報道発表資料
2016年3月9日
一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)
JDMC、2016年度データマネジメント賞が決定
~大賞/データ統合/データクオリティ/アナリティックス/データ基盤など各賞を発表~
一般社団法人 日本データマネジメント・コンソーシアム(略称:JDMC、東京都江東区豊洲、会長:栗島聡)は、データマネジメントにおいて、他の模範となる活動を実践している企業・機関などの中から優秀なものを選定しデータマネジメント賞として、大賞と各賞を決定いたしました。今回は、その第3回として実施しました。大賞には、セブン&アイ・ホールディングスが受賞したほか9社が各賞を受賞しました。
各賞の選定にあたっては、JDMC運営委員会内に審査委員会を組織し、評価の上、決定いたしました。
この賞を通じ、様々なデータや情報のマネジメントに関する社会的認知を高め、企業・機関などでデータマネジメントを実践する人や組織の活性化を促進し、日本企業・組織の競争力強化へ寄与するものとJDMCでは考えております。
下記の通り、JDMCが2016年3月11日に主催する「データマネジメント2016」にて表彰式を行い、賞の授与を実施する予定です。
記
表彰式の開催
日時:2016年3月11日(金) 10:25~10:40
場所:目黒雅叙園
※JDMC主催のカンファレンス「データマネジメント2016」のタイムテーブルにて実施予定。
受賞企業
賞名 | 受賞企業名 |
大賞 | 株式会社セブン&アイ・ホールディングス |
特別賞 | 独立行政法人情報処理推進機構 |
データ統合賞 | コメリグループ 株式会社 ビット・エイ |
データ統合賞 | 村田機械株式会社 |
データクオリティ賞 | 楽天株式会社 |
データ基盤賞 | 株式会社IHI |
メタ・データガバナンス賞 | 株式会社東京証券取引所 |
アナリティクス賞 | 株式会社イオンイーハート |
アナリティクス賞 | リバイス合同会社 |
先端技術活用賞 | 株式会社日立製作所 |
賞の説明
賞名 | 説明 |
大賞 | データマネジメント活動において、特筆すべき取り組み・成果を出した企業・機関などで、この取り組みが現状および将来にわたり他の模範となると認定された場合に授与いたします。 | 特別賞 | 既存の賞の枠組みにとらわれない、卓越したデータマネジメントの取り組みに対し授与いたします。 | データ統合賞 | これまで困難とされてきた「マスターデータの統合」に果敢にチャレンジし、成果を上げた企業・機関に授与。 | データクオリティ賞 | データ品質の向上のみならず、品質管理のガイドラインに基づいた運用を含めて、内外の課題解決に著しい成果をもたらした企業・機関に授与します。 | データ基盤賞 | データ分析における基盤構築にあたり、システムだけでなく組織間の連携も含めて著しい成果を上げた企業・機関に授与します。 | メタ・データガバナンス賞 | 困難な部門・システム間の調整を断行し、横断的なメタデータ管理ルールを設計・導入した企業・機関へ授与。 | アナリティクス賞 | データ量が劇的に増加する中、業務システム、特にモバイル・センサーやWebアクセスログなどが生み出す膨大なデータを分析し、実際のビジネスの現場で活用することにより多大な成果を上げた取り組みに対して授与します。 | 先端技術活用賞 | 先進的な理論や技術に対していち早く試み、ノウハウや成果を公開するなど、他の模範となる取り組みを実践する企業・機関に授与します。 |
受賞理由
データマネジメント大賞 / 株式会社セブン&アイ・ホールディングス
日本最大の流通グループのオムニチャネル戦略
を支えるデータマネジメントの取り組み
セブン-イレブン、イトーヨーカドー、そごう・西武、アカチャンホンポやロフトといった業態の異なる実店舗、およびWeb通販のセブンネットメディアを横断し、業態やチャネルを超えて消費者をエンゲージするオムニチャネル「omni7」を開始した。例えば百貨店でしか購入できなかった商品をネットで注文し、セブン-イレブンで受け取ることができるなど消費者の利便性を大幅に高めた。日本最大の流通グループによるオムニチャネルの実践は、極めて難度が高い取り組みである。
それを実現した原動力の1つが、データマネジメントの実践である。(1)新たな商品マスターデータモデルを定義し、それに400万アイテム以上の既存商品マスターを統合した、(2)どうデータを登録すれば消費者にそれがどう見えるかを検討し、すべての商品マスターに対して丁寧な説明を加えた「商品情報ガイドライン」を制作した、(3)ガイドラインを徹底するため各事業会社に商品データのオーナーを設置し、新たな商品マスター構築を期限どおり完遂させた、といった実践項目からなる。この点を評してデータマネジメント大賞を授与する。
特別賞 / 独立行政法人情報処理推進機構
オープンデータを真に価値あるものにする共通語彙基盤
多くの企業や組織がデータを公開し分野や業種を超えた交換や共有を可能にすることの重要性は、論を要しない。それを実現するために、個々のデータを表す言葉(単語)に関して、その表記や意味・構造を統一し、意味が通じるようにする必要があることも同様である。そうでなければデータの意味変換といった余計な工数が生じたり、変換しても正確に意味が伝わらなかったり、といった問題が生じるからである。
しかし企業内でメタデータを定義・共通化することを考えれば、その難しさは容易に想像できる。情報処理推進機構が2年以上の時間をかけて策定した「共通語彙基盤」は、未だ第一歩を踏み出したところとはいえ、この難題に挑んだ点で高く評価されるものであり、データマネジメント特別賞に値すると判断する。
データ統合賞 / コメリグループ 株式会社 ビット・エイ
ホームセンターにおける顧客満足度向上をデータでサポート
ホームセンター大手であるコメリグループのビットエイ社は、オンラインと実店舗の販売データを統合することでFSP(Frequent Shopper Program)分析を行うためのデータ統合基盤を構築し、日々の業務に活用している。それに加えて実店舗の在庫データをインターネットで公開することで、消費者が在庫のある店舗を事前に検索できるようにし、実店舗による取り置きを可能にするなど、関係性を高めることに取り組んでいる。実店舗とウェブサイトを融合したオムニチャネルが広がりを見せる小売・流通業において、このような施策をとっていることは、データマネジメントを通じた先進的な事例として他社の規範になるものであり、データ統合賞に対すると判断する。
データ統合賞 / 村田機械株式会社
複数製品領域のBOM(部品表)統一に取り組む
FAシステム・繊維機械・工作機械・情報機器など多岐にわたる製品を提供する村田機械は、開発からサービスまで統合された製品情報管理システムを構築することを目的に、統合BOM(部品表)の構築を進めている。第一ステップとして、製品毎に異なるBOMを単一のハードウェアに集約。同時に製造子会社への情報の流れを標準化することにより、製造子会社における部品手配などの業務効率を大きく改善した。
BOM統合への取り組みは、現在製造業においてどこの企業でも大きな課題になっている。村田機械の取り組みは道半ばではあるが、長期的な戦略に基づいた統合BOM構築の取り組みと第一ステップの改善効果を考慮し、データ統合賞を授与する。
データクオリティ賞 / 楽天株式会社
商品情報の訴求力の定量化を実施
一般的にECサイトにおける商品情報は、製品のスペック/仕様といった客観的、測定可能な製品そのものに関するデータに加え、メーカーや売り手が考えたメッセージから構成される。 購買者は、ECサイトだけでは実際に手に取って商品を確認できないため、商品情報の訴求力などによって売上は影響を受ける。
楽天は、10,000万人を超える会員を持ち、EC、カード、旅行など多様なサービスを提供している。楽天市場の店舗に対し、売り手の感覚に頼りがちな商品情報を分解・カテゴライズし、顧客行動を元にビッグデータ分析アプローチを行うことで、楽天市場の店舗に対して“商品情報のどこをどう改善・強化すればユーザーのリアクションが増えるか、もしくは、離脱が減るか”等の定量的な示唆を提供する新しい取り組みにチャレンジしたこと」を評して、データクオリティ賞を授与する。
データ基盤賞 / 株式会社IHI
Hadoop、SparkなどのOSSを先駆的に活用したデータ基盤を構築
工業機械、航空エンジン、社会インフラ、エネルギープラント、物流システムなどを提供するIHIは、自社製品・サービスの価値を高めるためにICTの活用を推進しており、特に製品の予防保全に注力している。その実現のために様々な機器の状態をリアルタイムにモニタリングし、分析する試みを継続している。この時、重要になるのが膨大なデータを蓄積、分析するためのデータ・アーキテクチャ、それを具現化したデータ基盤である。IHIではApache Hadoopや同Sparkといったオープンソース・ソフトウェアを活用してデータ基盤を構築、分析に生かしている。一連の取り組みを積極的に外部に公開する取り組みも特筆され、多くの企業に好ましい影響を及ぼしている。こうしたことからデータ基盤賞に相当すると判断した。
メタ・データガバナンス賞 / 株式会社東京証券取引所
高い問題意識のもと、長期にわたってメタデータガバナンスに取り組む
東京証券取引所は、現物取引システム「arrowhead」や現物立会外取引システム「ToSTNeT」、指数を算出する「ISC」、上場企業の情報を開示する「TDnet」、や総合的な情報サービス「TMI」など様々な情報システムを運用している。取引システムだけに高速応答が求められ、上場企業や取引参加者の情報は必要なシステムで分散管理されていた。そのためにデータの連携やデータの特定に手間や時間がかかるなど、さまざまな課題があった。これに対し東証は2008年にeDIC(enterprise Data Integration Committee)と呼ぶ組織を設置、メタデータやマスターデータを標準化し、活用する仕組みを実践してきた。全社的なデータガバナンスを徹底するためのリファレンスとなる取り組みであり、メタデータ・ガバナンス賞に値する。
アナリティクス賞 / 株式会社イオンイーハート
クラウドを活用し、アジャイル型で多店舗を横断したBIを実践
大規模ショッピングセンターにおけるレストランやフードコート内のショップ運営を手掛けるイオンイーハートは、各飲食店舗におけるPOSなどの販売データや客数・客単価、スタッフ稼働などを分析/予測することが業務上、欠かせない。しかし経営母体の異なる店の了承を得たり、データ形式がバラバラであるといった問題から、以前はデータ取得に数週間を要していた。この問題を解消するため2015年にデータ分析環境を構築した。アジャイル型のアプローチで、クラウドベースのデータウェアハウス、ETLツール、BIツールを採用することで、データレイアウトの変更が柔軟にできる体制を構築した。他社に参考になる点を多く含んでいる。この点を評価してアナリティックス賞を授与する。
アナリティクス賞 / リバイス合同会社
BIツールの効果的活用で業務負荷を30%以上も削減
中古車販売専業店は一般に事業規模が大きくなく、CRMの運用やデータ分析などに関するITスキルに乏しい。そうした事業者にBPOを提供するリバイス合同会社は、データ分析環境を用意し、KPIの可視化・視覚化を実現し、中古車販売店のデータドリブンなビジネス環境の支援を実現した。当初は紙ベースのレポート提供だったのを、BIツールを利用する形に転換し、業務負荷を30%以上も削減することに成功した。中堅・中小企業におけるデータマネジメント事例として模範的な取り組みであり、アナリティックス賞を授与する。
先端技術活用賞 / 株式会社日立製作所
ウェアラブルセンサーとビッグデータによる
内面的な活性度「ハピネス指数」算出の取り組み
人の動きやコミュニケーションの状況をデータとして取得・分析し、人の内面的な活性度や幸福感(ハピネス度)、組織活性度を把握。それを業務や組織改善に役立てる。このような斬新かつ困難な取り組みを、日立製作所は独自のウェアラブルセンサーとビッグデータ分析技術で実現した。具体的には、ウェアラブルセンサーで人の活動や対人コミュニケーションの実態をデータ化する。単に「活動量が多いから活性度が高い」といった単純な分析では求める結果は得られない。人それぞれの職務や特性、業務場所などを考慮に入れた分析対象のデータは数10種類に及び、10兆件以上になる。同時に組み合わせ爆発に対処するため、深層学習を発展させた「跳躍学習」と呼ぶAI技術を開発。複雑かつ大量のデータからハピネス度や組織活性度を分析可能にした。コールセンター業務に適用して顧客単価を15%以上も高めたほか、銀行や航空会社でも成果を上げつつある。そのユニークさ、技術の先進性から、まさしく先端技術活用賞に値すると判断する。
以上
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一般社団法人 日本データマジメント・コンソーシアム
データマネジメント賞 事務局 E-Mail:info@japan-dmc.org
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