日本データマネージメント・コンソーシアム

データマネジメント2019レポート

2019年3月7日、目黒雅叙園にてJDMCの年次カンファレンス「データマネジメント2019」が開催されました。本カンファレンスは今年で8回目の開催となります。当日の会場の様子や裏話を、JDMCデータマネジメント2019実行委員/副事務局長の谷本一樹氏にレポート頂きました。

 

年大好評をいただいている、JDMCの年次カンファランス「データマネジメント2019」が開催された。今回で8回目を迎えるが、私の記憶の限りでは、いつも晴天で参加者をお迎えすることができていた。残念ながら今年は朝からの雨空で、参加者の減少を気にしていたが、まったくの杞憂に終わり、基調講演や各セッションで早々に満席になってしまう盛況ぶりだった。最終的に、1,718名の申込み、延べ1,028名の来場となった。

足元の悪い中、例年通り多くのかたに参加いただけたことに、お礼を申し上げたい。

なお、主催者としては3月はまだまだ寒い時期でもあり、毎年「雪」だけは降らないよう神頼みをしている。会場までのアプローチの行人坂(ぎょうにんざか)を通られた方は、神頼みの理由をご理解いただけると思う。

 

幾つか、私の聴講した講演のご紹介をしたいと思う。その前に、毎年「聞きたい講演が、同じ時間帯に重なり選択に困る。もう少し、講演のバランスを調整できないか」といったご意見をいただく。講演は、ボランティアで自社事例を紹介いただくものと、協賛企業の事例を紹介いただくものにわけて配置させていただいている。このためどうしても、参加者の興味のある講演が特定の時間帯に偏ることになる。このあたりは、ご了承いただきたい。

 

JDMC 年次カンファランスの特長の一つといえば、初年度から開催しているアーリーバード・セッションである。このアーリーバード・セッションは、主催者挨拶や基調講演に先立ち開催する、データマネジメントに関する技術をテーマに基礎的な内容を解説する講座である。基調講演や各講演では事例を交え紹介されていくため、初めてデータマネジメントに取り組む方々が、用語や前提課題などに戸惑わないよう予習講座の位置づけで開催している。

しかし、今年の【C-1:価値を産み出す、攻めのデータマネジメント実践手法】は、既存の業務オペレーションのためのデータマネージメントから機会学習/データサイエンス/AIのためのデータマネジメントを目指している、中上級データエンジニアの方々向けの、密度の高い内容になっていた。講演では、データを利活用できる企業にするためのポイントを、講演者の経験も踏まえ、「システム」「データ」「組織」の3つの観点でまとめ、解説されていた。特に、「データ」観点では、過去の任意の時点を今日再現できる、つまり分析者が「タイムマシン」に乗って過去に戻り希望の分析ができる環境を提供するのが、データマネジメントであるといった解説をされており、データマネジメントが「タイムマシン」という例えが、非常に理解しやすい例えであり、興味深かった。

 

アーリーバードの次は、こちらも恒例となっているJDMC AWARD 表彰式である。JDMCの組織の中に「表彰部会」という部会があり、この専門組織のなかで毎年対象案件を選定している。毎年多くの優良事案がエントリーされており、カンファランス開催までに受賞案件を決定するプロセスは、かなり大変なようである。表彰部会メンバーの苦労話など、今後お届けできればと考えている。

受賞企業/団体からの喜びの声を聴くと、JDMCの運営メンバ一同、JDMCの活動を継続する価値を再認識し、今後も継続、発展させるモチベーションとさせていただいている。

 

これもJDMC年次カンファランスの特長である、午前・午後の基調講演であるが、毎年組合わせには工夫を凝らしている。例えば、公共機関(学校/行政等)と民間企業であったり、技術動向のテーマとその技術の活用企業といった、興味をもっていただける組合わせになるよう企画している。

今年は、日本と中国を代表するEコマース企業の「楽天株式会社」と「アリババ株式会社」にご登壇いただいた。Eコマース企業と書いたが、両社とも金融や旅行業をはじめ、もはや一言では説明できない幅広いビジネス分野をカバーしており、それら活動のなかで得られたデータを活用し、社会や経済にどのように貢献しているかや、商品価値、店舗価値、顧客価値をどう最大化しているかの方針をご紹介いただいた。企業活動のバックグラウンドの違いがあるものの共通する部分や違いもあり、興味深い組合わせだったと思う。


 

最後に、私が聴講した講演を2つ紹介しておく。
【D-3: IoT+ビッグデータで”日常人間ドック”を志向高齢化時代に向けた産官学連携の実際】


 
【A-6:最新の気象予測とデータ利活用の実際】

ウェザーニュースの情報に日々お世話になっている方も多いのではないだろうか。本セッションでは、ウェザーニュースの気象データの利活用を、ありのままにご紹介いただいた。

ウェザーニュースでは、気象庁などの公的機関が提供する気象オープンデータに独自観測装置からの情報とサポーターの方々からの情報を統合する。この独自の付加価値が加えられたデータを使い、予測を行い、44市場の顧客課題に応じたリスク分析情報を提供している。ウェザーニュースの強みは、データだけではなく、サポーターからの現場のリアルな情報を加味できる点である。6000万人もの気象アプリユーザを通じ、参加型コンテンツを提供し、ソーシャルネットを利用した個人向け市場とのつながりも大切にされている。昨今の異常気象の発生予測においても現場の声は重要なポイントとなるため、講演や質疑を通じて、何度もサポーターを大切にしている企業姿勢が語られていた。印象に残ったのは、快晴が続くと、アプリの利用や情報提供が減っていくため、継続して日々のデータを提供いただけるような関係を維持できるよう、苦労されされていること。一定の天気が長期間続く地域でなく、四季の中で日々の天候の変化のある日本でこそ、気象への関心も強く、気象予測への技術が進化する理由を理解できた。

 

ところで、昨年よりテクニカルハンズオンのセッションを開催しているのをご存じだろうか。JDMCエンジニアの会のメンバを中心に、別会場のAmazon Web Services, Inc.のセミナールームで行われている。残念ながら、会場が離れているため気軽に様子を見るということができないため、こちらのレポートは別の方に託したいと思う。

 

最後に、今年度もデータマネジメント2019が無事開催できたことに、御礼を申し上げたい。会場に足を運んでいただいた参加者の皆様をはじめ、ご登壇いただいた講演者、会場運営にご尽力いただいたスタッフの方々、そして目黒雅叙園の皆様、JDMC運営メンバ、全ての皆様のご協力なしには、これだけ盛り上がる会の成功はない。来年も会場で皆様にお会いできることを楽しみに、レポートを終了させていただく。

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