日本データマネージメント・コンソーシアム

会員コラム

【Vol.112】ココト・後藤 龍彌さん、製造業の現場で経験してきたデータマネジメントの課題

JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、株式会社ココト・後藤 龍彌さんです。


皆さま、はじめまして。株式会社ココトの後藤と申します。

弊社ココトはSES事業を中心に、システム開発や24時間365日サーバー監視業務をメインに行っています。その中でビッグデータ解析業務もあり、弊社では今後を見据えたデータ活用事業に力を入れ始めています。

私自身は前職も含め、データ活用に関する業務を経験する機会が多くありました。今回のコラムでは、その経験談を共有できればと思います。

データ活用は、組織で動かないと進まない

前職で入社時に配属された事業は、液晶パネルを製造する半導体工場でした。当時は「DX」という言葉も世の中に浸透していませんでしたが、比較的新しい工場だったこともあって自動化が進んでおり、多くのデータが収集されていました。

しかし、データは蓄積されていたものの、活用自体は各個人に留まり、知っている人が限られたデータのみを利用している状況でした。効果的なデータ活用方法を探すにも、社内にはデータサイエンティストは当然おらず、業務の片手間でやるには難しく、データ活用がうまく進まなかったのです。

それからしばらく経ち、今のやり方だけでは、これ以上のデータ活用による品質改善は見込めない、という流れが組織に生まれました。

データ活用を見直すにあたり、幸いグループ会社にデータ解析を専門としている部門があったため、そこと協業してデータ活用を進めることに。こちらからはデータやドメイン知識を提供し、協業先からは解析手法や分析ツールをご提供いただきました。

この活動の甲斐あって、「これは何のデータなのか」「どうやって取得しているのか」など、自分の担当範囲外のデータの詳細も確認することが増えていき、データ活用の幅が広がっていくのを感じました。データ活用は各個人で勝手に進められるものではなく、組織として進める必要があるということを再認識しました。

言葉が先行、手段が目的になってしまっている

その後、電池の製造工場でデータ活用を推進する部門に異動となりました。

その頃は「DX」という言葉が、さまざまなところで出てくるようになっており、当然社内でもDXを進める流れになるのですが、「言葉」だけが先走り、何のためにDXを進めるのか、目的がないまま話が降りてきました。

本来であれば「脱属人化」や「品質改善」といった、解決したい課題があり、その課題を解決するための手段としてDXを推進するというのがあるべき姿と思いますが、当時は「DXを推進する」という手段が目的になってしまっていたため、工場への導入にはとても苦労しました。

さらには、DXを進める上で、今まで集めていなかった重要なデータを取得せねばならず、設備投資が必要になるというケースも出てきました。決裁者視点では費用対効果が分からないと投資はできないが、分析者視点では、データを取って検証しなければ、効果の測定ができない……議論は並行線をたどり、身動きが取れない状態になってしまいました。

その時は、最終的に取りやすいデータだけを使って施策を進めることになったのですが、有効なデータが不足しているのか、それとも解析手法が悪いのか、手応えのないまま中途半端な結果に終わってしまいました。

別途、DX関連の講演会に参加した際に、日本企業は費用対効果を特に重視する傾向があり、海外企業は将来必要であると一定の見込みがあれば、効果測定が必ずしも充分でなくとも投資する傾向が多いと聞きました。 企業の風潮は変わりにくいため、日本企業でDXを進めるには、まずはスモールスタートで始めて、小さな実績を積み上げていくしか近道はないのだと感じます。

IT業界へ転職、「データ分析案件」の新規開拓もまた難しい

その後、製造業からIT業界の現職へ転職しました。転職して初めて、データ活用はさまざまな業種で広がっており、製造業以外でも進んでいることを知りました。現在、社内ではデータ活用を新たな事業の軸にしようとしています。しかし、あまりうまく進んでいないのが実情です。

弊社は主にWebシステムの開発・運用をベースとしたSESを生業としているため、システムエンジニアは多数在籍していますが、その中でデータ分析のスキルを持っているエンジニアは数えるほどしかおりません。

また、データ分析のスキルはあっても実務経験はないに等しいのが実情で、データ分析の案件のお話をいただいても、案件の成約まで至ることがなかなかできておりません。案件の成約まで至らない一番の理由としては、やはりデータ分析の実務経験の不足と、データ分析に必要なスキルのアンマッチであると考えています。

これらの課題を解決するにも、まずデータ分析の実務経験を積むための案件を獲得する必要がありますが、その案件が実務経験不足で獲得できない──という状況に陥ってしまっており、最初の取っ掛かりを作れず苦戦しております。

新規開拓の難しさを知ると同時に、データ活用人材は不足していると言われている一方で、自分のように多少データ分析の業務経験があっても、SESという市場においては、やすやすとデータ分析業務に入れるものではないという難しさを痛感しました。

現在は、まずは自分に出来ることからと、社内でデータ活用の勉強会を開催しており、データ活用人材の育成に努めています。データ活用事業の新規開拓に向け、会社として良いスタートダッシュを決められるよう、準備を進めているところです。

今回は私の経験談を共有いたしました。今後はJDMCでの交流を通じ、よりデータマネジメントに関する知見を深めつつ、データ活用に貢献していきたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。


後藤 龍彌(ごとう たつや)
株式会社ココト
コアグリット事業部(江坂事業所)

2009年電機メーカーに入社。液晶パネル工場のビッグデータ活用業務や、電池工場のDX推進業務に従事。2021年より現職。大手ポータルサイトの開発及び運用業務に従事する傍ら、データ活用事業の立ち上げに向け、社内のデータ活用人材の育成に努めている。

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