日本データマネージメント・コンソーシアム

レポート

JDMC人材普及・浸透部会活動レポート~Vol.1~

『AWS AI Ready Platform Day Tokyo』(2026年7月28日)にてJDMC理事が登壇、データマネジメントの新試験や新DSSについて自社の取り組み事例講演とパネルディスカッションを実施

※レポート執筆: JDMC理事兼事務局長 大西 浩史(NTTデータバリュー・エンジニア)

2026年7月28日に開催された「AWS AI Ready Platform Day Tokyo」において、JDMC人材普及・浸透部会のリーダーである阿部理事(リクルート)、サブリーダーの藤咲理事(MUFG)、メンバーの三宅様(KDDI)が登壇し、自社のデータマネジメント人材育成の取り組みの事例講演とその後パネルディスカッションを行いました。
その模様をダイジェスト版でお伝えしますので、是非ご一読いただけたら幸いです。


1.全体概要講演

『データマネジメント人材と新DSS・新試験』(リクルート阿部氏)

データを活用するためには、まずはそれを正しく整備する必要がある。AI・データ活用の推進には、企業内に散らばるデータを探索・収集・整備し、正しく安全に管理・活用するデータマネジメントの取り組みが不可欠である。
2026年4月13日に経済産業省から公式に発表された「Society5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会報告書を踏まえた検討状況について」においてもAI Ready化のための前提として「データマネジメント人材育成の重要性」が示されている。
当文書に記された「データマネジメント人材の育成に関するタスクフォース」において阿部氏含むJDMC理事を中心とした有識者が多数参画し、主に以下の3つの論点で討議を実施してきた。

1.デジタルスタンダードスキル(以下、「DSS」)で定義されるデジタル人材5類型を見直し、データマネジメント人材を第6類型目として定義することの是非
2.DSSとしてデータマネジメントに必要なロールの検討・設計
3.国の情報処理技術者試験においてデータマネジメントに必要な基礎的知識・スキルを問うデータマネジメント試験(仮称)の新設

1点目については、現行のDSSに6つ目の新たな類型として「データマネジメント」の役割の追加が決定した。AI Ready化の前提として、「データの安全性・信頼性の確保と継続的な流通の仕組みを設計・実装・運用し、組織全体の人材を巻き込んだデータ利活用・価値創出を促進する役割」をもつ人材類型が世の中から認められたことになる。

2点目については、「データスチュワード:事業ドメイン知識をもとにデータの品質・信頼性・安全性を確保し、現場へのデータマネジメント浸透・定着と利活用を促進する役割」、「データエンジニア:収集・統合・加工・提供のデータ整備や前処理、データパイプラインの設計・実装で、継続的なデータ利活用を支える役割」、「データアーキテクト:組織・事業全体のデータ構造や流れ・利活用を俯瞰し、戦略に沿ったデータアーキテクチャを設計・継続的に見直す役割」というデータマネジメント人材の3つのロールが定義された。さらに、その3ロールが担うべき6区分のスキル((1)データ関連法令などの理解/ルール整備と遵守の推進、(2)データマネジメントの定着とデータ活用の推進、(3)データ品質・安全性の向上、(4)データエンジニアリング(設計・収集・統合・提供)、(5)データマネジメントの仕組みの設計と改善、(6)データ基盤の設計・実装・運用)が決定した。データマネジメント活動全体が広い概念であり、これらを一人が獲得することは必須ではなく、チーム全体としてカバーできるようにすればよい。

3点目については、2027年夏以降に「データマネジメント試験(仮称)」が国の情報処理技術者試験に新設されることが決定した。データを活用する側の一般のビジネスパーソンにも受験してほしい試験になっている。サンプル問題がIPAから6月に公表されているので、関心のある方は参照していただきたい。

なお、新DSSの3ロール、6区分のスキルなどの人材像定義はフレームワークのようなものであり、それをそのままの形で企業に適用するのではなく、自社のビジネスや組織のステージに合わせて各社でカスタマイズする必要がある。その適用の事例として、先行しているMUFGやKDDIのカスタマイズの仕方を本日ご紹介するので、是非参考にしていただきたい。
AI Ready化の前提としてデータ品質を支えるデータマネジメント人材育成の重要性が高まっている中、国の枠組みである新DSS等を最大限に活用し、日本企業全体に認知を広げ、自社の人材育成・評価へ適用・展開していくことをJDMCとして後押ししていきたい。


2.データマネジメント人材育成の各社取り組み事例講演

Session.1 『MUFGのデータマネジメント』(三菱UFJ銀行藤咲氏)

藤咲氏の経歴としては、三菱UFJ銀行に入行後、事業部門でのデータ・AI活用等のビジネス実務経験を経た上でCDO (Chief Data Officer)を補佐し、データ戦略およびデータドリブン経営など、MUFG全体のデータマネジメントを推進してきた立場にいる。現在、JDMC(日本データマネジメント・コンソーシアム)、FDUA(金融データ活用協議会)の理事も務めている。

MUFGでは、新DSSをベースとして既存のエキスパート職のロール定義を見直ししている。データエンジニア、データアーキテクト、データスチュワードの3ロールに加え、データ活用基盤やインフラを担う「ITアーキテクト」と、金融機関では特に重要となる当局規制やグローバル関連ルール等に対応して安心・安全なデータ活用を促進するための「データガバナンス」の職種を追加した。その上で各職種のジョブディスクリプションを明確化し、それぞれエキスパート職として求められるレベルを「1」から「5」まで定義、人事部門を巻き込んで制定した。(たとえば、L5はデータ領域全般の責任者)

さらに、新DSSをベースにエキスパート職の必要スキルを追加、再定義している。スキル評価のためのチェックシートを「データマネジメント」および「データエンジニアリング」のスキルに加え、経営・関係部・社外・当局等との対話を伴う「データドリブン経営推進」のスキル、DX施策の企画と合わせて関係者を巻き込み推進する「DX推進」のスキル、業務目的に応じて必要なデータを見極めるための「業務ドメイン」のスキルを定義し、自社に必要なエッセンスを取り込んで整備した。

巷では「AI Ready」という言葉が喧伝されているが、「セマンティックレイヤー」や「オントロジー」、「コンテキスト」といった言葉も人や企業によって揺らいでいて、まだ確定的なものがない。世界は揺らいでいるけれども、「当行としてはこう定義する」という全体像を見据え、世の中の定義がどうなろうとも最終的な目的である「データ活用」を進めていく。不透明で流動的な世界になればなるほど、そうした変化に対応するには「何よりも人材が大切」と実感することが多い。AIがいかに進化しようが、この重要性は不変と感じている。



Session.2 『KDDIのデータマネジメント取り組み事例』(KDDI三宅氏)

AIによって業務効率化等がもたらされる世界は中長期的にコモディティ化していく。そのためKDDIでは、代替性が低くAIに壊されない、お客様起点での価値づくりを重視した中期経営戦略“Power-to-Connect 2028”を発表し、その実現の土台として「AI Readyデータ基盤の整備」、「AIに渡すデータを整備するデータマネジメント人材の育成」に取り組んでいる。
KDDIの事業は大きくTo C(Consumer)とTo B(Business)などで本部が分かれており、各領域で扱うデータの性質が異なるためデータ分析・マネジメントは各領域単位に“非中央集権型”で実行している。データ・AI活用推進組織はそれぞれの本部に設置する一方で、経営戦略本部(Data&AIセンター)がデータ基盤整備方針やルールの策定などについては本部横断的に実行体制やガバナンスを敷設し、非中央集権型で発生しがちな「データのサイロ化」の抑止に努めている。

従前はDMBOKに基づいて「データ基盤の成熟度」を領域ごとにアセスメントしていたが、負荷が高い割にどこまでやれば「整備できた」といえるのか、また、現場から見た際の投資対効果が感じられないといった課題が顕在化していたため、「ユーザー(初心者or分析専門家)にとってAI Readyが実現できているかどうか」というアセスメント評価軸で達成レベル(「Lv.0」~「Lv.4」まで)を定義し直す方向で検討を進めている。たとえば、「Lv.4」では「初心者であっても自然言語で必要なデータ分析が完結する状態(Text to SQL & Analysis)」などである。

人材育成に関するトピックスとしては、従前はジョブ型人事制度におけるDX領域の職種の一つとして「データサイエンティスト」が定義され、その内数の要素としてデータエンジニア等のデータマネジメントスキルが存在していたが、「AIに渡すデータを整備する」という今後重要性が増す一方のデータマネジメント人材育成には対応できていなかった。こうした状況を受け、新DSSを取り込む形で「データサイエンス&マネジメント(DSM)」という人材像を改定し、6つのジョブに再編した。(DS系:“データビジネスストラテジスト”、“データサイエンスプロフェッショナル”、“AIエンジニア”。DM系:“データエンジニア”、“データアーキテクト”、“データスチュワード”)



Session.3 『データマネジメント取り組み事例』(リクルート阿部氏)

リクルートでは、自らSQLをバリバリ書いてデータを使う役員がいるくらい、ビジネス上の意思決定の様々な場面で定量的にデータが活用されている。データ活用もAI活用にも積極的、意欲的である人材が多いことも特徴。リクルートグループには、BtoBもBtoCも事業として存在し(HR、人材派遣、マッチングビジネス、等)、その事業ごとにビジネスモデルもデータの特性や課題も異なるため、それぞれのデータ戦略の実行主体は各事業毎のデータ組織(データソリューションユニット)であり、各データソリューションユニット横串の横断組織としてデータマネジメント部が共通的なノウハウ・技術情報等の共有によりデータマネジメント推進のサポート役を担っている。

新DSSで定義されたデータエンジニア等の3ロールを、リクルートでは「アナリティクスエンジニア」という職種名で、ビジネスレイヤーにも近接した領域でデータ利活用推進およびデータマネジメントの装着を行う複合型人材として定義している。一方で、「データエンジニア」という職種が現状でも存在するが、この実の定義は一般的な「ITアーキテクト」を含むエンジニアリング全般を担う職種範囲となっており、今後の世の中の流れや事業状況に合わせて定期的に体制を見直しを行っていく予定である。

これまでのデータマネジメント組織の変遷を成熟度とともに振り返ってみると、「事業より」の分散型と「管理より」の集合型の歴史を繰り返してきている。
【ステージ1】『使える』-まずデータを使える状態に持っていくフェーズ。事業側のデータ分析ニーズにいち早く応えるデリバリーが求められる。活用のアジリティを上げ、事業成長に貢献できたが、全体アーキテクチャ管理の優先度が下がり、データのサイロ化や冗長性、複雑性などの因子となった。
【ステージ2】『守る』-ガバナンス強化のフェーズ。たとえば、KPIの分母が各現場でずれてしまう等、信頼性の低いデータが事業内に蓄積・連携されることを防ぐため、一旦、利活用よりもデータガバナンスに注力し、データ品質を向上させるための事業横断の支援体制や品質遵守基準などを設けた。
【ステージ3】『広げる』-データ組織主導で扱ってきた環境等を利用者にも使いやすい状態で解放し、セルフ化を促進。効率も良く、品質も高く、つまり利活用とガバナンスの両立が求められるフェーズ。
【ステージ4】『進化』-AI Readyのデータマネジメントに発展させるフェーズ。AIをフル活用するため、コンテキスト(メタデータ、メトリクス、オントロジー)などの整備に現在鋭意取り組みを開始したところ。



3.データマネジメント人材育成に関するパネルディスカッション


(登壇者)
三菱UFJ銀行 デジタル戦略統括部 副部長 藤咲 雄司 氏
KDDI 経営戦略本部 Data&AIセンター グループリーダー 三宅 祥徳 氏
リクルート データ推進室 データテクノロジーユニット Vice President 阿部 直之 氏
(モデレーター)
アマゾンウェブサービスジャパン Data&AIソリューション本部 本部長 志村 誠 氏


Q1. データマネジメント人材の定義を各社でどのように行っているのか?

● 定義の“揺らぎ”がある話は講演の中でも語ったが、「データアーキテクト」と「ITアーキテクト」でも揺らぎがあり、「IT」のカラーの部分が強くなりすぎる傾向があるため、その点を留意している。また、データアーキテクトは世の中から中途採用するのも難しいというのが現実。(藤咲氏)
● あまりロールを細かく分けるよりも、リクルートでは「アナリティクスエンジニア」という名称で一つにまとめている。成熟してきたら分解するなども考えている。(阿部氏)
● KDDIではデータマネジメント人材の重要性がここ最近認知されてきたところ。“日本企業あるある”で、これまではアウトソースしてきた。そのノウハウを蓄積し、“手の内”化する必要性が自然発生的に出てきている。(三宅氏)

Q2. KDDIさんは「非中央集権型」を選択したとのことだが、なぜか?

● 事業が強いか中央が強いかというと、現場(事業)が強かったし、実行する人材も事業側で確保できたから。好きなことを現場でやらせて、必要なところだけは中央でガバナンスするイメージ。(三宅氏)
● 一方で、データスチュワードだけは中央集権型とした。データアーキテクトとデータエンジニアはビジネスレイヤーで事業側に任せている。当初、データスチュワードも事業側に任せていたが、メタデータが各領域でバラバラな状態になってしまった。データスチュワードに対して改善を依頼したが、事業側は自領域以外の他の事業のためにパワーを割くモチベーションが湧かない。そのような経緯・背景で、メタデータ整備だけは中央集権でやっている。(三宅氏)

Q3. メタデータ整備にはドメイン知識が不可欠だが、中央集権で回るのか?苦労や工夫点は?

● 各本部付きの専任データスチュワードが中央に存在するようなイメージ。その評価をちゃんとしてあげることが重要で、そこは中央が責任を持つ。中央に在籍するデータスチュワードたちのKPIは「各本部にとってデータが適切に活用できる状態になっているかどうか」としている。(三宅氏)
● データスチュワードにドメイン知識が必要なことはそのとおり。リクルートはボトムアップ(現場)が強い会社であり、ステージ1の「使う」は「現場主導」、ステージ2の「守る」は「中央主導」、ステージ3の「広げる」では再度「現場主導」に戻している。そのステージ3でもデータ品質基準等の統制は中央で行っており、ハイブリッド化している。各事業の現場トップリーダーに対して兼務人事をかけて中央のデータマネジメント組織に持ってくる等、工夫を施している。(阿部氏)
● 金融業界においては“MIS”と称される情報活用システムは昔からどこの会社でも持っているが、各事業部門では様々なデータが濫立している。事業部門によってはデータ活用マインドを持ち、テクノロジーにも理解のある人材が潤沢にいる領域もあれば、そうでない領域もあって当然ながらグラデーションがある。MUFGでも取り組みの当初は「データマネジメントってそもそも何?」といった反応をする幹部たちがほとんどだった。そのため、中央集権型で牽引していって、とにかく「まずはデータを活用すること」にプライオリティを振り切り、事業側に「データを使いたい人」を広める戦略とした。この取り組みが一定市民権を得てきて、中央側のデータマネジメント組織もある程度成長してきたので、これからは徐々に事業側に中央で育てたデータマネジメント人材を輩出し、“ローカルCOE”化、つまり事業側に中央と連携して推進するDMO組織を配置していく戦略である。中央集権かどうかではなく、企業のステージに合わせて最適な形態を選択していくことが重要。(藤咲氏)

Q4. 「社内にデータマネジメントの専門人材がいない」というお客様企業の声をよく聞くが、自社の中で育成をどうやっているのか? また、目指すべきキャリアパスをどう描いているのか?

● 世の中にDMBOKのような教科書はあるが、実際の世界は教科書通りにやったらうまくいくというものではない。実際にExcelまみれになってデータと向き合う泥臭い体験が重要。ただ、採用した新卒を教育していくのは時間がかかりすぎるし、「MUFGでデータマネジメントをやりたい」といって入ってくる新人はまずいないからゼロから育てるのは正直難しい。そのため、今はキャリア採用中心にデータマネジメント人材を増やしている。(藤咲氏)
● 中途採用で当行を志望してくれる人材と面接していると、皆さんが誰でも知っているような超一流企業で「データマネジメントに孤軍奮闘してきたが、経営はなかなか理解・評価してくれない、だからデータマネジメントに本気で取り組んでいるMUFGに入って活躍したい」という人材に出会うことが多く驚いている。その人材を手放してしまった会社は何年か経ったらその失敗に気づくと思うが、「覆水盆に返らず」ではないか。当初は20名ほどでスタートしたデータマネジメント組織も、現在では足元70名程度の組織に育ってきている。データマネジメント人材の評価については人事部門とも連携・協力関係を築いた上で、人事考課と連動させて実施している。自分を含むマネジメントレイヤーがロールモデルとなって会社の中での地位や立場を上げていくことで、「次に続きたい」という目指すべき人材像を部員たちに提示するようにしている。(藤咲氏)
● 実際にデータマネジメント人材の多くはユーザー企業の社内にいて、転職マーケットにはあまり出てこない。藤咲さんのお話しはそのとおりで、「データサイエンティストの前処理屋さん」という認知しかされていないと、社内から評価されにくい状況に陥る。そのため、小さな成果でも「この人はこういう価値を出していますよ」ということを経営層に継続的にアピールしたり、表彰制度を活用して大々的にデータマネジメント人材に対して社内から注目を集めるような地道な営みを行っている。(阿部氏)
● その人が元々どういう経験をもっているのか、これまでどう育成してきたのかを把握し、データマネジメントに向いた人材をスケールしていけるようにしたいと考えている。アナリティクスエンジニアはマルティプルな複合スキル人材なので、大器晩成で中長期的に育成する必要があり、ポテンシャル採用も行っている。キャリアパスについては、最終的な理想形からバックキャストしてスキル階層レベルを構造化・可視化し、次にどのレベルに上がればよいか、その先にどのような目指す世界があるかを本人が意識・理解しやすいようにしている。(阿部氏)
● MUFGさんと同じで、データマネジメント人材は新卒では採用できないため、キャリア採用を進めている。社内でもデータサイエンティスト系は人気職種だが、他のユーザー企業各社と同様にこれまでデータマネジメント系はあまり評価されてこなかった。そのデータエンジニアやデータスチュワードなどの人材たちに居場所を与えること、しっかりとキャリアパスをつくることが重要と考えている。“キラキラ”職種ではなくて“いぶし銀”職種だけど、「データさえ整備すれば後はAIで何とでもできるんだから!」とか「データサイエンティストを駆逐して、データマネジメント人材が主役になろう!」といった魅力の伝え方で、「これからデータマネジメント人材になりたい」という社員を増やしていきたい。(三宅氏)

Q5.  最後に、経営層や幹部からデータマネジメントの重要性に対する理解を得るのが難しいとお客様企業からよく聞くが、それを訴えるコツがあったら教えてください。

● やはり「他社の事例」が取っ掛かりとして有効。「MUFGさんでもこういう取り組みしているから、うちもやりましょうよ」というと、経営層にとってはわかりやすい。また、今回の新データマネジメント試験や新DSSのように、「国がこう言っています」というのも強い後押しになる。取り組みを開始した後、最終的には必ずROIを出す必要があるが、限られたユースケースでもビジネス効果を伝えること、実際のデータを画面で見せてその効果を実感していただくことなども重要な経営向けのアクションとなる。(三宅氏)
● 泥臭かろうが、小さかろうが、成果を可視化して経営に訴えることが自分の大切な役割と認識している。また、「データマネジメントがすごい大切な仕事なんだよ」ということを今回の経産省タスクフォースのように世の中に知ってもらうことも重要と感じている。小さな成功の例としては、「経営指標は競争環境の変化とともに柔軟に変化させる必要があるが、その対応にあたって都度マートの整備を行うには従来これだけ期間がかかっていたところ、データマネジメントに取り組んでおくことでこれだけ短期間のうちに経営の要請に対して即応が可能になる」といったビジネスシーンを伝えることで、経営層を含めたステークホルダに納得してもらうことができた。(阿部氏)
● MUFGでは、当初はBIからデータ活用を進めてきて、一定の成果を上げることができた。これからさらにAIでアウトカムを出すには相応の時間がかかることを覚悟して取り組む必要があるため、経営からの理解を持続させるための「キレイな一面のタンポポ畑」を耕している。たとえば、「ウクライナ紛争勃発後にどの企業との取引が急激に増えたのか」といったインサイトを意外にも事業部門側が把握していない、感覚的にはわかっていてもデータで定量的に見せられると腹落ち感が断然違う、といったことが多い。こうしたインサイトをクイック・ウィンで経営層に継続的にお知らせしていくことを通じて、「おっ、こんなデータがパッと出てくるんだね」という実感がデータマネジメントの価値につながっている。ビジネスに必要なユースケースに接続させて「データがこんなふうに活用できるんだ」と「この活用ができる前提としてデータマネジメントが必要なんだ」という車の両輪をセットにすると、経営からの理解や納得感を得やすい。また、社内で直送的に上層部へデータマネジメントの重要性をアピールすることも必要だが、周りの企業でも当たり前のようにデータマネジメントが活発化し、ひいては日本社会全体がデータドリブンに変わってくる、そんな姿が実現してくれば、結果的に自社のデータマネジメントの取り組みは誰を説得せずとも自ずと強くなるはず。一企業内に閉じない、社会を変えていく活動も重要と考える。(藤咲氏)
● (会場から大きな拍手)


なお、末筆となりまして恐縮ですが、このような場をJDMCにご提供くださったAWS様に対して深く御礼を申し上げます。ご協力、誠にありがとうございました。(JDMC理事兼事務局長 大西)

以上


今後も情報発信部会からこうしたイベントでの講演記事をご紹介してまいります。

RELATED

PAGE TOP