日本データマネージメント・コンソーシアム

会員コラム

【Vol.21】木宮勇毅氏「解決するべき問題を設定していますか?」

JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、ティージー情報ネットワークの木宮勇毅さんです。

解決するべき問題を設定していますか?

皆さん、はじめまして。ティージー情報ネットワークの木宮です。私自身は、昨年からJDMCのセミナーや研究会に参加させて頂いております。

唐突ですが、データ活用を進めるにあたり、解決するべき問題を設定していますか? 例えば、皆さんがいきなり自社のデータ活用の推進担当者に選ばれたとしましょう。期待に胸を膨らませながら、まずは何から着手しますか?

(1) 現状、どの程度、データ分析に適した形式でデータが保存されているのかを明らかにし、活用しやすいようにデータを整備する。

(2) 現状の分析基盤では、限られた容量のデータしか扱えず、また構造化されたデータしか利用できないので、大容量データや非構造化データでも十分に処理できる基盤環境を用意する。

これらの問題設定は、データ活用の推進担当者が解決するべき問題として最もふさわしいでしょうか。もちろん、絶対的に間違っているとは思いません。ですが、これらの問題が解けたとして、自分の周囲へ他では得がたい価値をもたらすでしょうか。そもそも、データ活用の推進担当者として、最も期待されているミッションは何でしょう。

私は、データ活用の推進担当者に最も求められるものは、データを活用し、その先にある価値とは何なのかをしっかりと見極めることだと考えています。

目指すべきことは、データを分析して、何らかの利用可能な情報を発見し、自らが所属する組織の業務や事業に役立てることです。もっと具体的に言ってしまえば、例えば、より受注確度の高い営業先を見つけ出し、そこを重点的に営業活動できるよう支援するであったり、故障しやすい部品や劣化の条件を把握し、事前にマシンをメンテナンスできるよう支援したり、といった形に落し込まれてくるでしょう(もちろん、ビジネス領域により異なってくると思います)。

つまり、活用のその先の価値に目を向ける必要があるのです。推進担当者が最も注力して解決するべき「問題」は、そこにあるはずです。したがって、真っ先に取り組むべきことは、その問題を見つけられるよう徹底的に考え、探し出すことではないでしょうか。おそらく、さまざまな関係者を巻き込む必要もあるでしょう。

それをしなければ、社内のデータを掘り起こしても、分析基盤を探し出しても、結局は、何も業務や事業に貢献しません。「よし、ここまでは分かった!」と自己満足を得るだけです。

ですから、これからデータ活用に関わる方、もちろん、すでに取り組まれている方も含め、「自分は、本当に解決するべき問題を見つけ出し、それにしっかり取り組んでいるのか?」を十分にチェックする必要があります。つまり、今、取り組んでいる問題が解けた時、その成果は、自分の周りへよりよい価値や影響をもたらすのかを吟味しなければなりません。データ活用の推進担当者の本来の、そして、最も重要な役目は「そこ」にこそあると私は考えています。

ここまで、データ活用の推進担当者に選ばれたらという仮想的な状況を想像して、解決するべき問題について話を進めてきました。今後も、ますますデータ活用は浸透してくると思われますが、常に、「生み出す価値は何か?」を念頭に置きながら取り組むべきだと考えています。

今回、リレーコラムを書かせて頂き、私自身、あらためてそのことを肝に銘じた次第です。さて、最後にもう一度、お聞きします。

「データ活用を進めるにあたり、解決するべき問題を設定していますか?」

木宮勇毅(きみや ゆうき)

ティージー情報ネットワークに入社後、金融系システムやHEMSの開発・運用に従事。HEMSプロジェクトへの参画後は、HEMSで蓄積されたデータの分析ワーキングやデータモデルの検討などに従事。最近は、統計解析言語のRと機械学習に興味を持っている。

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