日本データマネージメント・コンソーシアム

会員コラム

【Vol.64】データブリックス・ジャパン 竹下俊一郎さん、「Data+AI」の民主化を通じて、さまざまなビジネス課題の解決にチャレンジ!

JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、データブリックス・ジャパン株式会社の竹下俊一郎さんです。

「Data+AI」の民主化を通じて、
  さまざまなビジネス課題の解決にチャレンジ!

 こんにちは、データブリックス・ジャパン株式会社の竹下俊一郎です。2021年5月から、JDMCエンジニアの会に携わらせていただいています。データブリックス社は米国に本社を置く、世界で唯一「Data + AI」に特化した統合データ分析プラットフォーム「Lakehouse Platform(レイクハウス・プラットフォーム)」を提供する企業です。私は、日本における 「Data + AI」の民主化に少しでも寄与できればとの思いをもって、日ごろから活動しています。今回は、僭越ながら直近の「Data + AI」の取り組みを、自身の経験を交えながら書いてみたいと思います。

不確実性の時代には「Data + AI」の民主化が判断・行動の指針になる

私自身がデータブリックスの存在を知ったのは2年前、3年前でしょうか。データブリックスの設立の背景を知って、感銘を受けたことを覚えています。

2000年台の後期、当時まだデータブリックスの設立者たちは、カリフォルニア大学バークレー校の研究者でした。彼らは、現代のコンテキストで言うところの SDGs(持続可能な開発目標)の具体例とされるような、地球温暖化対策、難病克服、飢餓の根絶等といった、地球規模の課題を解決するためには、膨大なデータを高速に分析する必要があると感じていました。

そこで彼らは、より多くの人々が最新テクノロジーの恩恵を受けられるよう、社会貢献として自分たちの研究成果をオープンソース化していきました。その一方では、企業や組織がデータを使って、ビジネスの課題を解決するのを助けることに挑戦し、2013年のデータブリックス設立に至っています。

思い返すと、私自身の「Data + AI」との出会いは学生時代に遡りますが、当時はしがない研究見習い生として、環境経済学というテーマに取り組んでいました。その研究課題の一つに、日本が世界に誇る水資源を如何に守るべきか、どれぐらい投資して維持改善すべきかという壮大なテーマがありました。

その中でもっとも難しい課題の一つが、水資源~たとえば非常にきれいな河川や世界遺産に指定されるような湿地帯に、いくらの価値があるか定式化することでした。専門用語で言うと、スーパーで買えるような価格のついたものは「市場財」と呼び、環境のように一般的に価格のついていないものは 「非市場財」 と呼びます。

私は、この非市場財を定式化する手法をいくつも学びました。私は現在、人々が何らかの意思決定を行う際には、「Data + AI」により客観的な議論のベースラインを敷くことが非常に大切だと考えていますが、これは当時学んだことが大きな背景になっていると感じます。

新型コロナで明け暮れた2020年、そして2021年と不確実性に満ちた日々の中で、国民1人ひとりがデータに基づく判断や行動の重要性を感じつつも、何かモヤモヤした状態から抜け出せないと感じているのではないでしょうか。「私はどう行動すべきなの? 国は? 企業は? 学校は?」。

人々は「本当のことを知りたい」、「その事実をもとに、この次どうするかを判断したい」と願っています。「Data + AI」 の民主化と言われて久しいですが、まさにそれこそが解決のヒントではないでしょうか。1人ひとりがデータを手にし、それらに基づいて行動できるようになれば、それは「Data + AI」の民主化がもたらす大きな恩恵の一つかもしれません。

技術者の交流を盛り上げ、データとAIの民主化に一緒に踏み出そう!

先日、データブリックスのグローバルイベントである「Data + AI Summit 2021」が開催されました。テーマは「Future is Open」。この「Open」には、未来が開かれたものであると同時に、最新のテクノロジーを皆で共有しましょうという呼びかけが込められています。その一つの取り組みをご紹介しましょう。

現在「Data + AI」の重要性を感じつつも、どこから手を付けようと悩まれている方も多いのではないでしょうか? 私自身も、そうです。では、どうしたら取り組みの糸口や、進むべき方向を見いだすことができるのでしょう。

そこでご紹介したいのが、データブリックスのユニークなサービスです。当社では、「Data + AI」への取り組みの道標を提供するツール群である「ソリューション・アクセラレータ」を公式ウェブサイト(https://databricks.com/jp/solutions/accelerators )上で公開しています。

ここでは、何をすべきか、どのようなデータが必要かのみならず、その取り組みを実現していくためのプログラミングを含むテンプレートまでを、どなたでも閲覧いただくことができます。データブリックスのプラットフォームを使った実装はもちろん、少し手を加えれば、ご自身の環境でもお試しいただけます。

国内外のアナリストの報告によると、組織内でのAIプロジェクトの70%近くが失敗に終わっているそうです。その主な理由には、人材の不足などが挙げられています。しかし、私自身もデータウェアハウス構築やデータマネジメント構築、機械学習実装などのプロジェクトを行ってきましたが、プロジェクトの成否を決めるのは、最終的には正しいテーマ選定とそれに対するパッションではないかと感じています。

正しい戦略や道筋にしたがって取り組みを進めていった結果、人材不足が解消された例なども実際に見てきました。うまくいかなかった理由は、実は人手不足ではなく、限られた人材を効率的に活用できない戦略やプロセスだったのです。また近年の技術の進化は目覚ましく、最新のテクノロジーを利用することで、障壁を乗り越えることも非常にたやすくなっていると感じています。ぜひ、こうした課題解決に関する議論を、JDMCエンジニアの会の皆様と交わしてみたいと願っています。

「エンジニアの会」=技術者コミュニティへの貢献と一層の自己研鑽を

JDMCエンジニアの会では、臼井様を始めリーダーの山田様、寺内様、峯岸様とは2021年3月から積極的に会話させていただいています。まさにデータ界のトップアスリートがこぞって参加する会とあって、私自身も身の引き締まる思いです。本年度の主眼は、実データを用いて、①データ分析基盤の構築、②データ収集、③可視化、④分析に加えて、⑤ビジネス課題への提案を行うということです。私自身としては、①から④をなるべく高速に実施しつつ、本来行うべきである「⑤ビジネス課題への提案」に注力していただけるようにお手伝いができればと願っています。また自分自身も、ハンズオンや分析コンテストに参加させていただきながら、精一杯スキルアップを図っていきたいと考えています。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

竹下 俊一郎(たけした・しゅんいちろう)

データブリックス・ジャパン株式会社 パートナー・ソリューション・アーキテクト

ルイ・パスツール大学 サイエンスエコノミクス学科 卒業後、東京工業大学 大学院を修了。 データウェアハウス・データファブリック業界において、金融機関等のビッグデータ・アナリティクス導入支援やデータガバナンス実装・データ活用推進に従事。 2020年5月より、現職。お問合せ先 marketing-jp@databricks.com

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