日本データマネージメント・コンソーシアム

【報道発表資料】 JDMC、2019年度データマネジメント賞が決定

報道発表資料

2019 年 2 月 28日

 

一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)

 

JDMC、2019年度データマネジメント賞を決定

~大賞/特別賞/データ基盤/アナリティクス/先端技術活用など各賞を発表~

 

一般社団法人 日本データマネジメント・コンソーシアム(略称:JDMC、東京都江東区豊洲、会長:栗島聡)は、データマネジメントにおいて、他の模範となる活動を実践している企業・機関などの中から優秀なものを選定しデータマネジメント賞として、大賞と各賞を決定いたしました。今回は、その第6回として実施しました。大賞には、全日本空輸株式会社が受賞したほか 、6つの企業・機関が各賞を受賞しました。

各賞の選定にあたっては、JDMC 運営委員会内に審査委員会を組織し、評価の上、決定いたしました。
この賞を通じ、様々なデータや情報のマネジメントに関する社会的認知を高め、企業・機関などでデータマネジメントを実践する人や組織の活性化を促進し、日本企業・組織の競争力強化へ寄与するものと JDMC では考えております。

下記の通り、JDMC が2019年3月7日に主催する「データマネジメント 2019」にて表彰式を行い、賞の授与を実施する予定です。

 

 

<表彰式の開催>

日時:2019 年 3 月7 日(水) 9:35‐9:50
場所: ホテル雅叙園東京 (目黒区下目黒 1-8-1)
※JDMC 主催のカンファレンス「データマネジメント 2019」のタイムテーブルにて実施

 

受賞企業

賞名 受賞企業名
大賞 全日本空輸株式会社
特別賞 経済産業省 AI・データ契約ガイドライン検討会 AI・契約ガイドライン作業部会
データ基盤賞 株式会社トライアルカンパニー
株式会社ティー・アール・イー
データ基盤賞 株式会社リコー
アナリティクス賞 株式会社ワークマン
アナリティクス賞 独立法人 日本スポーツ振興センター
ハイパフォーマンスセンター
先端技術活用賞 京都機械工具株式会社

 

 

賞の説明

賞名 説明
大賞 データマネジメント活動において、特筆すべき取り組み・成果を出した企業・機関などで、この取り組みが現状および将来にわたり他の模範となると認定された場合に授与します。
特別賞 既存の賞の枠組みにとらわれない、卓越したデータマネジメントの取り組みに対し授与します。
データ基盤賞 データ分析における基盤構築にあたり、システムだけでなく組織間の連携も含めて著しい成果を上げた企業・機関に授与します。
アナリティクス賞 データ量が劇的に増加する中、業務システム、モバイル・センサーや Web アクセスログなどが生み出す膨大なデータを分析し、実際のビジネスの現場で活用することにより多大な成果を上げた取り組みに対して授与します。
先端技術活用賞 先進的な理論や技術に対していち早く試み、ノウハウや成果を公開するなど、他の模範となる取り組みを実践する企業・機関に授与します。

 

受賞理由

 

データマネジメント大賞  全日本空輸株式会社

 

仮想DBによる全社データ統合基盤の構築

企業内に散在するデータをどうやって統合し、活用できるようにすればいいかは、多くの企業が直面する重要なテーマである。データウェアハウス/データレイクは有効な手段だが、ともすればリアルタイム性に欠ける問題があり、EAIなどによるシステム連携はシステム数が多くなると連携が複雑化する問題がある。

この問題に対し全日本空輸(ANA)は、マイクロサービス(コンテナ)を活用して仮想的なデータベース(仮想DB)を構築した。データアクセス層、ビジネスロジック層、プレゼンテーション層の3層構成にして柔軟性と拡張性を確保している。データアクセス層の実体は既存システム群とつながるAPIとメタデータの集合であり、ビジネスロジック層からは統合DBに見える。これによりデータソースである既存システムを気にせずに、ビジネスロジック(アプリケーション)を作成できる仕組みである。同社はこの仮想DBを「Customer Experience (CE)基盤」と名付けた。散在する顧客情報に加えて運航情報なども統合し、顧客体験価値を高める意味合いがある。

なおCE基盤の一部として、複雑で高度な分析を行うためのデータウェアハウスも用意する。この取り組みは”リアルタイムデータ統合”という課題に対する現実解であり、他の規範になるものである。よってデータマネジメント大賞を授与する。

 

 

 特別賞  経済産業省 AI・データ契約ガイドライン検討会 AI・契約ガイドライン作業部会

 

AI・データ利用のための契約ガイドライン策定

デジタル技術が牽引する変革の時代において、持続的な成長を可能にするための必須要件と言えるのがデータの活用、例えばAIによる付加価値の創出・最大化だろう。しかし価値創出の源泉であるデータは企業単独で取得したものだけでは限界があり、企業や組織の垣根を超えて流通/活用されることが望ましい。他方で、データ流通やAIを巡っては企業間の契約実務の蓄積が乏しいこと、および当事者間の認識・理解のギャップがあることなどにより、契約の締結が進まないという課題が指摘されている。

この問題に対し経済産業省は、学識経験者・法曹関係者・企業関係者を委員とする「AI・データ契約ガイドライン検討会」を設置。データ利用のための契約ガイドライン案の検討と作成を行い、成果物としてまとめて公開した。データ編とAI編という2編を設け、データそのものの価値とAI技術を明示的に分けることで焦点を明確にしたほか、従来のウォーターフォール型開発ではなく、探索的段階型の開発方法を提唱するなど、現実に即した内容となっている。言うまでもなく、ガイドラインが策定されただけで企業の枠を超えてデータの流通やAIの活用が進むわけではないが、懸案の解消に大きな一石を投じたことは間違いない。JDMCはこの取り組みに賛同するものであり、特別賞を授与する。

 

データ基盤賞 株式会社トライアルカンパニー
株式会社ティー・アール・イー

 

流通情報革命を加速するデータ基盤

 

九州エリアを中心にして日本各地(一部は海外)にスーパーセンター型店舗を展開するトライアルは、「流通情報革命」をスローガンにテクノロジーでの流通変革を目指している。その1つが10年以上にわたって蓄積しているID付のPOSデータを、分析が可能な形でメーカーへ公開するウェブシステム「MD-Link」である。これにより約250社ある取引先メーカーとトライアルが消費者動向などのデータを介して直接コラボレーションしながら、欠品の防止や品揃えの充実、さらに商品開発を高度化している。

最近では店舗の棚の状況や棚前の顧客行動の可視化し、分析する”AIカメラ”の店舗内設置も進めている。加えて最新の店舗には、タブレット端末を搭載しセルフレジ機能も備えた「スマートレジカート」を100台以上導入。販売促進など売り上げ向上と精算業務の効率化を可能にしつつある。特筆されるのは、外部のサービサーに委託するのではなく、日本・中国合わせて従業員300名のIT子会社がこうしたITの導入、データの分析や活用を担っていることである。それによりコストの最少化、スピードの向上を図る。こうした取り組みを高く評価し、データ基盤賞を授与する。

 

データ基盤賞  株式会社リコー

 

デジタルツインを志向したデータ活用の取り組み

デジタル複合機やレーザープリンターなどの製品、半導体、化成品などの部品をグローバルに製造・販売するリコーは、半導体の研究開発と量産にIndustrie 4.0 の発想、特に”デジタルツイン”を導入。プロセスや装置の安定を図り、品質や生産性を高める「SmartFAB 構想」に、2016 年から取り組んできた。

具体的には、試作と量産の半導体製造プロセスをモデリングし、プロセスの各工程においてIOT とマスター/トランザクションデータから成る情報(サイバー)と物(フィジカル)を一致させたMES システムを構築し、製品の品質に関わるすべてのデータを統合できるようにした。その結果、プロセスの各工程から収集するデータを解析し、品質のばらつきの評価・不良判定をリアルタイムに行い、品質・歩留まり向上と開発生産性向上に貢献している。

現在、多くの製造業ではスマートファクトリーやデジタルマニュファクチャリングへの取り組みが進んでいる。リコーの取り組みはその模範となり得るものであり、データ基盤賞を授与する。

 

アナリティクス賞  株式会社ワークマン

 

店舗と本部を横断したデータ駆動経営の実践
アウトドアで仕事をするプロの職人向けの作業服、作業関連用品の専門店をフランチャイズシステム展開してきたワークマンは、近年、高機能衣料やブーツでアウトドアやスポーツ向けに展開して大きな人気を獲得していることがメディアでも取り上げられ、2018 年以降、もっとも注目を浴びる製造小売業の1 社になっている。

このワークマンの変革は、偶然の産物ではなくアパレル業進出に5 年以上にわたって同社が取り組んできた「社員1 人あたりの時価総額を小売業でNo1 にする」を目指した、データ駆動経営がもたらしたものである。

その実現にあたって計画、準備段階からデータ分析をもとにビジネス意思決定をすることを目的に据えて業務設計を行っている点が特徴的である。例えば取引を100%EDI(電子データ取引)にする、分析基盤としてBI ツールを導入する、店舗や部門別のデータ活用度を見える化する、スーパーバイザー会議で定期的にデータ活用研修を実施する、といった要件を実現した判断は、全てデータ分析をもとに意思決定できる業務を目的に徹底したことで実現できたものである。

さらに需要予測精度の向上、最適な製造単位(ロット)の算出とリードタイムの短縮、買い取り型VMI(ベンダによる在庫管理)の手段も、製造から流通経路までのサプライチェーンの改善を想定して最初から現場と全社レベルでのデータ分析方法や組織モデルを設計して実現している。加えて需要予測に関しては、三井情報開発や流通経済研究所と協同し、モデルを開発するといった成果をあげていることから、データマネジメントとアナリティクスの観点でも高度な取り組みを成功させていると評価し、アナリティクス賞を授与する。

 

アナリティクス賞   独立法人日本スポーツ振興センター  ハイパフォーマンスセンター

 

スポーツにおけるデータ・アナリティクスへの取り組み

サッカーや野球における「セイバーメトリクス」などに見られるように近年、スポーツ分野ではチーム力や選手の育成などに向けたデータ・アナリティクスへの期待が高まっている。陸上や体操、水泳などのスポーツ競技も同様だが、 少し前までは費用や人材の面で難しい面があった。日本代表レベルの競技におけるデータ・アナリティクスは、代表選手の選出からコンディショニングといった長期で広範囲なデータ分析、大会における短期間でのデータ分析の両面が必要になるが、個別の競技団体ごとでは実践に限界があったからである。

この問題を解決しつつあるのが、国際的な競技力の向上のための取り組みを担う(独)日本スポーツ振興センター・ハイパフォーマンスセンター(HPC)である。 競技に関わるデータの分析やトレーニング方法、栄養摂取、生理学など専門のアナリストを配置し、選手をサポートしている。すでにリオデジャネイロ・オリンピックでの日本チームの過去最多メダル獲得や、バドミントンや卓球、柔道など様々な競技の国際大会における日本人選手の活躍に貢献している。この活動を評価してアナリティクス賞を授与する。

 

先端技術活用賞  京都機械工具株式会社

 

工具のIoT化による作業トレーサビリティの実現

日本を代表する機械工具メーカーで、トルクレンチやドライバー等の工具おいてアイテム数・生産量ともに国内トップシェアを誇る京都機械工具は、トルクレンチにIoTの機能を持たせ、ユーザーにとっての作業トレーサビリティを実現した。

従来よりねじ締結部位のトルク管理は人間の手作業や判断に‘匠の技や経験’に任されており、締結部位の作業証跡などに課題があった。新たにセンサーとBluetoothを内蔵したアダプタを開発し、既存の工具をIOT 対応のトルクレンチとして利用できるようにした。さらにタブレット・PC またウェアラブル端末・カメラと作業支援ソフト等との連携によりデータを取得し、「何時、誰が、どんなネジをどの強度で締めたのか」といったデータを取得。トレーサビリティと同時にデータを分析する体制も整えている。

同社の取り組みは、なかなか進まないと言われる中堅・中小製造業におけるIoT の推進やデータ分析の実践に関わるひな形となり得るものであり、先端技術活用賞に値すると判断する。

以上

■本リリースに関するお問い合わせ先

一般社団法人日本データマジメント・コンソーシアム
データマネジメント賞 事務局 E-Mail:info@japan-dmc.org
東京都目黒区上目黒 3-12-24-306(ハートウエア 21 内) TEL:03-5721-4596

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