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【Vol.120】三井住友ファイナンス&リース株式会社 實方 弘樹さん──二人三脚ですすめるデータ活用 現場とデータマネジメント部、理想の関係性は?

JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、三井住友ファイナンス&リース株式会社 實方 弘樹さん です。


JDMC会員の皆様、はじめまして。三井住友ファイナンス&リースの實方と申します。

弊社はリース、割賦、ファイナンス、レンタルなど、モノの潜在力を活用し、経営課題解決を支援するソリューションを提供する総合リース会社です。私はデータマネジメント部に所属し、データ活用を推進する役割を担っており、日々、多くの社員からデータに関する多様な相談を受けています。

相談内容は、レポート作成のためのデータ収集や加工の自動化、ExcelからBI化への切り替えや探索的なデータ分析、AIを活用した現状フローの移行方法など多岐にわたり、このコラムを読まれている方の中にも、自社で似たような課題に直面している方もいらっしゃるのではないかと思います。

先日、弊社内の営業関連部門の担当者から、同部内のメンバー全員がデータを効果的に活用していくための研修を定期的に実施したいので、そのサポートをお願いしたいという相談を受けました。

これを受け、われわれデータマネジメント部では、データを活用した課題解決や新たな施策の検討を含む、幅広い支援を提供することにいたしました。

体制構築の面では、営業関連部門内の「データ活用推進リーダー」が業務変革の取り組みをリードし、その取り組みに必要なスキルセットについては、データを扱う専門部隊であるデータマネジメント部が育成や支援を行う、といった二人三脚での体制を構築しました。

また、技術や知識の習得の面では、営業関連部門の担当者の方に全社向けに実施しているSQLやBI実践研修、データリテラシー研修などの当部が実施するほぼすべての研修に参加いただき、データ活用に必要なスキルを身に着けてもらうことで、営業関連部門内の業務にデジタル技術を積極的に取り入れることができました。

その結果、営業ご担当者の方々は、部内のデータ活用を推進する立場になるまでの知識や技術を習得するに至ったのです。

データ活用が進んでいる部署には、強い思いを持った「リーダー」がいる

現在、弊社では部門ごとでデータ活用の推進状況に差が見られ、経験豊富な社員から若手に至るまで一体となってデータ活用を促進する部署もあれば、個々がSQLやBIツールを利用して業務を進めている状態にとどまり、他のメンバーやチームがどのようなデータを使い、どのようなレポートを作成しているかまでの関心は薄い部門も存在しています。

前者のような部門には、データ活用に情熱を持ち、部を変えていこうという強い思いのリーダーやチームが存在し、その存在がデータ活用の積極性に明確な差を生んでいます。私は長年データ関連の業務に携わる中で、その存在は「外部の第三者ではなく、日々の業務に深く関わる部内のメンバーであるほど良い」という認識を深めてきました。

データ活用というのは、現場の自主性を重視しながら現状業務を変化させる必要があるため、大きな労力を伴います。どんなに有効なデータ活用の仕組みや環境を作っても、それを実務に取り込み、浸透させることは非常に困難です。

「業務の効率化や高度化に役立ててほしい」という思いで作られたデータ活用のための環境やダッシュボードも、残念ながら多くの部門で存在が知られていなかったり、効果的に活用されていないケースも当社内で発生していると考えています。

しかし、自身でもこうした機能を積極的に活用し、周囲にも具体的な活用方法や改善事例を熱弁するメンバーの存在が、これまでデータ活用に興味のなかった社員が、自主的に取り組んでみようと思う動機付けにつながるのではないかと考えています。

社内のデータ活用を進めていく上で、一人ひとりの社員が「自分もやってみよう、変えてみよう」という意識を持つことが重要であり、意識を変えられるのは、より身近な、部内のメンバーです。

現場で直接手を動かし、自らがデータルールを実際の業務に落とし込み、ツールの活用を行い、その地道な取り組みと成果をメンバーに共有することのできる存在が必要です。こうした実践を通じて示される姿が、何よりも他のメンバーにとって大きな刺激となります。

このような活動を進めるには、同時に高いスキルも必要とされます。そこで、データの専門部隊である私たちが、部門のデータ活用推進リーダーの支援や育成を行う──その二人三脚の仕組みが、データ活用の世界を広げるために最も効果的だと考えています。

現在、当社では各部にデータ活用を担う窓口となる担当者を配置し、各部のデータ活用を推進する体制作りを進めています。データ活用でハッピーな世界をもっと広げるために、日々奮闘しています。皆さま、今後ともよろしくお願いいたします!


實方 弘樹(さねかた ひろき)
三井住友ファイナンス&リース株式会社

コンサルタントとして約10年以上、様々な業種のクライアント企業に対するデータ活用支援に従事した後、2023年2月に三井住友ファイナンス&リース株式会社に入社。
現在は全社のデータ活用に向けたデータベース構築やBI化を担当

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