(報告)JDMCエンジニアの会 データ分析コンテスト発表会

(JDMC事務局 遠藤秀則)

2021年2月24日JDMCエンジニアの会によるデータ分析コンテストの発表会がオンライン形式で開催された。第三回目となるこのコンテスト、今回は、JDMC会員のトライアルカンパニー社からご提供いただいた実データを元に、参加者自ら考えた様々な視点でのデータ分析を実施した。データは、POSデータ(個人情報は含まない)10店舗コロナ前後1年半分の約2億レコード、エンジニアが腕をならす件数である。エントリーしたのは6チーム9名、コロナ禍で制約もあったが、オンラインで会合を重ね、この発表会に至った。その発表会の模様をレポートする。

注)個人情報は含まないものの、企業が保有する実データを扱うコンテストであり、その分析結果、発表内容にも秘密事項が含まれる。そのため本発表会も招待制として開催された。このような理由から、本レポートにも伏字やモザイクが含まれることを了承いただきたい。

 

参加者(敬称略)

 

参加者
  庄司朋子(理想科学工業)
  平沢陽子・伊ヶ﨑英雄(日本気象協会)
  金石和英(ビジネスエンジニアリング)
  水信 元 (寿樹計算)
  濱口憲太 (東京海上日動システムズ)
  松島和大・安原朋紀・田村理(リアライズ)

審査者

<データ提供>
 西川晋二    トライアルカンパニー RetailAI 顧問 
 金光博明   トライアルカンパニー 東京秘書室 副室長

<JDMC理事>
 小守雅年    日本オラクル 執行役員コンサルティングサービス事業統括
 松田一泰     (富士通 青柳 一郎   富士通株式会社 DXプラットフォーム事業本部本部長 代理参加)

<特別審査員>
 植松幸生  NOKIAソリューションズ&ネットワークス AVA expert leader

<JDMC研究会>
 星 祐輝  三越伊勢丹 MD統括部マーケティンググループCRM企画推進部CRM企画
 武藤奈緒子 みずほ銀行 個人マーケティング推進部 CXデザインチーム 調査役

<JDMC事務局>
 谷本一樹   日立製作所 経営企画本部 技術管理センタ 主任技師
 遠藤秀則   NTTデータ 技術革新統括本部 シニアスペシャリスト

<エンジニアの会リーダー>
 山田文彦   東京海上日動システムズ システム開発本部 アプリケーション開発部長
 寺内 潤   Q’sfix デジタルビジネスイノベーションセンター エキスパート
 峯岸 勇   Yellowfin Japan, Director of Partner Alliance

 

エンジニアの会リーダー山田さんの進行で発表会が始まった。

 

はじめにデータ提供企業であるトライアルカンパニー 西川さんから「われわれの業界は、データ活用で数字をよくしていく可能性が高い業界と考えている。8万点のアイテムをお客様とどうマッチングさせるか、パラメータが多いので、皆さんの経験で我々に思いつかない視点で活用してもらいたい。」とご挨拶いただいた。

 

次に各チームからの発表が続いた。

①Covid-19は消費者の購買行動を変えたのか;理想科学工業 庄司朋子

Covid-19の影響を見るため2019年1月~7月と2020年1月~7月のデータをもとに国勢調査のデータなども合わせて商品別分析、顧客別分析を実施。クラスタ分類、RFM分析、相関分析などを活用。都会にある店舗はコロナ影響が○○、地方は△△などを示した。

 

 

②コロナ感染症の影響調査;日本気象協会 平沢陽子、伊ヶ崎英雄

日銀短観を用い、感染拡大と各業種への影響を考察したのち店舗別、ライン別、会員ランク別の分析し、売り上げに影響する共通の要因を探索した。売り上げに寄与するラインは〇〇、伸びない店舗は△△ラインの寄与が小さいなどを示した。

 

 

③肉を制すスーパーがコロナを制す!?;ビジネスエンジニアリング株式会社 金石和英

マーケットバスケット分析、決定木を用いた分析などを活用。コロナ禍においても市場全体の中で精肉部門の売り上げが伸びていることを示し、このマーケットサイズが拡大している精肉部門を取り込めば店舗の売り上げ増につながると仮定。精肉と一緒に売り上げが見込まれるのは〇〇、△な人が□のタイミングで精肉を買うなどを示した。

 

 

④顧客購買目的の因子抽出と分類;寿樹計算株式会社 水信 元

因子分析などの手法により、お客様の購買目的を分類し、購買ニーズの変化を掴んだ。来店頻度が○○なお客様は△△の購入が増えたなどを示した。

 

⑤POSデータの分析;東京海上日動 濱口憲太

コロナ禍で売り上げを伸ばした店舗について寄与している商品をカテゴリ毎にグルーピングした。変化率(前年月比較)が高い4店舗に着目すると○○が売れていた。○○をおいていない店舗はこれをそろえれば売り上げに貢献する可能性があるなどを示した。

 

⑥コロナが顧客の購買に与えた影響と離反する顧客の傾向;リアライズ 安原朋紀・松島和大・田村理

コロナ前後で購買金額を比較すると会員は○○だが非会員は△△という傾向がみられた。離反自体が少ないなどを示した。

 

 

各チームの発表、質疑応答の後、データ提供者から総評をいただいた。

西川様 様々な手法で細かく分析していただいた。アクションにつながるインサイトをご提案いただければトライしたいと考えている。今後は我々からお題や希望、自社で取れる手法などもお伝えしたいと思う。

金光様 我々の分析は固定概念で入ってしまう。普段の切り口と違うところの分析は参考になった。最終的に施策に落とすときには商品や売り場やサービスを変えないといけない。そのためには顧客の心理を読み解く必要がある。データの中から行動の変化を読み取ってその裏にある心理の変化を読み取ってもらいたい。まだAIでできていない部分である。トライしてもらいたい。

エンジニアの会リーダー山田さんから、次年度も分析コンテストを企画していきたいとの締めくくりで発表会が終了した。

各チームとも持ち時間を大きくオーバーする熱のこもった発表会であった。質疑についても、分析手法や観点についての他社からのアドバイスや、発表方法についての示唆もあり、実践的な会となった。いっぽうで次年度に向けての課題も見えてきた。データ提供者からはお題もいただく、取り得る手段などもあらかじめお知らせいただくなどすれば、より課題に直結した活動となり実際のアクションにもつながる可能性が高くなると思われる。

企業の実データを扱い、実務的なテーマを通じて分析の実践をはかれるほか、説明会や発表会において、企業の実務担当者と対面でコミュニケーションが可能なコンテストは唯一無二と考えている。オープンデータの利用だけでは味わえないリアルな環境で、緊張感と高揚感を抱きながら進めていく「JDMCエンジニアの会データ分析コンテスト」次回への皆様の参加をお待ちしております。