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レポート

第31回JDMC定例セミナー報告:グローバルMDMを実現するためのグローバルコード管理の実践

2015年9月29日、第31回JDMC定例セミナーが京橋のイトーキ東京イノベーションセンターSYNQAのセミナールームをお借りして開催された。

※ご参考:行政情報システム研究所の機関雑誌『行政&情報システム』(2016年2月号)
“利活用と今後の展望 -法人番号の民間利用-” 株式会社 東京商工リサーチ 執行役員 田中智子 ( PDF )

今回は、JDMC会員のイトーキ様のご厚意によりセミナー開始前に特別に外部交流型オープンオフィス「SYNQA」をご案内いただいたり、イトーキ様の目指すオープンイノベーションについて話を伺い、その最新の組織の形、働き方について非常に感銘を受けた。

今回のセミナーテーマは「グローバルMDMを実現するためのグローバルコード管理の実践」である。

各企業がその必要性を認識していながらもなかなか実現していないマスターデータマネジメント(MDM)に関連して、KDDI株式会社 土田史郎様と、2015年10月より配布が始まり、とても関心の高いマイナンバーに関連して、株式会社東京商工リサーチ 田中 智子様との2名に講演していただいた。

1つ目の講演は「KDDIにおけるグローバル顧客マスター統合、その理想と現実」と題して、KDDI様の現在のビジネス状況の紹介と、MDMが必要となる背景、MDM実践の経験、知見を共有いただいた。KDDI様では多岐にわたるビジネスを展開されてるため、多くの企業がそうであるように業務に対応するシステムも自ずと多くなる。各システムでマスターデータを管理しているため、企業全体を通した分析、情報共有ができていないと言う問題に直面していた、と率直にご紹介いただいた。その問題から抜け出すきっかけは、経営層が顧客プロファイルなどのマスタデータが管理されていない、という気づきだったと言う。そこで、MDMの目的を次の3つに絞り実装されたのこと。

(1)見える化のためのマスタ整備
(2)業務プロセス効率化のための主要マスタ統合
(3)IT基盤リプレースのためのマスタ集約

「なぜ、MDMに取り組むか、という認識とビジョンを経営層を含めて全社で共有することが重要」と言う点を強調されていた。KDDI様ではMDMの活用が始まったばかりとのこと。今後は、MDM活用をグローバルに拡大、ガバナンス強化(社内へのMDMの重要性の訴求、利用ガイドラインの訴求など)、データスチュワードの育成などのMDMのあるべき姿の追求を考えていらっしゃるとのこと。従来から言われているようにMDM成功の鍵は、その必要性を全社で認識、共有することがその出発点であることを今回の講演で再認識した。

2つ目の講演は「グローバルMDMを実現する最先端のコード管理およびデータ統合」~来年運用開始される法人番号と国際標準コード(DUNSナンバー)との連携~ と題してマイナンバー、特に法人番号についての解説とその特徴、およびDUNSナンバーとの連携に関しての知見を分かりやすく講義いただいた。
マイナンバーに関しては、配布、運用の開始は良く知られているものの、その基本理念、活用シーンや課題などの情報はなかなか整理されていない。今回の講演ではそれらの情報をやさしく解説いただき、多岐に渡る利用方法など法人番号について理解が深まった。

法人番号の課題に対しては、創業123年の東京商工リサーチさまのノウハウをもって克服する利用事例の提案もあり、大いに参考となった。例えば、法人番号、DUNSナンバー、および東京商工リサーチ様が独自に発行されているTSRコードとをキーとして、グローバルの法人顧客マスターデータベースの構築が可能になるなど、マスターデータの精度向上が期待できる。とかく新しいものに対しては、そのデメリットや欠点に注目して拒絶しがちであるが、それらを回避しつつ有効に活用して、より精度の高いMDM実践の可能性を示唆する講演であった。今回の2つの講演では、必要性が言われて久しいがなかなか成功事例がないMDM実践は、「社内でのMDMに対する必要性の醸成」という基本が必須であることを再認識し、新たな情報を組み合わせる事によりMDM実装の成功の機会が向上することを期待させるものであった。

(セミナー部会・河井  弘安)

※終了後の交流会

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