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JDMCエンジニアの会、2022年度「データ分析コンテスト」入賞者発表

■はじめに

エンジニアの会リーダー 峯岸 勇

エンジニアの会は、昨年夏から8か月間に亘って、データ分析に関わる講義やハンズオンを全12回開催した。ハンズオンは、データの収集・整備・分析・可視化など、データマネジメントの流れを体験する構成で、体験した製品は全10製品に及んだ。 講義は、エンジニアが、「課題発見力」「プレゼン力」を高める内容で、専門家を招いて実施。こうして学んだ知識を発揮する場として企画されたのが、今回のデータ分析コンテストであった。

分析データは、今年も、JDMC会員のトライアルカンパニー社からPOSデータをお借りした。テーマは、店舗の改装前と改装後の変化を示し課題と打ち手の提案。コンテストにエントリーしたのは全7チームで、2022年5月11日夕刻に発表会をオンラインで実施した。 1チーム10分でプレゼンをしてもらい、トライアルホールディングスグループCIO西川様や同社データサイエンティストよりコメントや質問をもらうという形式で進めた。

コンテストの発表会前には、エントリーしたメンバー間で互いの進捗を確認しあったり、西川様に店舗戦略をヒアリングする機会を設けたため、昨年度より更に踏み込んだ内容となった。8か月間に学んできた成果であると思う。全チームが分析スキルを駆使し、ビジネス課題を解決する提案まで盛り込んだ素晴らしい発表であった。各チームの発表概要と、入賞者(「ビジネス賞」と「データサイエンス賞」の2つ)は以下の通り。

本コンテストは単なるイベントではなく、1年を通して様々な手法やツールに触れながらそれぞれのプロフェッショナルと会話が行える延長に実データと向き合うコンテストということで、他にはないJDMCならではのものとなったと感じている。

最後に改めて、データを提供していただけたトライアルカンパニー様、ハンズオンや講義、分析環境をで長期間ご提供いただいたベンダー各社に心から感謝申し上げたい。

▼Special Thanks (順不同)

トライアルカンパニー、データブリックス・ジャパン、日本マイクロソフト、アステリア、Talend、インフォマティカ・ジャパン、Snowflake、グーグル・クラウド・ジャパン、Yellowfin Japan、クリックテック・ジャパン、Stibo Systems、高橋範光氏(ディジタルグロースアカデミア社長)、植松幸生氏(東京理科大学 研究推進機構  客員研究員)

 

■実施概要

テーマ:   小売データ分析コンテスト  ~店舗の改装前と後の購買分析 (POSデータ)
データ提供: トライアルカンパニー
環境提供:  Databricks/Snowflake/Yellowfin
対象:     JDMCエンジニアの会メンバー
分析期間:      2022年4月上旬から約3週間
発 表会:      2022年5月11日(水)夕刻 オンラインにて
審 査:        トライアルカンパニーご関係者

 

■受賞者 (敬称略)

ビジネス賞(課題発見力、打ち手の内容を評価)

チーム5 水信元(寿樹計算)
「若年層顧客の購買行動変化を鑑みた打ち手の提案」

受賞理由:報告書の流れと手法の説明が大変分かりやすく、内容を細かく理解しながら聞くことができた。分析結果を提示する際も、各数値の性質に合ったグラフを選択されており、聞き手への配慮が行き届いていた。また分析結果から施策の提案までつなげられており、聞き手のアクションを導き出せるような素晴らしいご発表であった。

テクノロジー部門「大賞」(分析手法の新規性や、可視化に関する説得力を評価)

チーム7 北岡早紀・竹下俊一郎(Databricks)
「顧客ナーチャリングフローとダッシュボード可視化」

受賞理由:データに基づいて、現在のお客様の休眠やヘビーといった状態を把握することから始まっている点が素晴らしかった。指標を定義してお客様をセグメント分けした後、各群の特徴をN1分析から明らかにするといったように、定量分析と定性分析を使い分けられていたため、数値以外での聞き手の理解も得られやすい構成であった。また、機械学習モデルとSHAP値を上手く活用し、ヘビーユーザー像を数値から導き出すなど、レベルの高いデータサイエンススキルを取り入れていた点も印象的であった。

 

■エントリーチームと発表概要

※概要説明はエンジニアの会リーダー

チーム1 岡谷憲二(AGC)
「生鮮食品強化による相乗効果の期待」
事前にヒアリングされていた改装に伴う生鮮食品系の強化戦略という点に着目し、実際にどれだけ戦略に沿って結果が出ているのか、その効果と伸びる可能性ある点について分析を行った。実際に店舗を訪ね、併設している店舗の性質や近隣の系列店なども加味した内容で、具体的であった。

チーム2 安藤綾香 (オーケー)
「重点ラインの選定と20代売り上げ拡大施策」
トライアル社の課題の一つである顧客層の高齢化の課題が切り口に、若い人たちの来店目的や購入品目を仔細に分析。強化すべき製品ラインについて、若い人の嗜好分析と具体的な商品提案を行った。

チーム3 金石和英・山本祥太 (ビジネスエンジニアリング)
「若者向け売上向上施策の提案」
若者を取り込むための分析をテーマに、店舗付近の政府統計情報や気象情報を付加した。若年層の人口分布としても可能性が高いエリアと分析し、強化製品ラインを見出した。結果的に、チーム2と同じ製品ライン提案であったが、改善に向けた提案が異る点が興味深い。

チーム4 梅田信介・小林秀和(ジール)
「改装前後の優良顧客インサイト」
まずデータの全体感をビジュアルでとらえた。事前にヒアリングした課題感や戦略をもとにRFM分析をベースに改善すべき点を分析した。また、商圏内の競合店舗を調査し、サマリーを点に絞り込んだ。分析の主旨をストーリーで示した点がユニークであった。

チーム5 水信元(寿樹計算)
「若年層顧客の購買行動変化を鑑みた打ち手の提案」
売り上げアップの打ち手というシンプルな内容を設定し、課題である若年層の購買ニーズ分析をクラスタリング、LDAなどの分析手法を用いて発表をした。なぜこの手法を使うのか、についての説明が説得力をました。打ち手もコロナ禍やフードロス、地産地消など最近の購買傾向などの変化を加味した提案であった。

チーム6 内田真勝(マクニカ)
「顧客ランクを利用した分析」
まず改装前と改装後での商品群の違い、売り上げの大きく変化を見出した。トライアル社の戦略などを仮定し、分析すべき点を絞って問題提起と改善提案を行った。 商品軸と顧客軸をサマリーした上で、顧客軸に重点をおいた。顧客のクラスタリング、レベル分けとペルソナに対しての施策提案であった。

チーム7 北岡早紀・竹下俊一郎(Databricks)
「顧客ナーチャリングフローとダッシュボード可視化」
継続購買してくれる顧客をどれだけ増やせるか。顧客を平均購買額と来店頻度で分類化し、両方の軸を伸ばすための施策をミクロの視点、マクロの視点で分析して打ち手を提案。データ分析までのプロセスや打ち手の説得力がある内容となっていた。

 

 

 

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