JDMC会員による「リレーコラム」。
メンバーの皆さんそれぞれの経験・知見・想いをリレー形式でつなげていきます。
今回、バトンを受け取ったのは、サトウ食品株式会社 藤岡 恭平さんです。
はじめまして。サトウ食品の藤岡です。CMを通じて「サトウのごはん」や「サトウの切り餅」などをご存知の方もきっといらっしゃると思います。
私はSEから事業会社のIT部門に転職したのですが、働く中でIT部門において求められる役割、姿勢として「俯瞰すること」が特に重要だと感じるようになりました。
IT部門はユーザ部門、つまり現場の最前線で働く皆さんを支えるのが主なミッションとなります。最近はSaaSなどの普及を背景に、現場部門主導でIT化を進める事例もありますが、うまくいかない場合も多いです。
例えば、業務改善や残業削減といったテーマ。現場の最前線にいる皆さんは、日々目の前の業務に精一杯取り組んでいます。ただ、自分たちの担当領域の外にどういう業務があって、それがどういう流れで行われているのか、その目的は何なのか、といったことを考える機会はあまりなく、限られた範囲での取り組みになってしまいがちです。
そういう状況においては「現場の役に立つIT化をすればよい」と言っても、現場任せではうまくいかないのです。
また、現場の都合に合わせたはずが「部分最適」に陥ってしまうことも。現場の人たちが入力しやすいシステムを開発、導入しても、経営陣が意思決定に必要なデータが集まらなければ、結果として現場に抽出、集計、報告の負担がかかってしまう──そういう例は少なくないでしょう。
最近流行りのSaaSも、少なくともユーザ登録に必要な組織、従業員の情報など前後のデータのつながりを考えないと効率化どころか、データの加工、受け渡しの作業が追加で必要になってしまいます。
そもそもITの導入をする前に、対象業務自体を無くす、減らすことでIT化自体が必要なくなる可能性だってあります。しかし、現場には「無駄かどうか」という発想を持つことや無くす、減らすという判断をすることが難しいのが現実のようです。そのため、経営陣にも取り組みに積極的に参加してもらう必要があります。
このように現場に求められるがままにIT化を進めることは危険であり、会社全体での情報、データの流れを押さえている(はずの)IT部門として一歩引いた視点、関連するものをつなぎ合わせるといった視点を持ち、現場や経営陣に働きかけていくことが必要と考えています。
しかし、それだけではIT部門の「独り相撲」に陥ってしまう危険もあります。現場をどう巻き込んでいくか、そして現場の方々にも、全体最適の視点を持ってもらうにはどうしたらよいか、底上げについて考える今日このごろです。
※投稿内容は私個人の意見であり、所属企業・部門見解を代表するものではありません