メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、東京海上日動システムズの山田文彦さんです。
データ分析・活用に向けた第一歩を踏みだそう
データ分析・活用と言ってみなさんは何を思い浮かべるでしょうか? ちょっと前なら「データウェアハウス」「BIツール」、最近では「ビッグデータ」「データサイエンティスト」あたりのキーワードが出てくるかもしれません。
自分自身は業務で営業成績を中心としたデータを活用するアプリケーションのシステムを担当していながら、で次の一手はどうすれば……という思いもあり、1年前、JDMCに参加することを決めました。セミナーの座学だけではなく、研究会にも参加していろいろな人や会社の話をじっくり聞いてみたい、ということで『今こそ見直そう、データ(見える化)経営のあり方』研究会にも参加し活動してきました。今回は、そんな研究会活動や、社外セミナーへ参加する中でデータ分析・活用に対する思いや気づきを中心にお伝えしたいと思います。
スタートは「データ分析・活用はこれからどこへ向かうのだろう」「みんなデータの分析や活用ってどうしているのだろう、良さそうな事例を捜し、できそうなことから始められたら良いなあ」というレベルでした。
一方で、良さそうな事例といっても「各企業にとっては秘密にしたい競争分野がテーマだけにどれだけの話が出てくるのだろうか?」という少し冷めた気持ちも正直ありました(仮説が立てられる類のものならそうでもないかと思いますが、データから導き出した結果が想像できない場合だと発明・発見になることもありますので)。ですが、その心配は初回の研究会で杞憂だったことに気づきました。
自己紹介を兼ねた参加目的を聞いている中で、研究会に参加しているユーザー系の企業は皆同じように悩んでいたのです。また、ベンダー系の企業も「ハードは揃っているけれどどう提案していけば良いのか?「データ分析・活用の重要性や価値を伝えたいのだけど……」と悩んでおられたのです。むしろ、皆、悩んでいるからこその研究会への参加なのかもしれません。
研究会が進んでいく中でも、ベンダー系の企業からコンサルティング面での話が聞けたり、比較的進んでいる企業のベストプラクティスが聞けたりと貴重な情報を得ることができました。(ベンダーさんはおそらく自社のハードやツールを売りたいという気持ちをグッと堪えながらお話をしてくださっていたのだと思います。感謝!)
この分野はやってみないとわからないことが多いのもまた事実です。ビッグデータやデータサイエンティストといった言葉が氾濫する中で、各社ともにデータ分析・活用への取り組みの意識は高まっているものの、なかなか投資判断までは踏み込めていないところも多いと推察します。しっかりと目的や他社事例などから想定される効果などを見える化し、経営層にも働きかけることが重要だと感じています。
特に課題なのは人材ということも活動を通じてわかってきました。ビジネスにITに統計学や発想力のすべてをバランスよく兼ね備えた人材を最初からというのは理想にすぎるとして、それぞれのエキスパートを束ねて会話ができるレベルまでは求めたいのですが、そうした人材の発掘や育成だって、もちろんかなりの時間を要するたいへんな話です。
そうしたレベルに向かう第一歩として、JDMC、それも研究会に参加してアクティブに活動することは意義のあることだと思っています。ビジネスしか知らない人、ITしか知らない人になる前の若いうちからデータマネジメントの重要性に気づいて取り組みを始めることで、ビジネスとITをバランス良く考えられるようになるのではと思います。仕事や時間をやりくりしての社外活動はなかなか難しいでしょうが、きっと自身や自身の担当業務に返ってくるものも多いと思います。
「データは分析し、活用してはじめて価値が生まれる」――この基本に立ち返りながら、また、自社に戻って何ができるかを強く意識しながら、今後も研究会やセミナーに参加していきたいと思っています。会社の文化や業界固有の壁も考え方が違うではなく、他社・他業種のことを見聞きすることでヒントやチャンスは転がっているはずです。研究会に参加し、何かを提案していきたいし、しないといけないと思っています。
山田文彦(やまだ・ふみひこ)
東京海上日動システムズ株式会社 営業戦略推進本部・営業推進システムサービス部 上級プロデューサー。入社以来、損害保険の基幹システム開発を中心に担当してきたが、2010年6月より現職に就任し、営業成績などサーバー系中心のデータマートシステムを担当、2012年度よりJDMCに参加し、「今こそ見直そう、データ(見える化)経営のあり方」研究会で活動。
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次回のコラムのバトンを受け取ったのは、森本好映さん(KSKアナリティクス)です。お楽しみに!