第39回定例セミナー報告:データマネジメント賞受賞講演 ~新日鐵住金、京都外国語大学

2018-07-02

(事務局・谷本一樹)

2018年3月7日に目黒雅叙園で、JDMC年次カンファレンス「データマネジメント2018~データが拓く無限の可能性~」が開催された。カンファレンスにて、データマネジメント分野で他の模範となる活動を実践した6社の企業・機関を「データマネジメント賞」として発表、表彰した。

6月13日(水)開催の第39回定例セミナーは、日本テラデータの会場をお借りし、「データ基盤賞」の「新日鐵住金株式会社」と「アナリティクス賞」の「学校法人京都外国語大学」にご講演頂いた。

 

講演1 「新日鐵住金の大規模・複雑系工程管理を支えるIT技術」

新日鐵住金殿は2016年にJDMCに入会され、2017年のカンファレンスで取組みをご紹介頂き、その内容が評価され、2018年のデータ基盤賞を受賞されたという。
まず前半は、新日本製鐵と住友金属の会社統合におけるシステム統合及び標準化への取り組みについて、業種の特性をふまえたプロセスを紹介頂いた。今回の成功は、日本中に分散する製鉄所や旧会社ごとに異なっていた仕組みを、無理に統合するのでなく、統合すべき領域と個別システムで良い領域に仕分けし、製鉄所毎の独自性が強い生産管理システムについては標準化モデル(全社ベストプラクティス)をつくり対応した点にある。当日はその一例として、デリバリー業務の説明をして頂いたが、その他の業務や現在未採用の事業所についても、順次展開中とのことだった。
後半のテーマはIoT・AIを中心とした「高度IT活用」で、安全対策を中心にご説明頂いた。製造業としては安全がなにより優先であり、IoTを活用した安全管理システムの実運用を開始したとのこと。これは作業者が携帯するスマートフォンや小型センサー等を使って管理者が見守りを行う仕組みで、一人作業や高所作業の安全を確保するもの。また、その他にも、現時点では検証中ではあるが、事業の肝となる生産計画のAI適用やヤード管理へのドローン活用など最新の取り組み状況についても紹介頂いた。
いずれの事例も、なぜそういった取り組みをしたかの業務上の背景から、改善プロセス、データの活用など、キーポイントを押さえた講演で、鉄鋼に関する業務知識がなくても理解しやすかったと思う。また、既に実現できている事例だけではなく、現在トライ中の取り組みやその課題について話を聞けたことは非常に参考になった。講演全体を通じて、新日鐵住金殿は「出来たことに満足するのではなく、出来る範囲から実現し、その範囲を徐々に広げ、また常に新しい取組みを加え次の活動につなげる、持続可能な改善の取組みができる組織」だという感想を持った。
登壇された冨田様はIoT・AI研究会に所属されており、最後は「ぜひ研究会にエントリー頂き、一緒に新しいテーマを議論させてほしい。研究会を通じて自分自身もレベルアップしていきたい。」というメッセージで講演を締めくくられた。

 

講演2「大学に求められるデータ活用:
京都外国語大学におけるIR(Institutional Research)の取り組みと教育・運営の改善」

IRと聞いて皆さんはどういった内容を連想されるだろうか。多くのJDMC会員はインベスター・リレーションズ、つまり、企業が投資家に向け経営状況などに関する情報を発信する活動と思い、残りの方は、統合型リゾートを連想するかもしれない。今回は、大学の経営改善や学生支援,教育の質 向上のため,学内データを収集・分析し,施策を行うと いった活動のことである。
米国の学校を中心に行われていた活動であるが、日本でも取組みが開始されているらしい。しかし、米国と異なり、社会人同様に学生も大学間の流動性が少ないこと、また大学ではデータを活用しても新たな利益を生むのでなく、教務の業務改善にしかならないことから、限られた予算のなかで実施されることが多いとのことである。
今回講演いただいた西出様も有期での取組みらしく、折角の取組みも定着がはかれるかは不明とのこと。大学を取り巻く状況が厳しくなっていると聞くだけに、散在する多くのデータが活用されていないのは非常に残念な状況である。今回の受賞もまさに、こういった隠れた活動、価値の見いだされにくい活動に光を差し伸べたものであることを認識いただけたと思う。

講演の中で、大学は企業が希望する学生を育成するだけでなく、社会に対して質のよい市民を育成して送り出す役目を負っているとのご説明があった。このように学校における意義が明確かつ、不動のものであるだけに、学校運営の戦略を決めることなく、手段として分析だけが着目、導入され、定着しないという課題があげられている。
今回の取組みでは、定期的に作成されるレポートを探し、それを短時間かつ正確な情報として教員の方々に提供し、実際のレポートイメージを見ていただくことで、データの流れを作り、蓄積、加工、活用の手段の有効性を認知してもらうことができたという。信頼ができれば、必要なデータの相談を受付けることで、次のレポート作成のニーズの吸い上げが可能になったとのこと。

本講演は、データマネージメントがなくても組織はまわると思われている人の多い企業にとって、価値訴求の仕方としての参考になったのではないかと思う。
最後に、データから見えた最近の京都外国語大学の学生の特性を紹介され、講演を締めくくられた。
 
 
 
<参加者感想>
・データ活用の現場の具体的な課題、IoTの実際の取り組みなど事例として参考になった。
・AIやIoTの導入が進んでいる事がよく分かった。
・大学でのIRの推進の難しさと可視化の効果がよく理解できた。
・高度IT施策についての取組みについては大変興味かった。
・疵の分析、熟練者の生産計画へのIT化等、成果についてまたお聞きしたい。
・データはビジュアル化がまず第一、ビジュアル化しないとトレンドがわからない、トレンドをつかまないと更なる分析の観点も思いつけない、ということが理解できた。
・予算の限られた中での実行に敬服する。
・具体的な事例を聞くことができてよかった。 どちらも参考になった。
・データを意識させる、リテラシーを高めるにはまず効果をすぐに見せることの重要性がわかった。
・どうやってデータを収集したのか、苦労点などのお話しも聞きたかった。 蓄積しているデータについて、もっと深く知りたかった。
・IoT・AI等を活用した取り組みは興味深かった。
・非常に興味深く拝聴した。 具体的に実施されたデータマネジメントについて、更にふみこんだお話を聞けるとより興味深かった。
・弊社にも非常にマッチする内容で、もっと詳細にも聞きたかったですが、とても参考になりました。
・大学でのデータマネジメントについての課題など、とても新鮮な内容で非常に興味をもって聞きました。
・現場での具体的な取り組みがよく分かり、大変勉強になった。ベンダーさんのセールストークでは絶対に得られない素の姿が垣間見れる貴重な機会を頂き有難かった。
・両テーマとも、大変貴重なお話しを聞かせていただきました。有り難うございました。「技能伝承」の分野に関するお取り組みは、多くの企業においてご苦労されているところでもあると思う。
・運営者のビジョンが大切だ、というお話や、ユーザにはまずモノを見せてあげて、とのお話は、とても説得力があり、中身の濃いご発表だったと思いました。
・できた/やっただけでなく、なぜできたのかをさらに知りたかった。
・データ管理・活用の原点を聞かせて頂きました。
・新鮮な話題で大変興味深かった。
・詳しくお取り組みをお聞かせいただき、大変勉強になりました。
・ユーモアも交えながら、現在のIoT活用も含めた内容で素晴らしい講演でした。次の機会にはデータマネジメントに関することをお聞きしたいと思います。
・大学におけるデータ活用の実態がよく分かり、勉強になりました。学内の活動は自由度が高いということで、今後に期待です。他の大学でもデータ活用が進んで欲しい。
・同じ業界として悩みや解決手段など今後弊社としてデータを如何に扱うかの方針作成に役立ちました。
・OSSでここまでできることに驚きました。まずはVisualに示すことが大切である点は大いに納得いたしました。
・具体的な内容でとても参考になりました。



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