日本データマネージメント・コンソーシアム

会員コラム

【Vol.24】宮田洋氏「セールス活動は勘と経験に頼らず、データに聞く!」

JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、遠州鉄道の宮田洋さんです。

セールス活動は勘と経験に頼らず、データに聞く!

 
皆さま、こんにちは。遠州鉄道株式会社の宮田でございます。と申しましてもほとんどの方は、私どものことをご存じないと思いますので、簡単に弊社の概要を紹介いたします。
 
遠州鉄道グループは、浜松市を中心とした静岡県西部地方130万人の商圏を基盤に活動する企業グループです。鉄道、バス、タクシー等の運輸事業、百貨店、食品スーパー、石油販売、自動車販売等の流通事業、旅行、ホテル等の観光事業、住宅、マンション販売等の不動産事業、さらには保険代理業、介護、自動車教習、スポーツクラブといった生活関連サービス事業等、幅広い領域で事業展開しております。
 
私が所属するグループ経営推進本部は、こうした様々な事業の経営管理、経営指導を行う部署で、IT、マーケティング、経理財務、人事労務等それぞれの専門分野を持った担当メンバーが日々活動しております。今回は、私たちが手掛けたデータ分析と統計解析による営業ノウハウの可視化実現という事例につきまして紹介させていただきます。
 
ある日、百貨店の外商課長から、成績不振の外商マンに対する支援依頼がありました。私とマーケティング担当者、外商課長とのミーティングの結果、外商マンの営業スタイルが、特定のお得意様への勘と経験に頼ったアプローチになりがちであり、過去の購買データがうまく活用できていない、という問題点が浮かびました。
 
そこでまず、成績不振の外商マンは「売れない」のではなく、「買う気のない方にアプローチしている」のではないか?という仮説を立てました。次に、今回のミッションにおける重点テーマを、(1)蓄積されたデータの有効に活用、(2)潜在的な顧客の発掘、(3)そのノウハウの共有、に置くことに決定。高級腕時計販売催事において、その検証を行うこととなりました。作業手順は、次のとおりです。
 
・会員属性、アンケート結果、催事購買実績、売場購買実績、購買顧客ランク等の“未使用データ”を「IBM SPSS Modeler」に入力
・対象顧客の選定にロジスティック回帰、決定木(CHAID)を使用
・百貨店外商顧客約8000口座の中から、統計上購買確率の高い600講座のアプローチリストを作成
・外商マンにアプローチリストを中心に営業を依頼
 
この結果、アプローチリストから催事全体の50%の売上げを達成するとともに、従来の顧客リストに含まれない会員から多数の売上げが発生。過去2回の催事にて予算達成率が50%未満だった外商マンにも明確な営業成績の向上が確認できました。
 
もっとも、アプローチリストには、外商マンのもともとの見込顧客も多かったため、大きな売上げの上積みにはなりませんでしたが、これまで勘と経験に頼っていた営業ノウハウの可視化を実現できたということで、ミッションは成功と位置づけられたのです。
 
かようにして、セールス活動にはデータ分析と統計解析が大きく貢献できるはずなのですが、現実には、営業マンの勘と経験頼みがまだまだ多いのではないかと思います。営業ノウハウを共有化し、データに基づき、だれでも同じように売ることができる営業を実現するということ。そのためには、もっと私たちが現場から頼られる存在にならなければならないと思います。
 
 
宮田洋(みやた・ひろし)
遠州鉄道株式会社 グループ経営推進本部 取締役経営企画部長

1987年慶応大学卒業後遠州鉄道株式会社に入社、主に営業、IT畑を歩む。
2010年営業推進部長
2013年経営企画部長
2014年取締役就任
購買データを活用したマーケティング、一般社員のITリテラシー向上およびデータサイエンティスト育成に取り組む。

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