日本データマネージメント・コンソーシアム

会員コラム

【Vol.134】北海道電力株式会社・山田 郷西さん データドリブン企業への挑戦──新設したデータマネジメント組織が掲げる「VMM」

JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、北海道電力株式会社・山田 郷西さんです。


皆さまはじめまして。2025年9月よりJDMCに参画いたしました、北海道電力の山田と申します。

コラム執筆の機会をいただきありがとうございます。本日は、データマネジメント専門組織として今年度発足した「情報通信部データマネジメントソリューショングループ」を代表して、私たちの目指している姿についてお話しできればと思います。

● 1.「AI・量子」の時代だからこそ、足元を見る

私たちは現在、「ほくでんグループ経営ビジョン2035」の実現に向け、HEPCO-ICT戦略をアップデートする作業を行っております。人口減少社会を支える「AIワーカー」や、将来必ず訪れる「量子コンピュータ」の時代を見据えた戦略を描いています。

しかし、どれほど高度なAIがあっても、参照するデータが信頼できなければ、正しい価値は生まれません。AIの進化に伴い、データは単なる「記録の集積」から、AIが参照し新たな知を生み出す「知識倉庫」へと進化する必要があります。この未来を実現するために設立されたのが、私が所属する「データマネジメントソリューショングループ」です。

● 2. 組織の羅針盤:データマネジメントソリューショングループの「VMM」

組織が立ち上がり、私たちが最初に行ったのは、自らの存在意義を「VMM(Vision・Mission・Mind)」として定義したことです。これが私たちの活動の「羅針盤」となっています。

・Vision(目指す姿):経営層や主管部とタッグを組み、誰よりも「データの一番の理解者」として、技術と知識を駆使してビジネス価値創出に貢献する集団になること

・Mission(果たすべき役割):「One Data, One Company, Smart Solutions.」 データを企業の競争優位性を左右する「データ資産」として管理すると同時に、組織の垣根を越えて誰もが使える「全社の共通資産」へと昇華させること

私たちは、単なるデータ活用基盤の管理者ではありません。データの領域から企業変革をサポートする、社内各業務主管部門のビジネスパートナーを目指しています。

● 3. データマネジメントとは「最高の一皿」のための「下ごしらえ」

「データマネジメント」という言葉は、社内ではまだまだ一般的ではありません。社内で説明する際、私たちはよく「料理」に例えます。

AI活用やDXといったソリューションは、料理で言えば「完成した一皿」です。しかし、素材(データ)が泥だらけだったり、腐っていたり(品質不備)すれば、どんな一流シェフ(データサイエンティスト)でも美味しい料理は作れません。

素材をきれいに洗い、皮をむき、使いやすい大きさに切り揃えて、素材の特徴などの情報をラベルに貼って冷蔵庫に保管する。つまり、「最高の料理(ソリューション)を作るための、丁寧な下ごしらえ」こそがデータマネジメントの本質であることを、私たちの活動の本質として説明しています。

● 4. 「レシピ」としてのガバナンス標準と、厨房の役割分担

この「下ごしらえ」を属人的な作業にせず、組織能力として定着させるために、現在策定しているのが「データガバナンス標準」です。これを料理の「レシピ」として機能させるべく、3つのポイントを定義しています。

1. 役割の明確化(RACI):「データオーナー」や「データスチュワード」などの役割や責任・責務を明確にし、データを資産として管理する体制を敷く
2. 品質の担保:データは「発生源」で品質を作り込むことを原則とし、正確性や完全性といった評価指標を定める
3. 意味の統一:「ラベル」にあたるメタデータを体系化し、カタログ化することで検索性を高める

● 5. コンテンツも「資産」へ:SSOTへの挑戦

私たちの挑戦は、構造化データにとどまりません。社内に散在するドキュメント(非構造化データ)もまた、AI時代における重要な資産です。

これらを「コンテンツレイク」に集約して、一元管理(SSOT:Single Source of Truth)し、メタデータを付与して「AI-Ready」な状態にすることで、社内の暗黙知を形式知化する構想を進めています。

● 6. マインドの実践:「鳥の目」と「虫の目」

理想は高く掲げましたが、足元は泥臭い作業の連続……というのが現実です。長年の業務で蓄積されたデータは各部門にサイロ化し、「暗黙知」のまま埋もれています。現在、私たちはどの部門にどんなデータがあるかを調査する「データ資産の棚卸」の計画を練っています。

こうした困難な活動を支えているのが、VMMで定めた「Mind(行動指針)」です。

・「鳥の目」と「虫の目」を使い分ける:全体最適の視点(鳥の目)を持ちつつ、現場データの細部や泥臭い課題(虫の目)からも目を逸らさない
・データ品質にプライドを持つ:下ごしらえのプロとして、妥協のない品質を追求する
・利用者のニーズを先読みする:常に「分かりやすさ」を意識し、前のめりな姿勢で活用を支援する。このマインドセットこそが、地道な棚卸を「未来への投資」へと変える原動力になる

● 7. おわりに:北海道に「Smart Solutions」を


戦略を進める上で私たちが重視しているのは、データの「品質とセキュリティ(守り)」と「活用促進(攻め)」の両立です。

私たちの挑戦はまだ「下ごしらえ」の最中かもしれません。しかし、この準備が整ったとき、当社のデータは「内部資産」から、社会課題を解決する「社会資産」へと昇華します。信頼できるデータ活用基盤の上で、AIと人が共創し、北海道全体に新たな価値を届ける。その力強い推進力となるべく、データマネジメントソリューショングループは今日もデータと向き合い続けます。

最後までお読みいただきありがとうございました。私たちはデータマネジメントに関してはまだまだ若輩者であり、勉強の日々を送っています。今後は、JDMC会員の皆さまとの会社の垣根を超えたコミュニケーションを通じて、知見を共有し、より良いデータマネジメントの実践を共に模索していければと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。

山田 郷西(やまだ・ごうせい)
北海道電力株式会社情報通信部
データマネジメントソリューショングループ所属(兼務:ICT戦略グループ、DX推進グループ)

社内業務システムの開発・保守、社内DX推進業務に従事した後、2025年4月よりデータマネジメント専任組織に所属。現在は、データマネジメント・ガバナンス戦略、および、実行スキームの整備を担当。

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