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レポート

報告:第46回定例セミナー~「機械学習自動化の今」「中国AIスタートアップ企業の勢いと今後の動向」

セミナー部会 峯岸勇

 去る7月9日、半蔵門のSAPジャパン社セミナールームをおかりして、第46回定例セミナーが開催された。今回は、「機械学習自動化の今」、「中国AIスタートアップ企業の勢いと今後の動向」と題する2つの講演。

講演に入る前に、オープニングライトニングトーク(LT)として、東京商工リサーチ(TSR)の奥西令子氏に、「TSRのデータサイエンス分野におけるデータ活用への取り組み」についてスピーチいただいた。東京商工リサーチが提供している企業の与信情報やマスタデータ、データ活用に対する第三者データとしての立ち位置や重要性が語られた。DUNS Number(Dun&Bradstreet社が開発した企業識別コード)や、コンプライアンス分野におけるIBM Watson AIとの連携がいかに効率的であるか、海外の事例を示しながら紹介された。国内における産学連携の共同研究では、企業の過去から現在のスコアリングはもちろん、未来に対するリスクの変遷も時系列で捉えていくことが可能になり、テクノロジーに学習させるデータの正確性が高ければ高いほど、結果として出てくるアウトプットも高くなると締めくくられた。

 

続いて講演1として「機械学習自動化の今~機械学習を活用してビジネスで結果を出すために~」と題して、マクニカネットワークス株式会社の太田愛美氏に講演いただいた。

機械学習を使用して実際にできること、導入時に必要な事項や整理すべき課題を、実務を通して経験した知見を元にお話いただいた。機械学習はトライ&エラーの繰り返しが必要で、すぐに成果が見えるようなものではない。PoC(概念実証)フェーズではモデルの検証に注力すべきで、人材を内部から作り上げるのか外部に任せるのか、自社にあったプロジェクト作りがとても重要だという。非常に明確で自社導入を検討している方には参考になる内容であったと感じた。デモではH2O.aiのDriverless AIを使って、どのくらいの作業工程で構築できるのかについても、実演いただいた。

質疑では、
・実際のデータ量、アウトプット速度について
・課題の設定方法や事例について
・構想フェーズの進め方
など、具体的に導入を進めるにあたっての疑問、課題についての質問が多く出てきた。

講演2では、「米国越えを狙う中国のAI産業とは? ~現地で体感した中国AIスタートアップ企業の勢いと今後の動向~」と題して、株式会社マクニカの山本良太氏に講演いただいた。

講演1の技術的な導入方法とは異なり、躍進を続ける中国でのAIに対する取り組みや法整備、政策などについて、現地での実体験からお話しいただいた。

中国での国の政策に基づく有名な4企業(アリババ・テンセント・バイドゥ・iFlyTEK)の得意分野や活動、そしてAIに注力する背景、アメリカに対抗するための施策などについて、日本にいるだけではなかなか知ることが難しい情報ばかりで、興味深い内容であった。

質疑応答では、
日本との法規制の違いや事例、日本が中国にこの分野で勝つためにはどうしたらいいのかなど、直面している課題に対しての質問が多く出てきた。

日本だけでなく、全世界で高齢化の傾向が日々増加している現在、形だけの働き方改革ではなく発達したテクノロジーを最大限有効活用して業務の効率化をすることが必須となる時代が近づいていると実感する講演であった。

<参加者感想>
・具体的な導入・活用の実例をもっと期待したい。
・中国の情勢と現地の活気が解り易く、それまで持っていた認識を改めさせられましたので、参加して良かった。
・最新のIT産業の事情に触れて興味深かったです。
・中国の最新状況は、助かりました。しかし、日本の対応については、官庁的に表明的に過ぎて、やっているといっているが、どのように具体的にインプリできるかという確認が必要です。すべての項目について成果がどの程度出るか、心配するところです。
・普段なかなか全貌をつかめない、中国におけるAIビジネスについての講演が大変に有用でした。
・最近人気のH2O.aiについて詳細を知ることができ、とても勉強になりました。
・中国のAI産業については最近凄いらしいとの噂は聞いているのですが、どの企業がどのように凄いのか、詳細に教えて頂けて勉強にななりました。中国での6年間が、日本でいうとどれくらいの進化に値し、彼等のモチベーションがどこにあるのか質問しておけば良かったです。
・AIのモデリング自動作成ツールや中国の動向とその対応などのホットな情報が聞けてよかった。 仮定を設定せずにデータから傾向を自動でビジュアル表示してくれるようなツールがあれば、紹介して欲しい。
・中国の多くの企業について知れて充実していた
・同業他社の取り組みを聞くことができた。
・中国のAIの先進性を知ることができた。
・プレゼンターの方々が慣れている感じがあり、安心して聴講できました。
・マクニカさんのツールの技術的な内容が知りたかった。
・中国の状況については大変勉強になり、良かったです。
・米国の状況を注視しがちな中、中国のスタートアップの状況は興味深いものがありました
・途中参加ですが、興味深く拝聴させて頂きました。
・東京商工リサーチさんのお話に興味を持ちました
・米国越えを狙う中国のAI産業は、現地で得られた情報であり、興味深く聞かせていただきました。 日本がAI時代にどうやって生き残っていくかを考えさせられました。
・非常に勉強になり有意義な時間となりました。
・AIをビジネスで活用する流れの話を聞いて、参考になりました。
・講演の内容が非常にわかりやすく、かつ私にとって参考になる点が多かったです。
・ 講演者のお二人ともとても話が上手で、そちらの面でも参考になりました。
・今後、日本でのDX、データ活用をどれだけ進められるか、一社だけでは対応できないので全業界で取り組むにはどうしたらいいか、頭を悩ませました。

 

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