日本データマネージメント・コンソーシアム

レポート

■第29回JDMC定例セミナー報告

2015年5月12日、第29回JDMC定例セミナーが西新宿の東京オペラシティにある株式会社ランドスケイプのセミナールームをお借りして催された。今回は、2015年3月12日に開催された「データマネジメント2015~データがビジネスを駆動する~」にて、JDMCデータマネジメント賞の大賞を受賞された株式会社三越伊勢丹ホールディングス 経営戦略本部 情報システム部 部長 久保田氏と、今年3月に実施したJDMCデータマネジメント2015のアーリーバード(チュートリアル)セッションから毎年人気の高い日本テラデータ株式会社金井氏にご登壇いただいた。

1つ目の講演では、「三越伊勢丹における業務組み込み型のデータ活用について」というタイトルで1993年からの取組みやその中で経験されたり、得られたの知見を共有いただいた。聴講して印象に残ったことは、三越伊勢丹ホールディングスが現場力、つまり販売員を大切にする企業風土があり、現場力を高めるための現場目線で、業務組み込み型のデータ活用システムを提供したことが、利用され、活用されるシステムに育ったということだ。

講演では、その過程として、信頼されるデータを提供するための、マスタの整備やデータの正規化とエラー修正、また最適な性能(レスポンス)やピーク時設計など、種々のご苦労と工夫された内容を聴講させていただくことができた。

また、どの数字に着目して分析を行い掘り下げるかのノウハウがテンプレート化され、データが活用されることで、店舗の作りやフロア設計、イベントなどの施策の実施の根拠となっていることをご紹介いただいた。普段不思議に思っている三越伊勢丹さんのプロモーションも、過去と現在のデータから立案されていることをお聞きし、データマネージメントが企業活動に役立っている優良事例として、大賞受賞に相応しいものであることを再認識した。

2つ目の講演では、今回の参加者が、先のデータマネジメント2015のアーリーバード(チュートリアル)セッションに参加されていない方が多かったため、セッションの振り返りと、最新内容にアップデートされた事例をご紹介いただいた。冒頭、世界各国のなかで日本のデータ活用に対する意識の低さを改めて問題提起いただいた。海外ではすでに数多くの取組みがなされている。センサーデータなどは、データ要素はシンプルで、かつ正確なデータであるが、従来は対象となるデータ量が膨大すぎて処理できなかった。しかし技術の進歩であとはどう活用するのか、利用者の工夫次第で価値を生む情報となっていることをいくつか紹介いただいた。

これらの取り組みは企業業務課題からスタートする。今後は将来分析など新たなデータ活用の取組みが増えていくものと思われる。

今回は、アーリーバードセッションがベースとなっている為、浅く広く事例が紹介された。講師はJDMC研究会にも参加されているので、深い議論をするにはぜひ研究会に参加いただきたい。

季節はずれの台風の接近で時間短縮も考慮したため、今回はグループディスカッションは割愛し、質疑応答のみとなった。しかし、その後の懇親会で活発な意見交換が交わされたため、結局終了時間を超過する盛り上がりとなった。今回参加できなかった会員のかたは、ぜひ次回のセミナには参加いただきたいと思う。

(セミナー部会・谷本一樹)

※会場となったランドスケイプ・セミナールーム

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