概要
本研究会は、企業価値向上に資する非財務情報を、開示対応に留まらない経営の基盤データとして捉え直し、財務・非財務を統合した経営高度化の在り方を探る。これまでの研究を通じ、非財務情報は法規制対応(欧州のCSRD※、日本のSSBJ※※)のために準備する点だけに意味があるのではなく、中長期の財務成果と関係する先行指標であることの認識が広がってきた。一方、非財務情報の活用方法が分からないという回答がJDMC会員アンケートで約70%あり、経営に繋がっていないことも明らかとなった。さらに、世界では、規制から、新ESG(Energy, Security, Growth)の動きとして具体的な施策に落とし込まれている状況の中、日本の製造業では現場のエネルギー使用、設備稼働、品質・安全などの一次データが十分に取得・統合されておらず、事業や経営でうまく活用しにくいという現場の声も分かってきた。非財務としての環境データとして、CO2排出量を可視化すると、次はどのように削減していくのかが求められる。例えば、社内で、脱炭素戦略を実践する部署はあるものの、脱炭素施策で再エネを工場に導入してもそれがコストにしかならず、製品の価値に繋がりにくく、努力しても下流のお客様からは低炭素製品は求められないなどという具体的な声も分かってきた。これらは、脱炭素施策が、製品や事業の価値として認められるような活用ができていない点や、また、脱炭素に取り組むサプライヤとエンゲージメントをもつ企業のサプライチェーンは、省エネ型でエネルギー効率が高く、再エネ創出や調達の視点を持つ有力企業が多いものの、競争力のある企業であると認知されていないことなどが浮き彫りになってきた。
そこで、2026年度の本研究会では、①活用が進まない課題として「製造業での一次データ取得の困難性」の解決に向け、Physical AI等による製造現場からのデータ取得・分析の研究と、②非財務情報を企業価値向上に資する経営基盤データとして捉え直し、非財務情報を経営判断につなげるため財務・非財務データの設計・活用方法をデータマネジメントを軸としたData&AIの視点から実践に繋げることを目指す。
※CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)企業持続可能性報告指令
EUが欧州市場の事業者に環境権、社会権、人権、ガバナンス要因などの持続可能性事項に関する報告を義務づけた指令であり、早ければ2024年1月1日に開始する会計年度から適用されることが決まっていたが、適用開始時期の延期などが決まっている。
※※SSBJ(Sustainability Standards Board of Japa)日本のサステナビリティ基準委員会
初期段階では東証プライム市場の上場企業、特に時価総額3兆円以上の企業から2026年度の非財務情報の開示を2027年度から開始。その後1兆円以上、最終的には全上場企業へ拡大する見込み。
目的とゴール
非財務データを「測るためのデータ」から「経営を動かすデータ」へと昇華させ、企業価値創造モデルの社会実装に資する知見を提示することをゴールとする。
活動内容
本研究会では、非財務情報を経営に実装するため、2つのサブワーキンググループ(SWG)を立ち上げ、相互に連動させて研究を進める。
一つ目のSWGでは、Physical AI等を活用し、製造現場を中心とした非財務情報の一次データをどのように取得できるかについて、技術的・実務的観点から研究する。
二つ目のSWGでは、取得した非財務データを前提に、財務・非財務データをどのように設計・管理・活用すれば経営判断につなげられるかを、データマネジメントの視点から実践的に検討する。
両SWGは成果や課題を相互にフィードバックしながら連動し、現場データの取得から経営活用までを一気通貫で整理することで、実務に活かせる知見の創出と展開を目指す。
アウトプット
・新たな知見・情報・気付き
・実践知をGood Practiceとしてホワイトペーパーなどにまとめ発信する
・関連団体・機関への提言
参加対象者
・経営企画、財務、サステナ部門など、非財務情報開示に関心を持つ実務担当者、ビジネスリーダー
・データ利活用を含めたDXを推進しようと考えているデータサイエンティスト、ITシステム部門
・GX(Green Transformation)やSX(Sustainability Transformation)を推進する事業の実務者
・Physical AIを活用した一次データ取得と活用に関心のある方(製造業を想定しているが、サプライヤ連携なども考慮している)
開催頻度と形式
月1回(ハイブリッド)
難易度
(〇)初級 (〇)中級 ( )上級
非財務の実務担当者にとっては非財務の課題軸では専門性が高いが、データガバナンスは難しいという声がある。一方、データガバナンスを専門にする方は、非財務の価値や規制などコンテンツ情報については情報が構造化されておらず理解が難しい場合がある。そのため、双方が共通言語として非財務とデータガバナンスを互いに理解できるように進めている。
リーダー(L)・サブリーダー(S)
L: 永野友子 (富士通株式会社)
S: 三上裕子(Ridgelines株式会社)
アピール
非財務情報に関する研究は、4年目[旧・非財務(ESG)データのマネジメント(サステナビリティデータ活用)研究会]であるが、財務・非財務のデータ分析実践や、Physical AIを活用については初年度であるため、これから研究したい方も歓迎します。
ご参考
研究会参加方法
JDMC会員サイトにログインして、参加申請を行ってください。
※ログイン方法がご不明な方は事務局まで(info(アットマーク)japan-dmc.org)
[会員サイト・ログイン]
[会員サイトについて]