日本データマネージメント・コンソーシアム

会員コラム

【Vol.52】マネージメントサービス 寺内 潤さん、「JDMCエンジニアの会」でデータ活用の可能性を探る

「JDMCエンジニアの会」でデータ活用の可能性を探る

 
JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、マネージメントサービス株式会社の寺内 潤さんです。
 
 
JDMCエンジニアの会への参加を通じてさまざまな成功事例の共有を

当社がJDMCユーザー会の会員企業に加わったのは、「データマネジメント2018」で行われた、「JDMCエンジニアの会」によるハンズオン企画への参加がきっかけでした。私自身これまで自社の社内システム担当としてさまざまな業務に携わってきましたが、システムの運用に関することがらがメインで、データを分析・活用するといった取り組みはほとんどできていなかったように思います。

そうした中、今回のハンズオン企画では運営チームの一員として企画段階から加わり、本番ではデータの取得から可視化する方法を考え、誰もが使えるサービスとしての実装まで、小規模ながら一貫したシステムとして構築する。そうした一連の取り組みを、データ活用に豊富な経験を持つ方々と一緒に、みずから手を動かしながら最後まで体験できたことは、私にとってこのうえない貴重な示唆と気づきを与えてくれました。

「JDMCエンジニアの会」では今後、ハッカソン、アイデアソンなどの開催を予定しています。エンジニア自身が顧客の目の前で、実際にデータを活用しながら課題を解決していくといった、実践的な体験を積む場づくりを進めていきます。この企画を通じて、特定のツールを使った場合の最適な構築方法だけにとらわれない、さまざまなツールを組み合わせた成功事例を共有していければ、エンジニアの活躍できる場面をもっと増やしていけるでしょう。私自身もこの新たな取り組みに携われることを、大いに楽しみにしています。
 
 
誰もが簡単にデータの取得・分析・活用体験ができるアプリ「Run-DIAS」

前置きが長くなりましたが、今回は私たちが提供しているソリューションの中から、新たなデータ活用の好事例と言えるものを一つご紹介したいと思います。当社ではシステムインテグレーターとして時代の潮流に応えるべく、さまざまな製品や技術を持つ企業をグループ内に持っています。

今回ご注目いただきたいのは、そうしたグループ企業の1つ、株式会社DKHが開発したスマホアプリ「Run-DIAS」です。これはその名が示す通り、マラソンやジョギングなどのランナーを対象にしたアプリで、走っている人のランニングフォームをAI で分析し、ランニングの動作評価を行うというユニークな機能を備えています。

仕組みとしては、走者のランニングフォームをAIで分析し、人間の関節点を割り出します。この関節点を結んだ画像(「スティックピクチャー」)をディープラーニングを応用した画像解析機能で関節の動きなどを評価し、そのデータ分析の結果をもとにフォームや歩幅を視覚的にフィードバックします。

この基本機能に加えて、アシックス社が持つアスリートの研究データをベースにストライド、ピッチ、上下動、体幹の傾き、腕や脚の振り幅など、走っている際のさまざまな動きの傾向を数値化して評価することが可能です。

人間の身体の動きは非常に複雑なため、これまではこうした動作解析、いわゆるモーションキャプチャーを行うには計測機器をランナーの身体に取り付けたり、何台ものカメラでランニング映像を撮影・収集する大がかりな仕組みが必要でした。しかし近年のAI、特にディープラーニングによる画像解析技術が大幅に進化した結果、スマホで撮影した動画像からでも動作を解析することが十分に可能になっています。

もちろんより精緻な分析を行うには、まだまだ技術的な進歩が必要ですが、「Run-DIAS」のように個人で簡単にデータが収集でき、なおかつこれらのデータを誰もが容易に評価・分析できる仕組みは、まさに時代の求めるデータ活用の取り組みに応えるものです。この分析用のAI には、多くの専門家たちが長年にわたって積み上げてきたアスリートの身体機能に関する知識やノウハウが組み込まれています。専門家だけがデータを利用できた時代は終わり、より多くの人々に新しいデータ活用の可能性が拡がりつつあるのです。
 
 
次代のデータ活用の拡がりに向かって新たな開発プロジェクトをスタート

データ活用の将来という視点からいうと、この先「Run-DIAS」のようなツールを使って利用者が撮影したデータはクラウド上に蓄積され、分析されていくことが不可欠になります。これらの膨大なデータをもとにAI が学習を繰り返すことで、さらに評価や分析の精度を上げていけるからです。この結果、蓄積された動作解析データは、やがてランナーのフォームの評価だけにとどまらない、さまざまな形で応用できる可能性を秘めたデータに育っていくのです。

こうした未来を見すえて、DKH社では、「Run-DIAS」の機能や特性をより総合的な健康チェックなどにも役立てられるのではないかと考え、「スマート運動器チェックNEXT」と命名した新たなプロダクトの開発に乗り出しています。ランナーのフォームの評価・分析で蓄積した知見を日常の歩行動作などにも応用し、人のあらゆる動作=運動器の状態を精細に把握しようというのです。

働き方改革を追い風に、企業における健康の維持・増進への関心は高まる一方です。運動器のチェックから疲労度を割り出す仕組みなど、パーソナルデータをもとにした健康チェックと、病気の予防などについての応用の可能性を探るべく、DKH社ではこの開発プロジェクトを神奈川工科大学 高橋勝美研究室との共同研究として精力的に進めています。
 
 
JDMCでの活動を通じて皆様と共にさらなるデータ活用の可能性を目指す

活用をより進めてゆく一方で、健康チェックの取り組みに用いられる個々人のパーソナルデータは、その取扱いにも慎重さが求められてきます。そうしたプライバシー保護や情報セキュリティを含めたデータマネジメントの視点を追求していく上で、JDMCに参加されている各企業の取り組みは、当社のみならずデータ活用に関心を抱く会員企業すべてに非常に参考になるのは間違いありません。

今回は身近なデータ活用への取り組みとして、私たちの「Run-DIAS」を紹介させていただきましたが、これからのJDMCでの活動を通して、皆様と共により多くの知見を共有し、共に体験していけることを楽しみにしています。
 
 

寺内 潤 (てらうち じゅん)

マネージメントサービス株式会社 デジタルビジネス イノベーションセンター スペシャリスト。1997年10月、マネージメントサービス株式会社に入社。官公庁系システム開発プロジェクトに配属される。2004年10月より社内情報システム部門で、ホスト系社内システムのWebアプリケーション化、ERPシステムの導入作業などを手がける。2018年1月より社内業務に携わるかたわら、AI人材育成に向けたプロダクト開発に従事。
 
 
 
 
 
 
 
 

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