日本データマネージメント・コンソーシアム

会員コラム

【Vol.103】東京海上日動システムズ 鈴木 万里子さん、保険契約で生まれる膨大なデータを管理、データリネージにも挑戦中

JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、東京海上日動システムズ株式会社 鈴木 万里子さんです。


皆さまこんにちは。東京海上日動システムズの鈴木万里子です。

私たちの会社では、東京海上グループのシステムの企画・開発・保守運用・システム活用支援といったITソリューションを提供しています。

近年、目まぐるしく変化する保険ビジネスを取り巻く環境において、DXの推進、新技術やマインドの変革の重要性を感じており、新しい挑戦が求められる領域の案件が急増しています。

私は、データ利活用の促進を目指すチームの一員として日々業務に取り組んでいます。今回は、その業務内容について少しお話しさせてください。

密結合を解消し、HUB & SPOKE型に。新たなデータ活用基盤を構築

まずは「新たなデータ活用基盤」の構築です。東京海上グループでは、お客様の保険契約時に代理店さんや社員が利用する保険契約管理システムなどの各業務システムから、膨大なデータが日々更新されています。

これらの上流データは、数珠つなぎでデータ加工・利用が行われているため、複雑な密結合の状態であり、開発時に基幹システムとの連携やデータ整備に時間を要していたことが問題になっていました。

そこで現在、新たなデータ利活用のための基盤と仕組み(Operational Data Store)を構築し、データ授受の仕組みを「HUB & SPOKE型」のアーキテクチャへと転換を進めています。

このデータ活用基盤を中心に、DWHなどのデータ分析基盤や各アプリケーションにデータを渡していくことで、密結合状態を解消し、システム間の疎結合性向上を目指しています。

データリネージに向けた「メタデータ」の重要性と活用法

また、実際にデータ活用を促進していくには、データ活用の基盤整備に合わせて、メタデータの整備も非常に重要な要素になります。

メタデータもただ集めるだけではなく、それを活用した「データリネージ」にも取り組んでいます。私のチームでは、上流から下流までのデータの流れを自動的にグラフィカルに可視化し、データを簡単に追跡できるようにする取り組みなどを小さく始めています。

障害影響調査や問い合わせの効率化など、効果を実感する嬉しい場面もあるものの、運用ロードの増加などの課題もあり、プロジェクトはまだ道半ばです。 先日のJDMCのLightingTalk#1「データ組織がデータマネジメントを進めるうえでのポイント(https://japan-dmc.org/?p=19471)」にて、「組織の最も重要なデータに焦点を当て、データのROTを最小限にする」というPeter Aiken博士の言葉をご紹介いただきましたが、メタデータ活用の取り組みは、常に改善のサイクルを繰り返す、終わりのない継続的なものだからこそ、フォーカスを絞ってサイクルを回すことの大切さを改めて実感しています。

研究会に参加したいと思った理由

会社の外に出て、さまざまな立場の方と接することで学びや刺激を受けたいと思い、今回初めてJDMC研究会テーマ2(データマネジメントの基礎と価値)に2022年6月から参加しています。

毎月の研究会でグループ討議やディスカッションなどを通してたくさん学ばせていただいていますが、先日行われたJDMC LTでは、LTとは思えないほどぎゅっと濃い内容で、データ管理の難しさを再認識しつつ、とても興味深く拝聴させていただきました。今後ともよろしくお願いします。


鈴木 万里子(すずき まりこ)

東京海上日動システムズ株式会社
システムイノベーション推進部

損害保険(少量多品種)の契約管理システムの開発や要件定義を経験の後、現在の部署へ異動。データ利活用の促進を目指すチームにて、保守運用やメタデータ活用の業務を担当。

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