【Vol.29】永山徳雄氏「MDM(マスタデータ管理)における法人番号の役割」


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JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、東京商工リサーチの永山徳雄さんです。
 

MDM(マスタデータ管理)における法人番号の役割

 
 東京商工リサーチ(TSR)は、世界最大の企業信用調査会社である米ダン・アンド・ブラッドストリート社(D&B)と1994年に業務提携して以降、グローバルでの取引先マスタとしてデファクトスタンダードである「DUNSNumber® 」に、TSRの「企業コード」「事業所コード」を紐づけながら発番・管理する国内唯一の企業です。
 
 TSRは、数あるマスタデータ(商品マスタ、人事マスタ等)の中でも、日常的な企業活動で必須となっている「取引先マスタ」の品質管理に関する提案と企業識別コードに紐づく取引主体の属性情報や与信情報の提供を通じて、さまざまな経営ソリューションのお手伝いをしてまいりました。
 
 取引先マスタに関しては、他のマスタとは違った「特殊性」があることに注意が必要です。第1に、取引先主体が法人か個人企業か、それとも単なる個人か。第2にその主体がHQ(ヘッドクオーター:本店)かBR(ブランチ:支所)か、それとも部署か。第3にその主体の属性(名称、住所等)に関するデータ登録時の統一された運用ルールがあるか(ABC商会の登録状況はさまざま)、「合併・解散、統廃合」(追加/削除/統合)の確実な実施、そして商号変更、本店移転等の属性情報をタイムリーに更新しているかなどです。
 
 加えて、社内(企業グループ含む)でのデータ統合を可能とし、また社外にある各種企業情報をワンストップで取り込むためにも、世の中で標準として広く利用されているユニークな企業識別コードが必要となります。電話番号のように「再利用」されるナンバーを利用する場合は、ユニークな企業識別コードとの「紐づけ」が必要となります。
 
 周知のように、2015年10月5日以降、国税庁よりマイナンバー制度の1つである「法人番号」が各企業に通知されます。そして、2016年1月からは制度運用が開始され、基本三情報(名称/住所/法人番号)が国税庁HPを通じて「日次変更」情報を含め無料で提供されるようになります。
 
 また、日本政府はICTの活用とこれに併せた業務や制度の見直しにより、公共データの活用促進、「オープンデータ」への取り組みを本格化させてきました。現在、各省庁や自治体のHP等開示されている企業情報にその情報主体の法人番号を付与することで、G2G(政府・自治体から政府・自治体)およびG2B(政府・自治体から企業)間で利活用されることを期待しています。
 
 ただ、法人番号制度運用開始時には、発番・付番対象に契約や訴訟行為等「経済取引の主体」である個人企業や「支所」(BR)は含まれておらず、また、国際的な調達活動を行っているグローバル企業等海外取引先マスタとの関係をどう位置づけたらよいのかといった大きな課題は残されたままです。
 
 世界規模での2014年オープンデータ現況調査(参考:The Global Open Data Index Open Knowledge)で日本は19位と前年の27位から大きく順位を上げました。また、国連電子政府ランキングでも、2002年の18位から2014年には6位と躍進しています。しかしながら依然として重要な情報をアクセス可能なかたちで市民や企業に提供できておらず、改善の余地は十分にあると言われています。
 
 今後、当社はTSR企業コードを法人番号に紐づけすることで、法人番号制度の利便性を高めて各種サービスを展開し、経済活動の効率化を促進するとともに新たな価値の創設に向けて貢献していきます。
 
 
 
nagayamasan永山徳雄(ながやま・のりお)
株式会社東京商工リサーチ 調査取材本部本部長。1980年にTSRに入社し、長年、調査員として企業調査業務に従事。その後、調査取材本部の責任者として企業情報、財務情報等各種データベースの構築・更新の陣頭指揮を取っている。平成25年度電子経済産業省構築事業・『法人番号等の民間事業者における利活用に関する調査研究』意見交換会の委員、一般社団法人XBRLJapan 企画委員会メンバーでもある。