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レポート

第41回定例セミナー報告:MDMの原点『脱・意味ありコード』実践編、MDMシステムにパッケージを採用するメリット

(セミナー部会・峯岸勇)

2018年10月9日に日本記者クラブにて、第41回定例セミナーが開催された。講演は「MDMの原点『脱・意味ありコード』実践編」、「MDMシステムにパッケージを採用するメリット」の2つ。質疑応答も活発に行われたセミナーとなった。

講演1「MDMの原点『脱・意味ありコード』実践編」

まず講演1では、JDMCの「MDMとデータガバナンス研究会」からダッソー・システムズ株式会社の水谷氏に登壇いただき、企業内でのマスタコードの管理について、実際にどのように進めていけば良いのか、事例を元に講演いただいた。

世の中のマスタコードには、人が読んで理解できるよう作られた「意味ありコード」と、機械処理に最適化した「意味なしコード」の二種類が存在する。人にとっては「読んで天国」の意味ありコードも、機械にとっては「処理して地獄」という現実、一つのコードに全ての意味を詰め込もうとすることで「意味ありコード」が肥大してしまい、後の人が陳腐化や桁あふれに苦労する状態になってしまっていると水谷氏はいう。

機械処理用の「意味なしコード」を中心に、意味や属性、カテゴリはマスタとしてメンテナンスしていくというMDMの考えを提唱しながら、実際に実践していくための進め方や落とし穴、それに人材論の観点から事例を元に発表していただいた。

質疑では実際に現場で困っていることに対して、解決策を含めた議論が行われた。

講演2「MDMシステムにパッケージを採用するメリット」

休憩を挟み、続いて講演2では株式会社LIXIL倉田氏とStibo Systems株式会社シェーカル氏による座談形式での事例発表が行われた。

LIXIL社で部分的に導入を開始したMDMの導入背景や目的、当初期待していた効果と実際の現状についてご紹介頂いた。

特に、プロジェクト進行中のアプローチとしては、PIM(Product Information Management – 商品情報を管理するプロセスや技術)の活用や業界ならではの紙カタログを正とする派生情報の管理など、様々な課題を解決して行く過程に、多くの参加者が共感していた。

また、特筆すべき点として2つあった。ひとつはMDMシステム導入までのスケジュールだ。一般的には要件定義だけで半年かかるといわれる中で、パイロットプロジェクトから本番稼働で半年、かなり短期間の導入と言えるだろう。

2つめは、プロジェクトの組織体制だ。プロジェクトオーナーであるCDOのもと、関係部門とベンダーの関わり方の体制図が示されたが、業務部門が主体であることが、今回のプロジェクトの成功の要因の一つであり、CDOの存在意義が大いに発揮されたと感じた。

また、MDMツールを導入する際に考慮するべき点や、導入後、使い手にどうモチベーションを創り出すか、その苦労や施策などについてもお話があった。

今後の取り組みとしては、

・PIMに取り込む商品群の拡大

・商品データの新しい活用シーンの検討

・アセット管理の導入・連携

といったことを挙げられ、PIMに入れたデータを中心に活用の幅を広げていくと締めくくった。

講演2に関しても、実際にプロジェクト進行中の事例ということもあり、かなり多くの質問が参加者から挙げられた。

*~*~*~* 参加者感想 *~*~*~*

・LIXILさまのご講演は「リアル」を活かしながらの「インフラ(プラットフォーム)」としての 商品情報の使い方という題材で、同じ課題を抱える立場として共鳴する部分も多く、大変参考になりました。

・今まで知らなかった内容ばかりで勉強になりました。意味ありコードという言葉も初めて知りました。

・意味ありコードと意味なしコードのお話は興味深く聞かせて頂きました。今回のお話もふまえ、今後自社のコード体系をどう運用すべきかを考えていきたいと思います。

・LIXILの取組みは同業他社を担当したこともあり非常に興味深く、具体的な推進状況をもっと知りたくなりました。

・水谷さんのご講演が面白かった。飽きずにすぐ時間が過ぎました。

・MDMについてきちんと聞ける場所はまだまだ少ないので貴重な内容でした。

・大変参考になりました。 「マスタ」という言葉(概念)が企業・人によって様々な捉え方をされていると日々感じています。例えばJDMCにおいて、「マスタとは」や「MDMで管理すべきマスタとは」などを定義・規定していただけると世の中がスッキリするのではないかと感じました。

・MDMについてあまり経験がないので、非常に勉強になりました。

・第1セッション→MDMでの意味無しコードの意義が分かった。実際のお客様先システムでの導入にはまだ課題がありそうというのも認識できた。 第2セッション→ユーザー様と導入SEの会話というちょっと工夫した形式での説明が、聞き手側にとって適度に内容を理解できる進行となっていて好感が持てました。

・二つの講演内容が噛み合っていて、短い時間ではあったが色々な事を妄想させてくれる良いセミナーでした。

・「脱意味ありコード」では具体的な内容でとてもためになりました LIXIL様の導入事例では、CDOの重要さを改めて感じました。

・意味あり部番でしか成り立たないと思い込んでいた。既にIT活用なしではビジネスにならない現状でもあり、意味なしコード化に説得力を感じた。

・大変実践的で参考になりました。

・両セッションともに、事例を踏まえた生々しい話だったので、非常に参考になった

・脱・有意コードは経験の基づいた説明で判りやすかった。自分の経験とも合致していて納得できた内容だった。ただ、ゴールドデータから、たとえばERPパッケージ用のマスタデータを作成する時に、どう考えるのかがわかるとより良かった。

・LIXIL様の実例はPIMとしての進め方の良い参考になった。

・第1セッションではコード体系によってはシステムがビジネスの足枷になってしまう例を伺い、運用設計が重要であることを再認識しました。また、第2セッションではリアルな導入事例を伺うことができ、大変参考になりました。

・意味ありコードの課題は自社内にもあり、解決の進め方として説明いただき参考になりました。

・MDMを実現する為には意味なしコードでの管理が理想とスピード感を上げるべくツールを導入し進める事の主旨が理解する事ができました。

・現実に即した具体的な講演内容で、大変参考になりました。

・データに直接あるいはプロジェクトに関連している方のお話しであり、リアリティがあると感じました。こちらでしか聞けないお話しも一部にはあったのではないかと想像します。

・マスターコードあるあるを知ることができ、有意義でした。

・久しぶりにお話を聞きましたが、どの会社も抱えているだろう悩みで共感できた。 「近道はなく汗を流すしかない」というのも、改めて理解した。企業の中で活動していくには、それなりの必要性、大義名分がないと難しい。費用対効果を出しにくい部分でもあるので、行動を起こす、また継続的に活動するストーリーを考え、仲間を増やしていくことが必要だと感じる。

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