データマネジメントにおけるKGIとJDMCへの想い
JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、東邦ガス株式会社の藤田尚也さんです。
改めて感じる「経営資源としてのデータ」マネジメントの重要性
皆様、初めまして。東邦ガス株式会社の藤田と申します。
当社は、今年度よりJDMCに参加させていただくこととなりました。私自身を含めデータマネジメントについては初心者で、まだまだ先に見える山の大きさに恐れをなしている段階ですが、どうぞよろしくお願い致します。
私は元々システムエンジニアとしてシステムの構築に携わってきましたが、”データ”には色々と苦労させられてきました。あるはずのないNull値が連携されてきたり、日付が逆転していたり……。そして現在は、経営資源としての視点で”データ”を眺めるようになり、改めてデータマネジメントの重要さを感じているところです。
さて今回、リレーコラムという大役を仰せつかったものの、私のつたない経験では、皆様に胸を張ってお伝えできるような事例がまだありません。そこで今回は、私が感じているデータマネジメントとJDMCへの思い、そして期待について、自戒を含めて書かせていただこうと思います。データマネジメントの難しさをばくぜんと感じている方の思考整理のきっかけ、あるいはJDMC未入会の方の入会のきっかけになれば幸いです。
KGIの実現には「計画が先か実行が先か」ではなく、その中間を探る
データマネジメントに限らず、綿密な計画の元で成功の道が見えてから実行に移すのが向いていることがらと、取り敢えずやってみるのが向いていることがらの両方があります。
とはいえ実際の業務の中では、よほどのことがない限り、どちらか一方に決められるものではありません。むしろ最良の選択は、その中間のどこかにあるものです。私も現在、データマネジメントにおいて、それがどこにあるのかを探っている最中です。
そもそもデータマネジメントの目的は、企業の利益の確保や、ひいては日本の経済発展にあります。その実現には明確にKGI(重要目標達成指標)を設定し、必要なプロセスを実行していかなければなりません。その際も設計・計画にばかり投資してもだめですし、反対に何の計画もなく、個別最適でデータを集めたりルールを定めたりしても、先の破綻は目に見えています。ここでも、KGIをもっとも効率的に最大化できる「その中間のどこか=最適ポイント」を探ることが求められてくるのです。
JDMCの活動や成果物を共有・活用できるのは大きな参加意義の一つ
JDMCに入会し、色々な情報をいただきながら考えた結果、データ活用の面では、計画よりも「まずはやってみる」方向に重きが置かれるべきだと解ってきました。同時にデータマネジメントも、活用内容の拡がりにあわせて一緒に成長させていく。つまり、変化に対応できる形で進めていくことが不可欠だと感じるようになりました。
一方、現在JDMCの研究会活動に目を向けると、そうしたデータマネジメントのあるべき姿が議論され、かなり完成された理想像も議論されていると伺っています。一見、「計画」に偏っているように見えますが、これがとても良いことだと感じています。
具体的には、まずは実践してみるのに向いている案件も、やみくもに始めるのではなく、理想像を先にイメージさせることが必要です。これがあるのとないのでは、成功に必要なポイントを発見できる確率が格段に異なってきます。
またここでいう「理想像」の段階ではディテールまで決め込む必要がないため、既存の優れたモデルを流用することが可能です。こうしたモデル=既存のベストプラクティスをお互いに共有・活用できる点で、JDMCの活動や成果物は非常に価値の高いものであり、それがJDMCに参加する大きな意義の一つだと感じています。
Society 5.0を支える基盤の実現へ向けて皆様と共に前進を
今後JDMCには、当社から私も含めた数名が研究会に参加させていただく予定です。研究会では、どのような情報を成果物としてまとめていくのが最終的にデータマネジメントの発展に寄与するのか、実際に活用されるシーンをイメージしながら検討しつつ、参加していきたいと思っています。
JDMCの活動基本ポリシーに、「コンソーシアムに参画する企業個別の利害を超え、データマネジメントの発展に向けてオープンな活動を志向する」との言葉があります。とてもすばらしいポリシーだと思います。JDMCの活動がSociety 5.0を支える基盤となることを願って、これから皆様と共に進んでいきたいと願っています。
藤田 尚也 (ふじた・なおや)
東邦ガス株式会社 イノベーション推進部 情報基盤プロジェクト
東邦ガス情報システム株式会社に、システムエンジニアとして入社。人事システムや顧客管理システムの開発に携わった後、東邦ガス株式会社情報システム部への出向を経て2019年4月より現職。夢は沖縄で遊んで暮らすこと。共著書に「情報処理教科書 高度試験午後II論述 春期・秋期」(翔泳社)など。