材が別部門に異動することでデータ分析のスキルを様々な部門に展開してきた経緯がある。
こうしたアナリティクスの実践は、効果的な販促やリピート注文を生み出すなど、高い効果を上げており、実際に同社は2010年以降、20%近いの売上高成長率を維持している。同社の取り組みはアナリティクスのパワーを実証するものであり、データアナリティクス賞 を授与する。

以上

参考:データマネジメント賞実績<https://japan-dmc.org/?page_id=15253

◇本リリースに関するお問い合わせ先

一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム
データマネジメント賞 事務局
担当 土田  E-Mail:info@japan-dmc.org
東京都千代田二番町1-2-735  TEL:070-3278-2011

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