第35回JDMC定例セミナー報告: オープンデータ最新事情

 (セミナー部会・谷本一樹)

 

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「データは社会や生活をより良くする。そのためには、データの共有とデータを使った課題解決のアイディアが必要」--乱暴ながら自分なりに今回のセミナーを一文でまとめるとこうなった。

JDMCでは企業に存在するデータをマネージメントすることで企業活動への活用が実現されることを広く啓蒙してきた。しかし、社内に限らずデータを広く公開し、共有することで、アイディアを持った人がそれらのデータを使い、社会や企業に対する新たな価値を創造する、そしてそれがデータを公開した社会や企業に還元される。それがオープンデータの目指す形と感じた。

2016年10月7日に開催された第35回のJDMC定例セミナーは、データの可能性についてオープンデータという切り口から『オープンデータ』の最新事情に着目し、専門家を招いて、オープンデータを巡る状況や活用方法についてご紹介いただいた。

今回会場を提供いただいた日本テラデータの金井氏(JDMC理事)の、「日本では『オープンデータ』には興味があるものの企業として取り組めていない」という問題提起からスタートした。しかし、一部企業では自治体と組んだ取り組みが始まっていることも紹介され、「企業はオープンデータを作る側(公開する側)にもなるべきだ」という提言があった。
講演1 「政府におけるオープンデータの取組」

この提言をうけて登壇いただいたのが、内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 参事官補佐の白井祐介氏である。白井氏は、自治体に向けたオープンデータの講演はあるが、参加者が企業中心の場での講演は貴重だそうだ。

はじめに、政府のオープンデータのこれまでの取り組みと、現在推進している各省庁のデータのオープンデータ化について紹介があった。これは、「電子行政オープンデータ戦略」等に基づいており、機械判読性の高い形式で、二次利用が可能なデータだ。

現在オープンデータとして各種データを登録しようとしているが、各自治体では予算も限られており優先付が必要になっているという。しかし、各省庁・自治体ではどういったデータが民間で求められているのか、つまりどういったデータが価値を生むデータか判断が難しい。このため、データカタログサイト(DATA.GO.JP)にて民間、特に企業から、要望を受け付ける場所があるので、ぜひリクエストを寄せてほしいと要望があった。なお、企業名公表を避けたい場合も考慮して、匿名でも受付けているそうだ。要望すると必ず対応されるわけではないが、会員企業の皆様は、積極的に、希望データを登録していただきたい。

今、政府は、いままでのオープンデータを「公開する」フェーズから、「オープンデータ2.0」と称して、「利活用する」ところに踏み込んだ活動をされている。具体的には単なるデータの公開だけでなく、分野を絞りその分野に対応したデータを充実させたり、公益企業での取組みに協力をしている。また今後は、オープンデータ活用の成功事例も掲載されていくという。海外での事例オープンデータ500に倣い、日本版オープンデータ100の完成を目指している。 現在、20~30の事例がIT総合戦略室のFBにアップされている。ぜひ会員企業の方には、政府の取組みやオファリングをチェックいただき、100事例の1つとなっていただきたい。

 

講演2 「オープンデータ最前線 ~ここまできた!データ活用~」

政府の取組みに続き、一般社団法人オープン・コーポレイツ・ジャパン常務理事 東富彦氏より国内外のオープンデータ活用の最先端事例をご紹介いただいた。

まず、オープンデータだけで成功させようとしても無理で、企業のもつデータとうまく組み合わせ、新たなアルゴリズムを作出すことが必要とのご発言があった。オープンデータは近年のデータ爆発の一因にもなっているが価値のあるデータは限られているとのこと。またオープンデータを活用したビジネスは、スタートアップ企業が多く、そのままビジネスとして残っているものばかりではないが、一方で資産のない企業でも大きな価値を生み出すことができることを、事例を含め紹介された。

さらにGartnerの「2018年までに25%の企業が自主的にデータを公開する」という見解を紹介し、「今後企業は自分たちの所有するデータを自分達だけで活用することは限界ができ、企業成長の役に立たなくなる。データを持つことだけでは意味がないことを自覚し、データをオープンにし共有し、共有されたデータから新たな利用モデルを作ったり、データ価値を高めることに注力するようになる」との見解を述べられた。最後に、成功事例を分類し、どこに価値創造したかで分け、各ケースでの事例の紹介があった。

img_3496最後は恒例の講師と聴講者による質疑応答・意見交換の時間となった。発言を希望される方があまりに多く希望者全員にご発言いただけなかったことは、本レポートにてお詫び申し上げる。質疑ではきわどい質問もあったが、内容に関しては参加者のみの情報として、ここでは割愛する。

今回のセミナーは、データマネージメントに関連する気になるキーワードを取り上げ、最新の情報を共有することを目的として「オープンデータ」を取り上げた。参加いただいた会員の皆様には満足いただけたと思う。

(たにもと・かずき)