日本データマネージメント・コンソーシアム

会員コラム

【Vol.127】株式会社キーウォーカー ・五十嵐 進さん 自律的なデータ活用のカギを握るのは「伴走支援」

JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、株式会社キーウォーカー 五十嵐 進さん です。

はじめまして。株式会社キーウォーカーの五十嵐と申します。

このたび、弊社は2025年3月に日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)に正会員として参画いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

弊社は「世界の未来を可視化する」をミッションに掲げ、データ活用に関する戦略立案から、ビッグデータの収集、AI・機械学習モデルの開発、データ分析基盤の構築、そしてBIツールを活用したデータの可視化に至るまで、お客様のデータ活用をご支援するさまざまなソリューションを提供しております。

私はキーウォーカーでデータサイエンス部という部門の責任者を務めており、さまざまな業界のお客様のデータ活用を支援させていただいております。

●労働力不足にデータサイエンティストも不足 日本を取り巻く状況

現在、日本は少子高齢化の進行により、労働人口の減少という深刻な課題に直面しています。今後もこの傾向は加速すると見込まれる中、限られた労働力のうち、医療・福祉分野への就業者数は高齢化の影響を受けて年々増加しています。

その結果、医療・福祉以外の産業分野では、相対的に利用可能な労働力が減少し、人手不足がさらに深刻化するという構造的な問題が生じています。こうした状況を踏まえると、あらゆる分野での生産性向上、特にデジタル技術やデータ活用による業務効率化は、もはや不可欠な取り組みとなっています。

※独立行政法人 労働政策研究・研修機構「2023 年度版 労働力需給の推計(速報)」より引用 https://www.jil.go.jp/press/documents/20240311.pdf

※厚生労働省 「令和4年版 厚生労働白書・社会保障を支える人材を取り巻く状況」より引用 https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/1-01.pdf


しかし、世界のデジタル競争力ランキングでは日本は依然として低迷しており、特にビッグデータの活用・分析においては64位とほぼ最下位に位置しています。

※IMD世界デジタル競争力ランキング2024年度レポート
https://imd.widen.net/s/xvhldkrrkw/20241111-wcc-digital-report-2024-wip

こうした状況の中、データ活用の中核を担うデータサイエンティストの需要が急激に増加しています。大学教育におけるデータサイエンス講座の設置や、企業におけるリスキリング施策が積極的に進められていますが、まだまだ人材供給が追いついていないのが実情です。

※みずほ情報総研「IT 人材需給に関する調査 調査報告書」 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf

まとめると、日本は少子高齢化により生産性の向上が急務となる中で、データ利活用は重要な鍵を握っていますが、それを支えるデータサイエンティストの不足が、日本の取り組みを大きく制約している状況と言うことができると思います。

●スキルやノウハウをお客様に データ活用成功のカギは「伴走支援」

こうした状況を鑑みると、「データサイエンティストが不足しているなら、弊社がその仕事を代替する」というアプローチもできるでしょう。その方が、弊社のビジネスとしても安定するかもしれません。しかし、それでは弊社のデータサイエンティストが稼働できる範囲でしか、データサイエンティスト不足や生産性向上に貢献できないという限界があります。

日本経済により良い影響を与えるためには、お客様自身にもデータ活用のスキルを身に付けていただく必要があると考えていることから、弊社では、特に「伴走支援」というサービスに力を入れています。

伴走支援とは、AI/MLやBIダッシュボードなどの開発において、お客様と弊社が一緒になって要件定義や設計・開発を行ったり、お客様が主体となって取り組み、弊社が必要に応じて技術支援や作業代行をしたりすることで、お客様側にもノウハウやスキルが蓄積される支援の形です。

従来のSI(ウォーターフォール型の受託開発をイメージ)では、システムの詳細はブラックボックス化され、お客様にスキルやノウハウは残らず、結果としてベンダーロックインによるコスト増や柔軟性の低下を招くという問題があります。これでは、本来目指すべき「攻めのIT投資」を進めることは難しくなります。

キーウォーカーの伴走支援は、単なる技術提供にとどまらず、お客様がデータ活用を「自分ごと」として捉え、自律的にデータを活用できることを目標としています。弊社のデータサイエンティストが、お客様と一体となってプロジェクトを進めることで、長期的かつ継続的なデータ活用の基盤を作り上げることが可能になります。

お客様自身がデータ活用のスキルやノウハウを蓄積することで、生産性向上が実現できれば、日本経済・社会の発展に貢献できると確信しています。そして、お客様の成功が弊社の成長にもつながるという「三方よし」の精神を大切に、事業に取り組んでいます。

JDMCでの活動を通じて、皆さまとともに日本のデータ活用推進を加速させていくことを楽しみにしています。

五十嵐 進(いがらし すすむ)
株式会社キーウォーカー
執行役員 データサイエンス部長

大手外資系IT企業で、プロジェクトマネージャーとして15年間、多数の基盤構築プロジェクトのプロジェクト管理業務に従事。プロジェクト管理部門のマネージャーを経て、株式会社キーウォーカーに参画。データサイエンス部のマネージャーとして、データ活用関連のプロジェクトにおける責任者を多数経験。


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