JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、三井住友ファイナンス&リース株式会社・小久保 奈都弥さんです。
三井住友ファイナンス&リース株式会社(SMFL)のデータマネジメント部では、社員が積極的にデータを活用し既存業務に付加価値をつけられるよう、全社のデータ活用推進を主導しています。
データマネジメント部では、数年前に当部と現場の各部門をつなぐ橋渡し役として「リレーションシップマネージャー」の設置を開始しました。リレーションシップマネージャーは、担当する部門からデータに関する悩みごとを聞き、その部門のデータ活用を推進する役割を担っています。相談内容によっては、部内の最も適任と思われる別の部員に繋ぐこともあります。
SMFLは、国内外のリース事業だけでなく、トランスポーテーション事業、不動産事業、地球環境事業など幅広い事業を展開しており、部門ごとに扱うデータが多岐にわたります。データに関する悩みも多種多様です。各部門からは「今は人力でどうにか対応しているが、機械的にできないか」「各担当者の経験で業務を進めているが、もう少し定量的に判断するためにどんなことが出来そうか」などの相談があります。
私たちは、現場の課題を聞いて、データマネジメント部で知見を持つ部員と共に、社内外のデータを活用した課題解決手段の検討やデータ分析の課題への落とし込みを行い、現場担当者とその使いやすさなどを確認していきます。
●手段ではなく「本当に解決したい課題」を理解し、現場と議論する
私がリレーションシップマネージャーとして担当した案件で、「写真の画像判別で課題が解決できないか」という相談がありました。このように「手段」を起点にして相談いただくことが多々あるのですが、私たちが大切にしているのは、本当に解決したい「課題」をしっかりと理解することです。今困っていることはどのような業務かをヒアリングし、想定される解決策を提示しながら「この解決策が現場が抱える課題の解決につながりそうか」について議論を重ねました。
最終的に、現場の課題解決には、画像の判別手法ではなく、現場でも実感を持って使用できるBIツールの活用が適しているという結論に至り、部門に大変満足いただける結果となりました。この経験を通じて、現場の業務を知る各部門とデータ活用に関して知見を持つデータマネジメント部が良い関係を築くことで、業務におけるデータ活用がより加速することを実感しました。
また、リレーションシップマネージャーは各部門からの相談を受けることに加え、データマネジメント部が企画・開催している社内向けデータ活用研修などの案内も個別に行い、各部門の状況に即した情報提供も行うようにしています。その結果、各部門で「まずは自力でデータを活用してみよう」という動きも出てきています。
このようにデータ活用を主導するデータマネジメント部のメンバーが各部門との橋渡し役となり、多様な領域でデータ活用を全社に広めようとする施策は、さまざまな部門で少しずつ成果を上げ始めています。私たちデータ活用部門と現場部門が良好なコミュニケーションを繰り返すことが、データ活用を広げていくうえで重要だと考えています。

小久保 奈都弥(こくぼ・なつみ)
三井住友ファイナンス&リース株式会社 データマネジメント部
コンサルティングファームでのデータ利活用の支援業務やデータ分析・機械学習モデル構築業務を経てSMFLに入社。エネルギー分野・マーケティング分野などのさまざまな領域のデータ活用の業務に従事。中小企業診断士。法政大学大学院特任講師。
著書:「データ分析者のためのPythonデータビジュアライゼーション入門」翔泳社(2020)