日本データマネージメント・コンソーシアム

会員コラム

【Vol.41】高田景之氏「MDMで見落とされがちな『パフォーマンスと拡張性』に着目を」


 
JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、Stibo Systemsの高田景之さんです。
 

MDMで見落とされがちな「パフォーマンスと拡張性」に着目を

 
今年8月からJDMCの会員になりました、Stibo Systemsの高田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。Stibo Systemsは、220年の歴史を持つStiboグループの一員として、1976年にデンマーク第2 の都市オーフスで創業したマスターデータ管理(MDM)システム専業のソフトウェアベンダーです。2016年3月に日本法人を設立し日本でのビジネスをスタートしました。
 
JDMCの会員の皆さんは、すでにMDMの意義、背景についてはよくご存知のことと思います。ここで、『データマネジメント概説書(JDMC版)』にあるMDM活動の概要を引用します。

――「顧客」「商品」などの主に静的なマスタを、企業/組織内で統一管理し、より柔軟な情報活用を促すもの――

つまり、設計部門、製造部門、経理、マーケティング、販売、アフターサービス等、部門ごとに散財するマスタを「統一管理」し、「より 柔軟な情報活用を促す」ことがMDMの主な目的です。
そのために必要な機能を網羅したシステムが、いわゆるMDMなのですがすが、MDMに求められる要件として、今回は意外と見落とされがちな非機能要件、特に“パフォーマンス”に光を当ててみたいと思います。
 
MDMは社内外のあらゆるデータを統合管理するために、次の2点が特徴となります。

(1) データボリューム(レコード数に相当)が膨大になる
(2) マスターデータの性質上、検索や更新、情報の抽出等の処理が頻繁に発生する

加えて、もう一つ注意しなければならないのが、

(3) 処理する属性(IDにぶら下がる属性情報, レコードのカラム数に相当)の数が多い

という点です。
 
事例をご紹介します。MDMの取り組みを始めたとある店舗では、セサミストリートのキャラクターであるエルモ関連グッズを販売していました。
外部リンク:セサミストリートのキャラクター

 
その店舗では日々、ERPを始めさまざまな用途の業務システムからMDMに情報をアップデートしています。
エルモの商品1点が保持する属性の数を整理すると、以下の表の通りでした。
 

ドメイン領域属性数
ERP関連108
サプライチェーン関連123
eコマース・カタログ関連187
Total418

 
さらに、エルモ関連商品、キャラクターグッズの種類は186種類もあります。つまり、418*186=77,748個の属性情報を外部から取り込み、その中から重複するものを排除し、品質の高い正確なデータをMDM内で運用管理するわけです。
 
当然ながらエルモ関連グッズ以外にも多くの商品を取り扱っているので、お店で販売されている全商品の属性データとなると途方もない数になります。
 
そのうえ、ビジネスが成長するにつれ取り扱う商品数が多くなると、ますますMDMのパフォーマンスがクリティカルな要件になってくることは、容易に想像が付くのではないでしょうか。
 
こちらの店舗では パフォーマンスの重要性を十分認識していたおかげで、今日現在も大きな問題もなくMDMを運用し、市場競争力の強化、ビジネスの拡大に繋げているそうです。
 
MDMシステムの導入を検討されている、もしくは導入中の方はぜひ、このパフォーマンス・拡張性の面を気にかけていただくことをお勧めします。
 
 
高田 景之(たかだ ひろゆき)
2016年4月よりStibo Systems日本法人の立ち上げに参画し、マスターデータ管理のあるべき姿の普及・啓発を担当。大学卒業後は、金融系システム開発を経て、アプリケーションライフサイクル管理 (ALM) の国内市場への展開を精力的に進める。その後、サプライチェーンマネジメント (SCM) の分野における国内外の業務改革や、セールス&オペレーションズプランニング (S&OP) による企業収益の最大化をテーマとしたコンサルティング活動等に従事。経営学修士。
 
 

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