日本データマネージメント・コンソーシアム

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【Vol.117】株式会社アドヴィックス・小林亮介さん──データスチュワード、社内にどう啓蒙すればいいですか?

JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、株式会社アドヴィックス・小林 亮介さんです。


2023年度にJDMCに参画しました、株式会社アドヴィックスの小林と申します。

アドヴィックスは2001年、アイシン、デンソー、住友電工、トヨタ自動車の合弁会社として、電子制御ブレーキからパッドまでブレーキシステム全体を開発・販売するサプライヤーとして誕生しました。

日本で生産されるクルマの2台に1台、世界で生産されるクルマの10台に1台にアドヴィックスのブレーキシステムが搭載されています(※当社推定)。

アドヴィックスは自動緊急ブレーキや横滑り防止装置(ESC)など、クルマの安全性向上に取り組んでいるほか、自動運転に向けた先進技術の開発、燃費向上・CO2削減に貢献するブレーキシステムの開発など、未来のモビリティ社会にも貢献しています。

私が所属するビジネスプロセス革新部では、「デジタル・IT・データを活用し、アドヴィックスグループのビジネスプロセスを革新する」をミッションに活動しております。

私はその中で「データマネジメントオフィス(DMO)」の役割として、データガバナンス方針の整備やデータ基盤の運用を行うと同時に、「(IT)データスチュワード」の役割として、データに関するビジネス部門の課題解決支援などを行っています。

弊社では、2022年度よりデータマネジメントの取り組みを始めており、3年目となる2024年度は、データマネジメントを業務課題解決に広げていくことを目標に掲げております。

しかしながら、データマネジメントやデータ基盤活用による「うれしさ」「費用対効果」があるテーマを見出し、実行することの難しさに頭を悩ませている日々です。

上記にあたり、大きな課題だと感じているのは「(ビジネス)データスチュワード」という役割をビジネス側に認知してもらうことです(そもそも「データスチュワード」という用語の定義が幅広く、私自身が社内に自信をもって説明できるほど理解しきれていないのが正直なところですが……)。

DXの分野では、IT部門とビジネス部門が連携する必要があると一般的に言われています。しかし、特にデータマネジメントにおけるメタデータやデータ品質の課題を解決する際には、経営トップ層ではなく、実際の業務に携わる「(ビジネス)データスチュワード」の協力が不可欠です。

幸いにも弊社アドヴィックスは、企業規模にしてはコンパクトな組織体制であることもあり、実務者とのコミュニケーションが比較的取りやすい環境です。この強みを生かし、実務ニーズの把握やデータスチュワードの教育・啓蒙活動などを通じて、組織全体でデータに対する意識を高めていくことを目指しています。

これからも実務の困りごとを「虫の目」で見ながら、エンタープライズのあるべき姿を「鳥の目」で見て実現していく、という難しい課題に取り組んでまいります。

とはいえ、社内にデータマネジメントの重要性を訴えていく立場であること、そして、社内にデータマネジメントに関する有識者が少ないことから、データマネジメント担当者は孤独な戦いになることが多いのではないかと思っています。

そんな中で、さまざまなバックグラウンドの方々と意見交換ができる、JDMCの活動には毎度刺激をいただいております。未だ試行錯誤を繰り返している最中ではありますが、これからもJDMCの活動を通して、さまざまな気付きを得ていきたいと思っております。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。


小林 亮介(こばやし りょうすけ)
株式会社アドヴィックス
ビジネスプロセス革新部

製造業の研究開発部門にてデータ活用・管理業務を経験したのち、2021年10月より現職。全社データ基盤構築や運用設計、データに関するビジネス部門の課題解決支援などに従事。

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