日本データマネージメント・コンソーシアム

PICK UP

[レポート] JDMC LT#1 「データ組織がデータマネジメントを進める上でのポイント」

JDMC LT#1でモデレーターを務めさせていただきましたバンダイナムコネクサスの吉村と申します。

12月16日に、JDMC初のライトニングトークである「データ組織がデータマネジメントを進める上でのポイント」が開催されました。全6社のデータマネジメントを推進している担当者からデータマネジメントのポイントをお話しいただく内容です。事前の募集も300名以上が集まり大盛況でした

本記事はライトニングトークの速報レポートとなります。
レポートを読んで、興味を持っていただきましたら、以下のアーカイブ動画もぜひ視聴ください。

イベント概要

JDMC麹町スタジオのLTです。 データマネジメントはビジネス成果のため組織が保持するデータを整備してゆく必要がありますが、スムーズに進められることは少なく、組織の壁、知識の壁、技術の壁、ビジネスの壁と様々な壁を乗り越えないと進められないという現状です。

データエンジニア、データアナリスト、データマネージャー等、データマネジメントを進める人は様々な職種の方の視点でデータ基盤やデータ活用に関する話題をカジュアルに発表し、一層のデータマネジメント推進を目指します。

データマネジメントに必要な「メタ」情報を集めてみた。

パーソルキャリア 河野裕騎さん

取り組み背景                                  

データマネジメント推進を行っている中で部署の壁を感じた。
手段として会社の「メタ」情報を集めた。

会社の「メタ」情報とは

部署がどのような活動をしているのかドメイン知識を会社の「メタ」情報と呼んでいる。
まずは、データマネジメントを進める上で誰に何を聞いたらいいのかという情報をまとめた。

「メタ」情報をどのようにまとめたか

まずはオウンドメディアをベースに情報を集めた。オウンドメディアからデータの活用状況と担当者が見えてきた。
担当者がわかるとSlackで声をかけて関係性を築いていくことができた。

「メタ」情報の共有

聞くだけじゃなくて、ドキュメントに集約して共有することで、再現性が出るように整えていった。

「メタ」情報の効果

部署の温度差や、指標軸、データの流通のニーズがわかってきた。
部署間をつなげることができるようになった。
同じような仲間が社内にいる。情報を展開するときには情報を求めている人に必要な情報を伝えて仲間を増やしていくことが重要。
困っている人はどこかにいるので、探してつなげることでデータマネジメントの推進するための支援を受けられるようになった。


 データサイロを乗り越えやるべきことを判断するためには

 アビームコンサルティング 中村大輔さん

取り組み背景

VUCAに対応されていないデータマネジメントの実態。
多種多様なデータソースがそれぞれのタイミングで集められる。
情報系システムに収集されるのですが、パンドラの箱になってくる。
データ利活用を推進すればするほどサイロ化していく。

技術視点でのサイロ化の解消手段

モダンデータスタックと呼ばれる技術により技術的な課題は解消された。

データをビジネスに活かすための取り組み

最終的にはビジネス価値が目的だが、手段が目的化してしまうことが多い。
組織の最も重要なデータに焦点を当てて取り組む必要がある。
企業全体のデータモデルを作成することが解決方法になる。
現在の複雑なデータに対応するためには、抽象化したものから具体的にしていく必要がある。


 分析組織でデータエンジニア組織を立ち上げた話
 バンダイナムコネクサス 藤井祐麻さん

取り組み背景

2019年ごろはありものの基盤でスマホゲームの分析を行ってきた。
「ありものの基盤」に対して課題が浮き彫りになってきてきた。

エンジニア組織立ち上げ

会社的にもエンジニア組織が求められていて、手を上げた瞬間立ち上げが決まった。
まずはエンジニアが働きやすい環境づくりから行った。

・エンジニアリング以外に時間がかかるところを減らしていった。
・データ基盤の将来像を書いた
・コミュニケーションパスを確立していった
・必要な役割を整理して人を集めた

エンジニア組織立ち上げの効果

内製化のメリットに近いですが、分析官とのコミュニケーションがやりやすいという声も上がっている。
データエンジニアが一方的に受託するケースが昔はあったが、双方向になったことでバランスを取ってやり取りすくことができるようになった。


 キリンのデータマネジメントのこれまでとこれから
 キリンビジネスシステム 佐藤匠さん

取り組み背景

データマネジメントオフィスという組織に所属しており、データをビジネス活用するための資産としてできるように取り組んでいる。

2022年以前の活動

データマネジメントを推進するためDMBOKホイールから主要3施策を定めて、まずはデータマネジメントに取り組む土台を作っていった。

・メタデータ
・データクオリティ管理
・データセキュリティ

開発案件へのデータマネジメントの適用

全社的にデータマネジメントの重要性が認識され、重要開発案件にはデータマネジメントを適用するように業務フローに組み込むことができた。
現在まで8案件をDMOで実施。

教育への取り組み

開発への適用と同時に研修コースを始めた。
・データマネジメント概論
・データマネジメントを開発で適用するための実技
・データ構造図の読み書き

2022年の活動について

今年はデータマネジメントオフィスがキリンに価値を提供する種まきの1年。
50システムを対象にデータカタログ、データマップ作成した。
また、MDMアセスメントを行った。
まいた種が実を結びつつあり、情報部門にはデータマネジメントが浸透してきた。
情報部門のみならずビジネス部門を巻き込むことがこれからの課題。


 なぜモノタロウでデータマネジメントが必要になったのか

 MonotaRO 香川和哉さん


取り組み背景

モノタロウのデータ基盤
BigQueryにデータを集めて、各種システムからデータを集めている。

モノタロウのデータ基盤の歴史

2010年~2015年
・販促基盤とDWH
マーケティング部門の一部メンバーがSQLを書いて分析していた。
2016年ごろ
・データ分析人材の展開
データ分析人材の展開ということで、データ分析をやっていた人を部署に拡散して人材を増やした。

2016年~2019年
・BigQueryの導入と展開
データ人材が増えて既存のシステムに限界が見えてきて、BigQueryの導入を始めた。
ユースケースも利用者も増えていった。

2020年~2021年
・局所最適化
売上のような基礎的な指標であっても、部署間での定義が統一されていないということが出てきた。
自由に使えるが簡単ではない。統制を取るのが難しい。

2022年
・データ管理
統制を取るのが難しい状況だったので、とりにいった。

データマネジメントを推進するためのポイント

データマネジメントは一見地味なので、伝わりにくい。
課題に対するソリューションであるということを明確にして説明する必要がある。

データマネジメントを推進する時期

データ活用のボトルネックがデータマネジメントであるという状況になったら、データマネジメントの登場シーンと考えている。
データ活用の初期のボトルネックはデータマネジメントよりデータ活用が優先されることもありうる。

次の打ち手

データを生み出すシステムや業務の時点でデータ活用を見据えて、データ管理しやすいデータをどう生成するかという視点で進めることを行っている。


 友情・努力・勝利の3大原則 データマネジメントクエスト

 エナリス 小山真美さん

取り組み背景

システム部門発でデータマネジメントの推進を行い、MDMとデータHUBをリリースしたが不評だった。
説明が足りていないことが要因と考え、MDMとは何か、データHUBとは何か?という説明をしたが利用者から支持を受けることはできなかった。

進め方を見直した

JDMCからアドバイスをもらって、進め方を見直した。
アドバイスから以下5つをピックアップして推進した。

・仲間を作れ
・SmallStart&SmallSuccess
・仲間を増やせ
・ITを駆使して価値をだせ
・データを意識した支援をしろ

見直した結果

データマネジメントができていない課題を感じている仲間を見つけ、既存資産の流用&少数最強戦略でプロトタイプを素早く作成した。
ユーザー部門がホントに欲しいものを作成でき、ユーザー部門自らが成功例を全社に共有してくれるようになった。

主役がシステム部門からユーザー部門へ

データマネジメントの価値が全社に広がり、主役はシステム部門から、主役はユーザー部門へ移行する事に成功した。
まだまだ課題はあるが、ユーザー部門との信頼関係が構築でき、データマネジメントの推進を進める土台ができた。


■最後に

どの講演も大変ためになる内容でした。自分もデータマネジメント推進を行ってますが、各データマネジメント担当者の苦労が目に浮かびます。次回のLTもご期待ください。

JDMCではデータマネジメントに関する発信を行っております、今後ともよろしくお願いいたします。

>>JDMC YouTube

RELATED

PAGE TOP