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【報道発表資料】JDMC、2024年データマネジメント賞が決定

報道発表資料

2024年 3 月 5日

一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)

JDMC、2024年データマネジメント賞を決定
~大賞/データ統合賞/データ活用賞/先端技術活用賞/特別賞など各賞を発表~

一般社団法人 日本データマネジメント・コンソーシアム(略称:JDMC、東京都江東区豊洲、会長:栗島聡)は、2024年データマネジメント賞の受賞企業を決定いたしました。データマネジメント賞とは、データマネジメントにおいて、他の模範となる活動を実践している企業・機関などの中から優秀なものに対して授与している表彰制度であり、今年で11回目を迎えます。

今回は、データマネジメント大賞を受賞した日本郵船を含め、6社が各賞を受賞しました。各賞の選定にあたっては、JDMC 運営委員会内に審査委員会を組織し、評価の上、決定しております。 デジタル化を進めるには、データ活用が根幹であり、それを実現するためには、データマネジメントに真摯に取り組むことが必要になります。この賞を通じ、様々なデータや情報のマネジメントに関する社会的認知を高め、企業・機関などでデータマネジメントを実践する人や組織の活性化を促進し、日本企業・組織の競争力強化へ寄与するものと JDMC では考えております。

下記の通り、JDMC が2024年3月8日に主催する「データマネジメント 2024」にて表彰式を行い、賞の授与を実施する予定です。

表彰式の開催

日時:2024年 3 月8 日(金) 9:35‐9:50
会場: ホテル雅叙園東京
※JDMC 主催のカンファレンス「データマネジメント 2024」のタイムテーブルにて実施

受賞企業

賞名受賞企業名
大賞日本郵船株式会社
データ統合賞富士通フロンテック株式会社
データ活用賞株式会社セブン銀行
データ活用賞社会福祉法人善光会・株式会社善光総合研究所
先端技術活用賞ジオテクノロジーズ株式会社
特別賞北良株式会社

賞の説明

賞名説明
大賞           データマネジメント活動において、特筆すべき取り組み・成果を出した企業・機関などで、この取り組みが現状および将来にわたり他の模範となると認定された場合に授与します。
データ統合賞これまで困難とされてきた「マスターデータの統合」に果敢にチャレンジし、成果を上げた取り組みに対し授与します。
データ活用賞データ分析やデータサイエンスの技術を駆使し、ビジネスにインパクトを与える優れた取り組みに対し授与します。
先端技術活用賞先進的な理論や技術に対していち早く試み、ノウハウや成果を公開するなど、他の模範となる取り組みに対し授与します。
特別賞既存の賞の枠組みにとらわれない、卓越したデータマネジメントの取り組みに対し授与します。

受賞理由

■自社に加え日本の海運を支えるデータを活用した取り組み
国際的な海上運送を中心に貨物機やトラック・鉄道輸送も手がける日本郵船は、合計 800 隻以上に及ぶコンテナ船やタンカー、バルク船および木材チップ船、自動車船、冷凍船、LNG船などを日々、運航している。そんな同社にとって効率的な配船による船舶の稼働率を高めることや、故障による停船や海難事故を避けることは極めて重要である。今日では船舶などの運航に伴って生じる CO2 排出量の削減も、重要な経営テーマとなっている。 こうした課題に対応するため、同社は様々な IT/デジタル技術を活用している。中でも基盤と位置づけるのが、船舶運航、海運事業、それにグループ経営という 3 つの領域に関するデータレイクの整備と活用である。例えば船舶運航では、2000 年代と早くから IoT な どによる数 100 隻の船舶の稼働・運航データを取得してきた。これを天候や海流のデータなどとともに分析することで、船舶設備の予防保全、海難事故の防止や効率的な運航ルートの探索などを可能にしている。データ活用により燃費に優れた運航ルートや運航方法を産出することは、すなわち CO2 排出量の削減にも直結する。 また海運事業ではグローバルな業務プロセスとデータを標準化し、業務効率化はもちろん、運賃/燃油の先物市況エクスポージャー管理、採算責任の明確化をしながら、海運事業に関わるデータレイクの整備を進めている。これにより海運事業を高度化し、市況の変動に左右されがちな海運事業の収益力向上に努めている。一方、将来の脱炭素船隊の整備に向け、海運業務の知見と船舶運航データに基づくシミュレーションモデルの開発や、 GHG排出量シミュレーターなども開発している。これらも当然ながらデータの蓄積があってこそである。 このほか日本の海運会社の船舶運航データの共有を推進するシップデータセンター (ShipDC)との間で、日本郵船が運航する約 200 隻の運航データを共有。ShipDC 経由で、 日本郵船が収集した風向きや風速などの海洋情報を海上保安庁に提供することも行っている。「このようなデータ提供は(競争ではなく)協調領域であり、日本近海の潮流予測の精度向上に資する」との考えからである。以上の説明は同社のデータに関する取り組みの一部であるが、これだけでも他の規範となる志の高い取り組みであり、大変高く評価できる。よってデータマネジメント大賞を授与する。

■開発・調達・製造をデータで一貫連携、2018 年比で生産性 250%向上を実現
富士通フロンテックは、金融、流通、公共、医療等の業界に向けに ATM・POS システム・手のひら静脈認証システム・RFID 等を提供し、企業と消費者の接点(フロント)で幅広い分野で事業を展開している。
以前は紙のチェックシートの準備・集計や、製造直前での変更による調整・工程の再編成を人が行うため非常に工数がかかるなどの問題があり、2018 年から製造部門主体で設計・調達システムを含めたデータ連携に取り組んだ。具体的には、3DCAD、VPS、PLM や自社開発の生産管理システムのデータ、受入検収データ(入荷・検収・品質・作業工数)、構内物流データ(受払・工数・品質・運搬時間)、工程管理データ(工数・進捗・出来高・製品情報・品質・工程異常・作業スキル・段取替・等)を、「ものづくりデータベース(Oracle)」に集約し、IoT や動画など非構造化データも Splunk で連携し MES システムとして活用している。
これにより、例えば、3DCAD データから、仮想設計検証(CAE 解析)及びデジタルモックアップを活用した試作レス・仮想工程設計(各工程での作業標準含む)の生産ラインを構築。また、製造現場では、各工程にタブレットや Web カメラ・センサーを設置し、工程の進捗状況をリアルタイムに把握し、問題の把握や気付きをもとに迅速な改善活動を展開している。
現在様々な製造業で、IoT・各種センサー・PLM や MES などが部門毎に導入されているが、部署間の壁やベンダー間の連携の無さから、導入したソリューションのデータ連携が遅れ大きな課題となっている。同社では、製造現場主体で設計開発部門や各部門と協力したデータ連携による紙の廃止と柔軟な製造変更対応を可能にし、2018 年比で生産性 250%向上、生産リードタイム 45%削減など大きな成果を挙げている。
同社の取組と成果は、多くのデジタル化に取組んでいる製造業の模範となり得るものである。よってデータ統合賞を授与する。

■2万7000台を超える ATM をデータと AI の活用で高度化
セブン銀行は、主にコンビニエンスストアに設置した ATM で事業展開するユニークな銀 行である。セブンイレブンの店舗数 2 万 1000 店に対して ATM は 2 万 7000 台以上あり、平均で 260 万人/日が利用し、年間の現金取扱高は 44 兆円にも及ぶという。そんなセブン銀行が力を入れているのがデータや AI の活用であり、現金補充の効率化やその他様々な 成果を上げている。 一例が ATM の障害予測。ATM の製造や保守は外部に委託しており、以前は定期的に部品を変えるなど定期メンテナンスを実施していた。しかし 2 万 7000 台を超える規模になるとコストは無視できないものになる。そこでデータを取得できる ATM を作り、予兆保全で きるようにした。それ以上にコストのかかる現金の補充では蓄積した入出金データから入金と出金の関連性や季節イベントなどの影響要因を考慮して将来の差額を予測する AI モデルを構築。数度のチューニングを経て一定の精度に高め、現金切れをなくしたり補充回数を減らしたりするなど、コスト削減およびサービス向上を実現している。 生命線の 1 つであるコンビニ外の ATM 設置場所の決定にもデータを活用している。インドネシアでは地理的データや人流データ・需要などを分析し、効率的な場所に ATM を設置することに成功している。また顔認証技術の導入により不正カード使用やなりすまし防止、取引時に暗証番号が不要になるなどのセキュリティや利便性の向上を実現している。 ATM 以外にも音声認識、自然言語処理を利用した「コールセンター問い合わせ内容自動整理AI」や、一般的な与信のほかに nanaco カードでの利用データ(利用・支払い履歴) を収集して与信スコアの算出を行う「nanaco 与信スコア AI」も運用。他の金融機関では与信が通らない顧客を獲得している。 こうした AI・データ活用を加速するため、同社はデータマネジメント・オフィス (DMO)を設置。データマネジメント基盤やデータガバナンスを担当する体制を構築した。DMO はこのほか、コミュニティを作って成功・失敗事例を共有する取り組みも行って いる。「AI やデータ活用は簡単ではない。季節変動などもあるので、3 割はうまくいかない」と同社は説明するが、全国展開する ATM から得られる大規模データの活用で業務の最適化や顧客の利便性向上・サービスの最適化に取り組んでいることは事実である。よって データ活用賞を授与する。

■データとテクノロジーの活用による効率的な介護サービス提供の取り組み
日本の介護分野は、社会保障費の増大に伴う国家財政の圧迫と介護人材の不足に直面しており、介護保険制度の維持に向けた緊急の対策が求められている。予算と人員が逼迫する中で、持続可能なサービス提供体制を構築することが切実な課題である。このような状況の中、社会福祉法人善光会は、2005年の設立以来、「オペレーションの模範となる」「業界の行く末を担う先導者となる」という理念のもと、データとテクノロジーの活用による、効率的な運営と高品質な介護サービスの提供に尽力している。 同法人は現在、介護現場でのデータ収集と分析により、高品質な介護サービスの提供と業務の効率化に取り組んでいる。収集するのは、介護記録ソフトによる介助情報、センサーで収集する情報、科学的介護情報システム(LIFE)による利用者の ADL(日常生活動作)や 栄養状態に関する情報など、多岐に渡る。 当初、このデータ収集において介護現場におけるデータ入力に関わる業務負担が大きく、結果としてデータが入力されない課題があった。これに対処するため善光会は、介護職員が どのタイミングで、どの場所で入力するかを考慮し、確実な入力を促すように工夫したソフトウェアを開発した。それにより記録の正確性が向上し、申し送り時間も大幅に削減できるようになった。なおソフトウェアは現在、「SCOP」と命名して外部にも提供している。 一方、夜間の定期巡回の負担を軽減するため、睡眠状態を検知するセンサーを導入した。 ベッドのマットレス下に装着するセンサーで、利用者の体に直接装着せずにデータを取得できるように工夫されている。遠隔で利用者の状況を確認できるようになったことで、不要な巡回を省略できるなど職員の負担軽減を実現している。 さらに介護ケアの客観的な評価に基づく業務改善に注力しており、SCOPの介助データ とLIFEのデータを用いて介護アウトカムに影響を与える因子を評価し、分析結果に基づいた介護計画の策定と業務実施に取り組んでいる。 上記のような取り組みによって、職員1 人あたりの利用者比率が全国平均の 2 人に対して 2.8 人と、介護品質を維持しながらも高い業務効率を達成している。善光会の取り組みは 予算と人員不足の問題を抱える介護業界において模範となり得るものの 1 つであり、データ活用が社会貢献する道筋を示したとも言える。よってデータ活用賞を授与する。

■画像認識技術と人流ビッグデータの融合によるデジタル地図の構築 
デジタル地図は個人のルート検索はもちろん、配車・配送ルートの策定や出店計画など企業分野でも不可欠であり、今や社会インフラの 1 つになった。そのデジタル地図の専門企業であるジオテクノロジーズは、カーナビゲーションの地図データ提供や一般個人向けの地図検索サイト「MapFan」の運営、さらに ADAS(先進運転支援システム)のソリューション提供など複数の事業を展開している。そのために日々、地図に関わる様々なデータを収集し、活用価値を高めるべく関連データベースを整備している。しかしデジタル地図データを整備するのは容易ではない。全国のいたるところで今この瞬間も新しい道路が開通し、施設や店舗が誕生している。道路標識や信号などもどんどん変わっていき、地名の変更もある。そうした膨大な変化をできるだけ早く集めてデジタル地図に反映し、検索やルート案内などの多様な機能を実現していくことを求められるのだ。
この難題に対し、ジオテクノロジーズは自社システムによる走行調査画像や大量の航空写真から時系列変化を自動抽出する画像認識や AI 技術を開発。道路ネットワークの変化や場所の状況を検知し、同社自身のデータ整備・管理を効率化するとともに、時系列変化に基づく通行量や渋滞の予測なども行っている。1 日当たり 10 億件以上を取得するという、膨大かつ緻密な人流データを生かした交通分野の経路解析や観光分野の回遊分析も同社の強みである。
さらにデジタル地図とジオフェンシング技術を活用し、ユーザーのリアルタイムの位置情報に基づくクーポン送付などマイクロマーケティングも展開する。こうした点で同社は、先端技術の活用によりデータ活用の革新と社会への貢献を果たしており、その取り組みは先端技術活用賞に値するものである。

■災害時の在宅医療患者向け安否確認サービス
北良株式会社(岩手県北上市)は、医療用酸素や人工呼吸器などの在宅医療サービスも手がける総合ガス企業であり、在宅酸素療法と在宅人工呼吸療法の患者向けに、災害時の安否確認サービス「ANPY」を提供している。
きっかけは、東日本大震災の際、在宅医療患者宅の詳細な停電、復旧状況が見えないことだった。このことは初動対応において優先順位の判断に影響し、場合によっては患者の生命に関わる。そこで 同社は大規模災害での経験を元に、上記情報を把握するためのANPY を開発した。専用端末が定期的に電源の状況と GPS による位置情報をクラウドにアップロードするのが基本的な仕組みであり、例えば今どこで停電が起こっているのかを建物単位で詳細に把握できる。得られた情報は在宅医療サービスの委託元である医療機関にも共有することができ、災害時の判断に使われる。端末は内蔵バッテリーで 3 日間稼働し、停電時でも稼働する。加えて持ち運びができるので、患者が災害時に避難所などに移動した場合、酸素ボンベや予備バッテリーをより早く届けることが可能になる。
ANPY は在宅酸素療法サービスに関して国内シェア上位のフィリップス・ジャパンにも提供されており、端末の台数は全国で数万台に及ぶ。このように自社ユーザー向け災害対策から始まった ANPY は、全国の在宅医療患者の停電監視や災害対応を支える情報基盤としての社会的価値を生み出している。
同社は既に岩手県盛岡市、矢巾町、北上市と災害対策や災害発生時の在宅医療患者に関する災害時の支援協定を締結しており、災害発生時に ANPY 設置場所の停電や電力復旧の情報連携を準備していることから、人命に直結する点でその価値は高い。そこで特別賞として表彰する。

以上

参考:データマネジメント賞実績<https://japan-dmc.org/?page_id=15253

◇本リリースに関するお問い合わせ先
一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム
データマネジメント賞 事務局 
担当 土田  E-Mail:info@japan-dmc.org

<更新歴>
2024年3年5日 09:00配信、北良株式会社の受賞理由を、同日18:00に更新

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